


電子図書館(でんしとしょかん、e-library)とは、現代のIT(情報技術)化によるコンピュータ・データベースを利用した新たなウェブサイトによる図書館である。インターネット上にある電子化テキストを集積したサイトを指すことが多い。それ以外にも、電子データベースの充実した図書館や、インターネットから蔵書の検索・予約などが出来るシステムが導入されている図書館も「電子図書館」と呼ばれることがある。電子図書館には、旧来の図書館と違い、インターネットでどこからでもいつでもアクセスできるという利点を生かして、日本では「青空文庫」、アメリカでは「プロジェクト・グーテンベルク」、その他各言語に対応したウィキペディアの姉妹サイトである「ウィキソース」のように、著作権が消滅したり、著者が著作権を放棄した文学作品やエッセイなどを収録、無料公開している所がある。収録のための活動は、青空文庫及びウィキソースの場合はボランティアの手による。無料で公開している所と、有料(会員制)の所がある。また、大学、研究者などが、研究のために、著作権の問題は無いものの、容易にアクセスすることのできない貴重な文献や資料を、専門家の注釈などを加えて単独で公開しているようなケースもある。こうした単独での公開サイトのリンク集をインターネット上につくり、それをインターネット上の日本文学のweb図書館というかたちで公開する場合もある。大学や研究所など学術機関においては、説明責任や社会的要請の変化に伴い機関内で生産された論文・紀要を電子化して公開したり、市民対象の公開講義をインターネット上で公開しているものも増加している。現在では「機関リポジトリ」上に構築されていることが多く、電子図書館という名称でないこともある。日本の大学で初期に構築された電子図書館の例として長尾真らによる実験モデル「アリアドネ」(1994年)が挙げられる。日本初の実用型は奈良先端科学技術大学院大学で砂原秀樹らが1996年に構築したものとされる。有料ライブラリーとしては、世界最大のオンライン・ライブラリーと銘打ったQuestiaのような有料サイトも出現している。最新とはいかなくても、著作権がまだ消滅していない学術書が無数に収録されている。電子図書館は著作権法に妨げられて、従来の図書館のように様々な時代の作品を提供できない可能性がある。多くの場合、電子図書館のコンテンツはパブリックドメインのものか自分自身で作成したものに限られる。プロジェクト・グーテンベルク・青空文庫など、著作権法外の作品を電子化して一般に自由に配布する所もある。商業的にコンテンツの権利を得て配布する電子図書館もあり、この形態は著作権の使用料の支払いやコンテンツの複製配布をより上手く管理できる。電子図書館は従来の図書館の環境をそっくりそのまま再現できない。更に、テクノロジーの発展が仇となって、時代遅れになった形式のコンテンツにアクセスできなくなる可能性もある。現在電子図書館とその収集物へのアクセスは安定したITインフラ(電力、コンピュータ、通信の接続など)に依存している。そのため、経済的な事情で本から知識を得るのが難しい人々(例えば第三世界の人々)の利用が困難になって情報格差が発生するという逆説的な結果が生まれている。理論上は、電子図書館の維持コストは従来の図書館より低い。しかし、運営の方法によっては、従来の図書館よりむしろ高くつくこともありうる。印刷物のデジタル形式への変換作業や、管理に技術力のある職員を雇用、オンラインアクセスの維持コスト(サーバ代、帯域コストなど)など、大きな費用がかかりうる。加えて、電子図書館の情報は、数年ごとに最新のメディアに移行しなければならない(データマイグレーションを参照)。この処理に要する機器と技術者の確保の費用は、巨額になりうる。書籍を電子化する巨大な計画がGoogleやMillion Book Project、MSN、Yahoo!によって押し進められている。光学文字認識 (OCR) や電子書籍といった技術が継続的に向上し、代替保管場所の問題やビジネスモデルが整備された結果、電子図書館の規模は急成長している。Internet Archiveなど従来の図書館と同様に音声や映像を収集している所もある。
出典:wikipedia
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