内閣総理大臣秘書官(ないかくそうりだいじんひしょかん、英訳:Executive Secretary to the Prime Minister)は、国家公務員の役職の一つである。内閣総理大臣に常に付き従って、機密に関する事務を取り扱い、また総理大臣の臨時の命により政府各部局や与党等との調整に当たる役職である。法令上は「内閣総理大臣に附属する秘書官」と呼称される。俗に総理秘書官、首相秘書官。内閣法第20条により内閣官房に置かれ、内閣官房組織令(政令)第11条によりその定数は5人と定められている。ただし、当分の間7人とするとされている(内閣官房組織令附則第8項)。内閣総理大臣秘書官は、国家公務員法第2条により特別職の国家公務員とされ、同法の序列では、大臣補佐官の下、国務大臣秘書官と、人事院総裁秘書官、会計検査院長秘書官、内閣法制局長官秘書官、宮内庁長官秘書官と同位、同条で特別に記載のない国会同意人事が必要な職などの上に位置している。秘書官の内訳は慣例的に政務担当1名、事務担当6名の計7名で構成される。また、秘書業務を円滑に行うため、官邸には「総理大臣秘書官室」が設置されており、専従スタッフが秘書官の命を受けて秘書業務の実務を担当する。政務を担当する政務担当秘書官は、一般的に「首席秘書官」と呼ばれることもあるが、これは法的に定められているわけではなく、あくまで俗称である。内部的・非公式な序列はあるが、法的には事務担当秘書官も同列の扱いである。通常は首相の国会議員秘書として長年仕えてきた人物が任命される。しかしながら、橋本龍太郎首相が当時通産官僚であった江田憲司を呼び寄せたように、ごく希に官僚から選ぶ場合もある。他にも、政策ブレーンや(国会議員としての後継を念頭に置いた形で)親類縁者から選ぶケースもある。1970年代中頃までは、いわゆる「番記者」として関係を深めた新聞記者を秘書官に任命する例も多かった。いずれのケースであっても、基本的に首相の信頼の厚い人物が選ばれるため、首相に対して影響力を持つことが多いと言われる。主な業務は首相のスケジュールの最終的な調整を担当することであるが、それ以外にも首相の命を受けて政策形成の補佐や政府各部門の調整をしたり、首相とともに長い間永田町で仕事をしてきた実績や人脈を生かして首相と与党、時によっては野党との密かな連絡調整役となったりするなど、多岐に亘る。とは言え必ずしもこの限りではなく、首相がどのような観点で秘書官を選任したかによって業務内容は広くなる場合もあれば、限定される場合もある。特に、近年はマスコミ対応も重要な仕事と見做されている。報道において「首相周辺」という表現があるとき、これはもっぱら政務担当秘書官の意味であり、非公式な場面でのオフレコ発言をした場合に用いられる。事務担当秘書官は、外務省、財務省、防衛省、警察庁、経済産業省の各省庁から1名ずつ内閣官房に出向する形で就任する。通例では、財務省出身者が事務秘書官の中で筆頭格とされ、他の事務秘書官よりも年次が上(最古参)の者が就く。秘書官には、通常、本省課長級または局次長・審議官級で、将来の事務次官候補と目されるような人物が選ばれる。高級官僚の人事ローテーションの一環と言う面があり、長期政権となった場合は、概ね2~3年で交代する。ただし、首相が政変などで短期で交代すれば、秘書官もその任を解かれて元の省庁に戻されるのが通例である。例外的に、5年以上に亘った小泉政権においては、警察庁出身の秘書官を除いて同じ人物が一貫して秘書官を務めた。事務秘書官の業務は、それぞれが1府12省庁の処務を分担して受け持ち、首相を補佐する。また各省庁と首相官邸の連絡役として、政策や、首相の公式な発言(国会答弁や外国首脳との会談での発言など)の内容などの調整を行う。出身省庁への帰属意識が強い官僚社会の風土から監視役・スパイと批判的に表現されることもあるが、首相のカリスマ性が強い場合は時として出身省庁の利害に反する行動を取ることもある。2008年9月に発足した麻生内閣では、首相の意向により新たに総務省出身者を加え、政務秘書官を含めて6人体制をとった。また、最も年次が上である総務省出身の秘書官を政策統括担当とし、事実上の筆頭事務秘書官に位置付けた。続く鳩山内閣では通例どおりの5人体制に戻された。その後継の菅内閣では、厚生労働省出身者を筆頭事務秘書官とする6人体制とされ、後に防衛省出身者を追加して7人体制となった。但し、当時の政令で定員が6名とされていたため、当該秘書官は、一般職相当の「内閣総理大臣秘書官事務取扱」とされた。次の野田内閣は、菅内閣と同構成ながら財務省出身者を筆頭格とする7人体制とした。2012年12月に発足した第2次安倍内閣は、政務秘書官を含めて6人体制となった。その後、2013年11月、歴史上初めての女性秘書官として、総務省出身の山田真貴子を起用し、7人体制とした。2015年7月、首相秘書官の交代が行われ、史上2人目の女性秘書官として、経済産業省出身の宗像直子を起用し、6人体制とした。事務秘書官の業務を助けるため、「総理大臣秘書官付室」が官邸に置かれ、各秘書官の出身省庁から選抜された若手課長補佐クラス(30代)の「内閣総理大臣秘書官補」(内閣総理大臣秘書官付)が各秘書官を補佐する。通常、事務担当秘書官と同じ外務省、財務省、防衛省、警察庁、経済産業省から1名ずつが選ばれるが、麻生内閣では総務省、菅内閣では厚生労働省から出されている。
出典:wikipedia
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