『終末のハーレム』(しゅうまつのハーレム / world's end harem)は、LINK(原作) / 宵野コタロー(作画)による日本の漫画作品。ウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』(集英社)にて、2016年22号から隔週日曜日に隔週更新で連載中。難病を治療するためのコールドスリープから目覚めた主人公が、男性だけを殺害するウイルスによって男性がほぼ死滅していた世界に直面し、出会ったばかりの女性たちとの子作りを懇願されて困惑する日々を描く。『少年ジャンプ+』の2016年新連載春の陣第5弾として、連載が開始された。成人向け漫画作品を中心に知られる宵野の、一般誌連載作品である。「きわめて高度な機械化とAI技術が普及した世界で、男性だけを殺害するウイルスの影響によって男性がほぼ死滅したうえに人工授精が必ず失敗するようになり、受胎の唯一の成功例がウイルスに免疫を持つ男性とのセックスによる子作りと判明したため、女性たちは人類の絶滅を防ぐためにもその条件を満たす生き残りの主人公にセックスを迫る」という、レトロフューチャー要素を交えた舞台設定と、それを根幹として交錯する人々の思惑がもたらす性的に過激な内容を踏まえ、作品紹介の際にはジャンルを「近未来エロティックサスペンス」と称している。また、更新時刻についても連載開始当時における他の作品のような午前8時ではなく、午前0時としている。女性の裸体や乳首については普通に描き込まれているが、iOSアプリではアップルによる表現規制が厳しいという理由もあり、第1話と最新話以外は公開されない場合があるうえ、ブロックノイズや湯気、光による修正が大部分に被せられている。また、アップルほど表現規制が厳しくないパソコンでも、午前0時に無修正版での公開を経て午前8時にはiOSアプリより薄い修正を被せた修正版へ差し替えるという措置が取られている。そういった経緯を経て、『少年ジャンプ+』公式サイトでは第8話の本編終了後に、「光…湯気…謎のノイズ…その全てが。消滅する時、来たれり。」というキャッチコピーを掲げた単行本第1巻の広告が掲載された。セックスについては成人向け漫画作品ほど露骨な描写は無く、基本的には行為の途中までしか描かれないが、前述の状況や目的ゆえに必須であることから、物語序盤には主人公に先駆けてコールドスリープから目覚めた男性とのセックスで受胎を試みた女性や、その成功例でもある胎児の存在が、登場人物の台詞で説明されている。台詞については一般的な少年漫画で伏字にされることが多い卑語も、本作では放送禁止用語を除いて普通に用いられている。上記の設定や描写ゆえ、連載開始当初から物議を醸している。詳細は#評価を参照。西暦2040年。東京では難病・細胞硬化症に罹患した青年・水原怜人が、兄・龍、妹・まひる、幼馴染・橘絵理沙に見送られ、コールドスリープに入る。5年後、目覚めた怜人の前に美女・周防美来が現れ、MKウイルスによって男性の99.9%が死滅したことや、それに免疫を持つ男性は細胞硬化症を治療した怜人たち5人しかいないことを告げ、女性たちとの子作りを要請する。先に目覚めた火野恭司が子作りに成功した方法はセックスのみであることも告げられた怜人は、龍がコールドスリープ中であることや絵理沙が行方不明であることを、UW日本支部の施設で再会したまひるに知らされる。龍たちがあと1年足らずでMKウイルスによって死亡することを美来に知らされた怜人は、絵理沙を捜し出すまで1か月間の猶予を求める。一方、早々に現状を受け容れていた恭司は、優雅な子作りの日々を満喫する。そんな恭司の姿に複雑な思いを抱く怜人のもとには、大柄のナース・龍造寺朱音や小柄のボディーガード・翠が現れる。翌日、動物研究所で脱走したクマに襲われるも翠に助けられた怜人は、そこで絵理沙がMKウイルスを研究していたことを知り、自分がその特効薬を作ることを決意する。