『吸血姫夕維』(ヴァンパイアゆい)は、垣野内成美による日本の少女漫画。『月刊サスペリアミステリー』(秋田書店)にて連載された。ジェネックスよりゲーム化もされている。数奇な運命から永遠の時を生きる吸血姫になってしまった14歳の少女「瑞月夕維(みづき ゆい)」の物語。本作品は『吸血姫美夕』のスピンオフ作品でもあり、『美夕』と世界観を共通している。1990年から断続的に連載が続き、数年連載した後にまた数年休載するということの繰り返しとなっていた。完結を目前にして掲載誌『サスペリアミステリー』が探偵物専門誌へと路線を変更したため、同誌2005年3月号をもって打ち切りとなった。2009年より、同人誌で「吸血姫夕維 香音抄」の単行本最終巻以降の続編(最終章)の執筆を開始し、2015年夏に全15巻(単行本にして2冊程の内容)にて完結した。連載開始時のタイトルは『鮮赤の舞姫 夕維』(単行本1巻収録・鮮赤の夕姫編)であったが、単行本化の際『吸血姫夕維』と改題され、以降は改題後のタイトルで連載された。『新・吸血姫美夕』以降の『美夕』シリーズには、『夕維』シリーズを読んでいることを前提とする設定が数多く組み込まれている。また、『吸血姫夕維』自体からスピンオフした『THE WANDERER』という別作品が発表されたり、垣野内の別作品『DAHLIA THE VAMPIRE』シリーズにも『夕維』シリーズと設定を共有する要素が近年になって新たに組み込まれたりと、『夕維』シリーズは垣野内作品をクロスオーバーさせるための中心軸のような役割も果たしている。闇の世界から人間界へ逃亡した「はぐれ神魔」の一人が、神魔の監視者である吸血姫「美夕(みゆ)」により闇に帰されたことから物語は始まる。このはぐれ神魔には人間の妻がおり、美夕は夫を失った悲しみを忘れさせるために彼女に血を与えた(吸血姫の血を与えられた者は全ての苦痛から解放され永遠の夢の中でまどろむことになる)。しかし、この時に彼女の胎内に宿っていた娘、本作の主人公である「瑞月夕維(みづき ゆい)」も吸血姫の血の影響を受けることになる。この女性は夕維を出産した後に亡くなってしまったが、夕維自身は特に何事もなく人間として少女時代を過ごす。しかし夕維が思春期に達したある日、眠っていた吸血姫の血が目覚め、夕維は望まぬ形で永遠の命を得ることとなる。また夕維には、はぐれ神魔とは別に日本の妖のエリートであり神魔と対局をなす『シ』一族の血も流れていた。(母方の「瑞月」が『シ』が棲む異界「鮮赤の池」の長姫「夕姫」の血縁者であった。)強大な血の力で「鮮赤の池」を統治していた夕姫であったが、遠い昔、人間の青年(那嵬の義兄)に恋をし彼と共に池の底で眠りについたため池が乱れ、自由を得た『シ』の者達が人間界へと流出した。そして、吸血姫として目覚めた夕維の元に『シ』の血を引く「那嵬(なぎ)」と名乗る青年が現れ、夕維に池に帰り夕姫を起こすよう令する。那嵬(ナギ)は、かつて人間である義兄を夕姫に奪われており、義兄を取り戻すために池の底で眠りについた夕姫を起こす力を持つ夕維に近づいたのである。やがて己の宿命を受け入れた夕維は故郷を後にし、那嵬と共に放浪の旅へと旅立つ。夕姫が眠りについたことで自由を取り戻した『シ』たちは、夕姫を目覚めさせまいと夕維と那嵬を付け狙い始め様々な争いに巻き込まれる事となる。時が経ち那嵬に深い愛情と思慕の念を抱くようになった夕維は、自分の元を去った那嵬に会いたいがため、夕姫を起こし義兄を取り戻したいという那嵬の願いを叶えるべく、一度は鮮赤の池へと帰る。「吸血姫夕維」は夕維と那嵬を軸に展開してきた物語であり、同人誌で完結を迎えた最終章も夕維と那嵬のそれぞれの願いと想いが交差した形で描かれている。 悲しい終わり方ではあるが、那嵬を愛した夕維が決意した道であり、究極の恋愛。と作者は語っている。本作は吸血姫である夕維を14歳の普通の少女と捉えており、吸血姫になってしまったが故に社会に溶け込めなくなった悲哀を描いている。これは、主人公を超越者として描いていた『吸血姫美夕』とは大きく異なる点である。夕維は美夕のように「シ」(美夕の場合は「神魔」)を追って学校に転入生として潜入することもあるが、美夕とは異なり、人間に共感し、人間と交友することを好む。結局は自身に関する人間たちの記憶を消して立ち去ってしまうが、彼女は関わった人間を忘れることはない。幼馴染が大人になり結婚していく姿を、少女のまま取り残された夕維が影から見守るエピソードも描かれ、人間だった自身の過去を振り返らなくなった美夕とは対照的である。また「吸血姫美夕」のラヴァは美夕の忠実な下僕であるが、「吸血姫夕維」の那嵬は下僕ではない。※担当声優はゲーム版のもの。秋田書店から以下の単行本が発行されている。2009年から同人誌にて香音抄の続編である「最終章」を執筆し2015年に完結。全15巻。同人誌「姫つづり」「姫かがり」「姫結び」にも香音抄のエピローグ的な短編や番外編が掲載されている。『吸血姫夕維〜千夜抄〜』のタイトルにてジェネックスより発売された。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。