ホワイトウォッシング()は、アメリカ合衆国の映画業界で白人以外の役柄に白人俳優が配役されること。映画黎明期より度々白人俳優が白人以外の役に配役されてきており、映画の歴史と共にある。日系アメリカ人活動家のガイ・アオキは「アフリカ系アメリカ人がホワイトウォッシングの対象であるのと同様にアジア系民族も経験している」と語った。ネイティヴ・アメリカンにも同様のことがいえる。白人が多数でない国では「カラー・ブラインド・キャスティング」といって白人以外の俳優が白人の役を演じることがある。黒人俳優のイドリス・エルバは白人登場人物である『ダーク・タワー』のローランド・デスチェイン役、『マイティ・ソー』の北欧の神ヘイムダル役を演じている。近年では『"Steel Magnolias" 』(2012年)や『"Death At A Funeral" 』(2010年)など全て黒人俳優によりリメイクされた作品もある。こちらも議論の対象となっており、オリジナル作品のファンの多くはこれを批判し、「ブラックウォッシング」と呼んでいる。20世紀初頭、白人俳優が顔を黒や黄色に塗り風刺を込めて少数民族を演じ、少数民族の特徴的な行動を誇張して演じていた。白人俳優のウォーナー・オランドは映画『"Charlie Chan Carries On" 』(1931年)のシリーズで中国人探偵チャーリー・チャンを演じた。有色人種の登場人物が映画界に少なかったこともあり、これらの役は当時少数民族から好意的に受け入れられていた。20世紀中期になるとより人種の融合が進み、主演の白人俳優ローレンス・オリヴィエが顔を黒く塗った映画『"Othello" 』(1965年)以外は白人が顔に黒い色を塗って登場することはほとんどなくなっていた。しかし1960年代、『ティファニーで朝食を』(1961年)でミッキー・ルーニーが日本人家主を演じるなど、顔を黄色く塗ることは増えていった。デイヴィッド・A・シュロスマン教授は「アジア人登場人物の多くは白人俳優によって、アメリカ国内で考えられているステレオタイプで演じられる」と語った。21世紀になってもなお、少数民族の俳優は映画出演の機会があまりない。黒人の役は黒人俳優が演じるようになってきているが、ホワイトウォッシングはそれ以外の人種に起こり続けている。2015年、BBCは「非難や抗議に関わらず、白人以外の役を白人が演じることはまだハリウッドにはびこっている」と語った。2013年の報告書によると、映画会社の重役の94%が白人で、白人でない映画製作者や俳優はあまりいない。BBCは業界的人種差別があり、プロデューサーらは白人俳優の方が観客受けが良く利益を最大限享受できると信じているからだと指摘している。ソニー・ピクチャーズ会長トーマス・ロスマンは「制度や慣例だと思う。業界は向上していると思うが、皆が言う通りまだ全然十分ではないと思う」と語った。『"Multicultural Psychology: Understanding Our Diverse Communities" 』(多文化心理学: 多様化への理解、の意)の作者ジェフリー・ミオは白人の多い映画界は自分と似た境遇の人を雇う傾向があるのではないかと推測する。ミオは最も条件に見合った人を配役することが前提として「監督と配役担当者の間で配役を検討し、民族的俳優たちは彼らから「最高の俳優を選んだだけだ」と言われるがそれは結局彼らの友人、過去にも一緒に仕事をした人たちと同義だと思う」と語った。ペパーダイン大学映画史教授クレイグ・デトウェイラーは「アフリカ系アメリカ人、アジア系、ラテン系のスターが少ない。ハリウッドが進歩していくためには、この配役決定は非常に逆行している」と語った。2010年、芸能ニュース・サイトの"TheWrap" は、業界の多様化の欠如および有色人種の人気俳優の不足が原因であるとし、『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』や『エアベンダー』などの映画が問題をさらに悪化させたと語った。俳優組合"SAG-AFTRA" の全米専務取締役デイヴィッド・ホワイトは白人俳優の利益最大化について、ウィル・スミス、デンゼル・ワシントン、デヴィッド・オイェロウォのような黒人俳優は配役理論について反論していると語った。電気通信学助教授アンドリュー・J・ウィーヴァーは「ハリウッド映画において、白人は黒人俳優や他の人種が多く出演する映画を敬遠する傾向がある。そのため少数民族の役柄でも白人が配役されている」と語った。映画学教授ミッチェル・W・ブロックは「投資者やプロデューサーに印象付けるため、ビジネス上撮影所と配役は切り離すことができない」と語った。リドリー・スコット監督は、著名な俳優を配役せずに聖書を基にした叙事詩的映画『』(2014年)はできなかっただろうとし、「低予算では映画を作ることはできない。主役が無名の役者では資金を得ることはできなかっただろう」と語った。『USAトゥデイ』紙は『ティファニーで朝食を』(1961年)、『マイティ・ハート/愛と絆』(2007年)、『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜』(2015年)などの映画は「有色人種に俳優、監督、プロデューサーの職が不足しているにも関わらず、白人俳優が主要な役柄に配役され続けている」と記した。メディア監視グループは、『ローン・レンジャー』(2013年)でジョニー・デップがネイティヴ・アメリカン役を演じるなど、映画における配役問題の解決策を模索している。アメリカの映画は世界市場となっており、より現実味を求める多様な観客から議論が起きている。SAG-AFTRAのデイヴィッド・ホワイトは白人でない役に白人俳優を起用することへの議論に対し「法律では職を得るのに人種は考慮されないこととなっている」と異議を述べたが、配役の多様性の欠如は認めた。法律学教授ジョン・テーラニアンは「もちろん、人種で区別しない配役は本質的に間違いではない。しかし現実にはアフリカ系アメリカ人、ラテン系、アジア系俳優が白人の役に配役されることはめったにない」と語った。ただしこれらの概念に対し、近年ハリウッドでは『"Steel Magnolias" 』(2012年)や『"Death At A Funeral" 』(2010年)など、人気映画のリメイクを全て黒人俳優で演じる作品が製作されている。『ANNIE/アニー』(2014年)、『ベスト・キッド』(2010年)などのリメイク映画はオリジナル作品のファンからは支持を得られず、基礎的な部分を変えたことで「ブラックウォッシング」と批判された。「ホワイトウォッシング」と批判されている作品を原題のアルファベット順で以下に示す:
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。