UW日本支部の首脳陣は怜人や恭司を監視しながら、UW本部に極秘で「計画」を進める。絵理沙が残していた映像から、MKウイルスが人間によって作られたことを知った怜人はUW日本支部へ向かうが、そこで美来・朱音・翠と分断されて技術長官に監禁されたところを、国務長官・鬼原たちと美来たちに救出される。警戒する怜人に、鬼原は世界同時放送の場へ出ることを依頼する。施設外への外出許可とMKウイルスの研究施設の使用許可を条件に応じた怜人は、女性たちに希望を捨てないよう呼びかける。鬼原たちは恭司の子を受胎する女性たちが順調に増えつつある成果にほくそ笑み、怜人の次に目覚めた男性にさらなる子作りと「計画」への期待をかける。個人ニュースサイト「アキバBlog」が、本作の単行本第1巻発売を記念して宵野と担当編集に行なったインタビューによれば、彼女たちは以下のように答えている。企画については、担当編集とLINKの打ち合わせから始まった。担当編集とLINKは、男性が消えて女性だけになった世界で主人公がモテまくる話にしようと最初から決めており、その後に魅力的な女性を描く宵野へ企画を提案した。近未来SFでシリアスも入ったハーレムは珍しいので面白味を感じた宵野は、SFを描いた経験が無かったために不安も感じたが、今までの作品を最大限に活かせる内容でもあったので引き受けたという。キャラクターデザインについては、怜人は読者が感情移入しやすいような派手すぎない見た目にしたい一方、女性から見てもいいなと思える部分を意識している。美来はモダン系のイメージで、当時のトレンドだった映画『キングスマン』の出演女優、ソフィア・ブテラをモデルに、女性らしさを強調している。憂いを帯びた印象を与える白い睫毛は、それまで描いたことが無かったという理由もあり、思い入れは強いという。まひるはセクシーにならないよう、可愛さのある元気っ子として、成長後も表情は変えないように意識している。恭司はお調子者の性格に合わせて未来っぽい服にサイバー風のサングラスをつけ、イメージはHIDEの雰囲気にしている。朱音は垂れ目が最初から決まっており筋肉質だったが、女性らしさが欠けてしまうことから、グラマラスにしている。翠は朱音と対になる小さい子として三つ編みがポイントであるうえ、動かしやすさから宵野の方で勝手に台詞が追加されているが、結果的に登場人物の魅力は増しており、自分の意見も取り入れられている宵野は、自由さから描いていて楽しいという。性的描写については、本作の魅力が「女性をいくらでも出せるハーレム作品でありながら、たくさん含まれるシリアス要素や謎、SF要素が本作ならではの独自性や魅力につながっていること」としたうえで、恭司と玲奈のメイティングシーンを挙げている。当初、玲奈は恭司に美味しい思いをさせるだけのチョイ役だったが、宵野のこだわりと画力によって物凄く可愛く描かれたことで、彼女の周囲やインターネットユーザーから再登場を望まれるという大反響を呼んだ結果、連載時のメイティングシーンのその後が単行本第1巻で加筆されることとなったそうである。単行本第1巻のキャッチコピーについては、担当編集が作品の雰囲気を壊さないように、情報を伝えられるようにと考えた。無料で公開している媒体に連載しているため、小さい子にそのまま見られるのはどうなのかという話から、連載時は修正を施している。「セミカラー版」と題した電子書籍版については、濡れ場シーンだけを着色しているが、「濡れ場だけなのでフルカラーじゃない、本全体の中で一部カラーページ」という意味である。集英社の電子書籍はフルカラーとモノクロの2種しかないため、それをどう表現するかと試行錯誤した結果、今回初めて使う表現となったそうである。LINKは近未来における食料生産、人の移動、人口半減による科学力低下などの設定を、なるべく細かく決めているという。それによるデザインの苦労は相当なものであり、アシスタントと毎回悩みながら描いている宵野は、今の科学と風景を残しつつ近未来を入れていくのがどこまで嘘臭くならないかとの匙加減が、凄く難しいそうである。