ゴルフ("Golf")は、ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンが製造・販売しているハッチバック型の自動車である。1974年に発表され、現在(2015年)も展開されている。「Cセグメント」に分類されるハッチバック車であり、世界の車種別歴代総生産台数ではトヨタ・カローラに次ぐ第2位であり、2013年7月には累計の生産台数が3,000万台に達した。日本市場へも、初代モデル登場時から継続して輸入・販売されており、高い知名度を持つ代表的な輸入車となっている。1974年に発売されたジョルジェット・ジウジアーロのデザインの傑作である初代ゴルフは、横置きエンジンによるFF(FF)方式と効率的なパッケージングによるコンパクトな外寸、余裕のある室内空間を持ち、世界中でヒットとなり、約680万台が生産された。当初はVWの実質的なローエンドに位置する大衆車であったが、「GTI」と呼ばれるホットモデル(スポーツモデル)が初代から歴代発売されている。車名の由来はドイツ語で「メキシコ湾流」を示す「"Der Golfstrom"」(デア・ゴルフシュトローム)から。同時期に発売された、他のフォルクスワーゲンのモデル(シロッコ、ジェッタ等)に風の名前が付けられているのに対し、「ゴルフ」の名は海流の名称に因んでいる。しかし、メキシコ湾流の成因の一つは貿易風とされているため、風と全く無関係の言葉ではない。なお、貿易風はドイツ語で「Passat」(パサート)となり、これはフォルクスワーゲン・パサートのモデル名として採用されている。また、後に発売されたVWの一部モデルにスポーツ関連の名称(キャディ、ダービィ)が付いており、前述のポロもスポーツのポロの意味に取れることから、「ゴルフ」もスポーツのゴルフを兼ねたものとする説もある。実際、ゴルフGTI16Vにはゴルフボール型のシフトノブを持つものも存在する。なお、北米市場においては初代が「ラビット」、2-4代目が他国と同じ「ゴルフ」、5代目で再び「ラビット」を名乗っていたが、6代目で「ゴルフ」に戻されている。フォルクスワーゲンは第二次大戦後、フェルディナント・ポルシェ設計のビートルを生産して大躍進したが、1960年代に入るとさすがに後継車の開発が求められるようになっていた。1965年、当時の社長であったハインリヒ・ノルトホフはこの車の設計をポルシェに委託し、ポルシェはこれに応えてEA266を開発した。この車は水平シリンダーの横倒しエンジンを後席のシートの下にアンダーフロア・ミッドシップというレイアウトで配置する方式を採用し、パッケージングとしては極めて優秀なものであったという評価をする向きもあるが、当時アウディNSUアウトウニオンでアウディ・80の開発を行なっていた開発責任者のルートヴィッヒ・クラウスは後部座席の下に臭気と騒音を発するエンジンを搭載し、そのレイアウトのお陰で車高が高くなるこの車には否定的な意見を持っており、ライディングからそれまで掛かった開発費用とこれから掛かる予定の額を聞いて開発を中止するように勧めた。このEA266は初代ビートルと同じく1台当たりいくらという形でのギャランティーをポルシェに支払う契約となっていたため、相対的に見てコスト面で割高な商品であった。また操縦安定性の点でも、高エネルギー時の御しづらい特性は当時の技術レベルでは解決が難しかった。このためノルトホフが急死した後にフォルクスワーゲン社長となったクルト・ロッツ()はこの車の開発を進めていたが、その後任のルドルフ・ライディングはEA266の生産計画を白紙に戻した。初代ゴルフの開発責任者であったヴェルナー・ホルステ博士は衝突安全性の面から横置きエンジンを好み、1970年にロッツからこのレイアウトを量産車に採用する許可をもらっていた。ジョルジェット・ジウジアーロにスタイリングを依頼し、エンジンをアウディNSUアウトウニオン、その他をフォルクスワーゲン技術部門で開発されたビートルの後継車が初代ゴルフである。スタイリングとパッケージングはジウジアーロによるものであり、フロントドアには三角窓があった。1974年から欧州で販売された。日本導入は翌1975年からで、排ガス規制等に伴う年次変更が多かった。ゴルフのホットハッチ「GTI」は、当時、日本への正規輸入はなかったが、モデル末期の1983年にはヤナセから「GTD」が販売された。これはGTIとほぼ共通の外装を持ち合わせたスポーツ仕様であり、出力90馬力のターボチャージング付き1.6リットルディーゼルエンジンが搭載されていた。カブリオのコーチワークは、ビートル・カブリオ(Typ 15)以来の関係を持つ、カルマンが担当した。次世代のゴルフ IIでは新たなカブリオレモデルの設定はなく、このカブリオは、「クラシック」のサブネームを与えられて、ゴルフ III カブリオの登場まで販売される長寿モデルとなった。1983年秋に初のフルモデルチェンジを行う。日本での販売開始は1984年。初期仕様は先代同様にフロントドアウィンドウに固定式の三角窓があった。サンルーフは手動開閉式、ATは3速であった。また、右ハンドル仕様でもワイパーが左ハンドル用のままであった(メーカーは、払拭面積を拡大したため問題なし、としていた)。また、この代からGTIの正規輸入が始まった。当初8VのGTIが登場し、後から16VエンジンのGTI16Vが追加された。GTIは当時人気のあったピレリP6を履き、純正ホイールもピレリのPの文字がデザインされたモノが装備されていた。GTI16Vは4灯のグリルを備えていたが、日本国内の保安基準(補助灯の中心はヘッドライトの中心より上にあってはならない)に適合せず、中央寄りの2灯は点灯しなかった。また、1986年に世界で初めてゴルフ2ディーゼル(型式「1V」)に酸化触媒が搭載された(ただし、日本仕様での酸化触媒はゴルフ3から)。