見やすさを重視しつつ情報量を多くしたいために構図を頑張っており、女性は服を着ていてもセクシーに見えるようにスカートの尻の皺を強調してこだわっているほか、表情もいつもよりリアル寄りを心がけており、全部見せずにエロくするために構図とポーズ、行動やシチュエーションで工夫しているという。「終末のハーレム」というタイトルについては、宵野と担当編集、LINKの3人で打ち合わせ中にいくつか候補が挙がった結果、宵野の鶴の一声で決まった。候補の中には「終末のスタリオン」もあったが、スタリオンは「種馬」という意味であるため、それにしなくて本当に良かったという。また、『少年ジャンプ+』で隔週日曜日に配信されることにちなんで「週末」と「終末」をかけたわけではなく、おそらく偶然だそうである。宵野は『少年ジャンプ』らしさが自分の中で出せなくて悩んでいるが、担当編集は本作がジャンプにそぐわないと思ったことは一度もないうえ、むしろこれから「ジャンプ+の漫画はこうだ!」と言えるよう、本作が育っていけばいいと思っているという。第1話が、美来に背後から密着されながらメイティング候補の女性たちの選択を迫られる怜人の姿を経て、マジックミラー越しに彼女たちが全裸で立ち並ぶ光景をフルカラーで描いた扉ページで始まることに加え、#概要で述べた経緯を経て扉ページが修正版へ差し替えられたこともあり、Twitterなどでは話題となった。また、第2話はベッド上の怜人に美来が全裸で迫るページが修正版へ差し替えられたため、2016年新連載春の陣第6弾作品『彼方のアストラ』の公式Twitterでもイラスト付きで話題にされた。第1話の公開後、フランス書院の美少女文庫には、「終末のハーレム、ジャンプがやると話題作 わしらがやると埋没凡作 どうも釈然とせん」と評されている。第5話の公開後、三才ブックスの情報サイト「mitok」には、「おバカな舞台設定を成立させるための説明付けは頑張って詰め込まれてはいるものの、現状SF的な新奇性はなく処理自体はざっくばらん。第3話までは前置きが続く印象で、『こういう話なら1話でセックスしなきゃダメじゃね?』という煮え切らなさと力点の不在感は正直あるかも。」と評されている。また、ギャグ漫画『斉木楠雄のΨ難』のテレビアニメ化記念特別描き下ろし漫画には、本作のブロックノイズ修正がネタの1つとして用いられている。第7話の公開後、『週刊少年ジャンプ』副編集長兼『少年ジャンプ+』副編集長の細野修平へのインタビューを行なったCNET Japanには、段階的な修正や差し替えを「こうした見せ方の変化は、柔軟にコンテンツを修正したり、配信方法を変えたりできるデジタルならではの利点と言えるだろう」と評されている。また、ITmedia Mobileが行なった細野へのインタビューでは、彼に『少年ジャンプ+』のダウンロード数などの現状について「4〜5月の新連載の成果で、毎週のアクティブユーザーが110万から130万に伸ばしました。その起爆剤になったのが『ファイアパンチ』と『終末のハーレム』です。」と評されている。単行本第1巻の発売後、電子書籍版については『少年ジャンプ+』での特集ページ以外にも、各社による販売サイトの一部では内容を詳細に解説する特集ページが開設されている。また、細野にはeBookJapanの『編集長、オススメのマンガを教えてください2016』で「オススメのマンガ」として挙げられている。第10話の公開後、宝島社の漫画情報サイト「このマンガがすごい!WEB」には、荒涼とした世界に怜人と絵理沙の関係を絡めて「セカイ系の影響を受けているのが端々から見える」と評されている。また、サイゾーのオタクニュースポータル「おたぽる」には、極端な男女比に女性たちの欲望を絡めて「ゾンビに保護されているような怖さを感じる」と評されている。
出典:wikipedia
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