最初のマイナーチェンジでは、三角窓の廃止、ドアミラー位置の移動、エンブレムの変更ならびに右ハンドル仕様のワイパーがそれ専用に改良された。エンブレムは右端にVWのマークとVolkswagenの文字だったが、このマイナーチェンジで中央にVWマークのみとなった。2度目のマイナーチェンジではバンパーの形状を変更、ボディ下部まですっぽりと覆うより現代的なものに変更された(通称ビッグバンパー)。ボディサイズは、現在のポロ程度であり、デザインはVW社内で行われたものであった。Ci、CLi、GLi、GLX、GTI、GTI 16V、C diesel、CL diesel、CLD turbo、GTD1991年にモデルチェンジされ、欧州では同年から日本では翌1992年より販売される。ゴルフ史上で一番廉価なモデル(CLi2ドア)であり、初めてカブリオがモデルチェンジを行い、ゴルフ初のワゴンも登場した。ヘッドランプの形状に対しては賛否意見がわかれた。1992年、欧州カーオブザイヤーを受賞。日本ではVWが当時、ロックバンドのボン・ジョヴィの来日公演のスポンサーだったことから、限定車として「Bon Jovi Edition」が販売され、欧州では、ピンク・フロイド仕様も発売された。先売のコラード同様、狭角V6エンジンを積む「VR6」が追加発売された。日本でのサンルーフ付き「VR6」は1995年式のみ。GTIとVR6はブリスターフェンダーを採用したため、全幅は1,710mmとなった。ゴルフ - CLi(2ドア/4ドア)、CLディーゼル、GLi、GTI、VR6ヴェントフォルクスワーゲン会長フェルディナント・ピエヒ主導による高級化路線の影響を受けたモデル。塗装やボディパネルの継ぎ目、各パーツの組み付け精度など内外装ともに品質が格段に向上した。全幅は1,700mm超となった。プラットフォームはアウディA3、TTなどと共通。全体に純亜鉛メッキを施され、高張力鋼板を多用、それをレーザー溶接で接合する事から飛躍的にボデイ強度や安全性が高まった。一部のグレードは旧東ドイツのモーゼル工場製がある。ドイツ統一後の東側地域産業復興の象徴として製造もされた。ニュービートルに次ぐRラインとして設定されたR32は本モデルより登場し、日本へは2ドア(左ハンドル仕様)が500台、4ドア(右ハンドル仕様)が400台の限定にて輸入された。初期型のアウディ製1.8リットルDOHCエンジンを搭載したグレードは好評であったものの、高コストな5バルブエンジンであったこと、日本の道路事情を考慮してATとのマッチングを重視したこと等から、初回のマイナーチェンジで、旧世代の低回転域トルク型2.0リットルSOHCエンジンに変更されたが、一部の自動車評論家に酷評された(ゴルフIIIではカウンターフローだったものを、クロスフローに改良した後方排気エンジン)。後期型NAエンジンには可変長インテークマニーホールドが採用され、燃費の向上およびエンジン出力の向上がなされた。ボーラ、ニュービートルゴルフ・カブリオレは、4代目ゴルフに似せた外観に変更されたが、内容は先代・ゴルフIIIの継続であった。足回りはEDB(電子制動力制御装置)付きABSとなった。制動時の前後ブレーキ力配分を制御し、荷重移動でノーズが下がったり、コーナリング制動時の急激なオーバーステアを防ぐ装置が付加された。またEPS(横滑り防止装置)も装備される。これらの装備は当時の大衆車としては極めて先進的である。エアバッグは全車にデュアル&サイドエアバッグ(のちにカーテンエアバッグ)フォースリミッター&テンショナー付きシートベルトが標準で装着。ドイツでは2003年に発売される。一般モデルはボディ同色の小さいグリルであったが、「GTI」や「GT」にはアウディと同様に大型の「ワッペングリル」が採用される。後半モデルより1.4Lガソリンエンジンにターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせた「TSI」エンジンや、機械式のツインクラッチ式フルオートマチックトランスミッションである6速「DSG」(湿式多板クラッチ)、7速「DSG」(乾式単板クラッチ)が登場した。ドイツでは2008年に発売される。米国仕様は今回のモデルチェンジを機に車名がドイツと同じ「ゴルフ」となった。プラットフォームは先代と同じで、ボディパネル、内装が一新された。ただしヴァリアントは大幅なフェイスリフトは見送られ、フロント部分と内装の変更にとどまる。当モデルをベースにハイブリッド仕様の「Twin Drive」、電気自動車仕様の「Blue e-motion」の試作車が開発された。車体骨格は、新開発のモジュールプラットフォーム「MQB」に一新。先代モデルと比較しておよそ100kgの軽量化を果たしたほか、全長、全幅、ホイールベースを若干大きくなったが、全高は低くなり、よりスポーティなデザインとなった。フォルムは先代を基本的に踏襲しているが、サイドミラー付近には視界確保のため小窓が設けられた。エンジンやサスペンションなどの主要機構も一新された。エンジンはガソリンエンジンの1.2L TSI、1.4L TSI、気筒休止システム仕様の1.4L TSI ACT、GTIに搭載される2.0TSI。ディーゼルエンジンが1.6L TDI、2.0L TDI。すべてブルーモーション・テクノロジー仕様である。ダッシュボードパネルは非対称の形状となり、全車の駐車ブレーキが電気式となる。1970年代から1980年代にかけて、ドイツや日本などでゴルフのワンメイクレースが「Golfポカールレース」の名称で開かれていた。著名な参加者に、歌手の稲垣潤一や俳優の岩城滉一、三原じゅん子なども参戦していた。2005年からは「ゴルフGTiカップ」の名称で行われている。
出典:wikipedia
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