清水峠(しみずとうげ)は、群馬県みなかみ町と新潟県南魚沼市との境にある峠。中央分水嶺を構成する谷川連峰上にあり、標高は1,448m。清水峠越えの道は、古くは「直越(すぐごえ)」と呼ばれ、山道の区間は長いものの上野国と越後国とを結ぶ最短のルートであることから、西側の三国峠とともに古来よりよく利用されてきた。この道は上野国水上から越後国清水までの距離に因んで「十五里尾根」と呼ばれ、また越後の戦国大名・上杉謙信の軍勢が関東への行軍の際に使用したことから「謙信尾根」とも呼ばれ、現在も新潟県側の登山道に名を残す。しかし江戸時代には三国峠越えの三国街道が整備されたことから、江戸幕府は湯檜曽に口留番所を設置して通行を禁じ、江戸時代を通じた200年以上に渡って清水峠はほとんど利用されなかった。明治時代に入り関所・番所が廃止されると、清水峠越えの距離の短さが改めて注目され、熊谷県令・河瀬秀治の計画により、民間からの寄付金を財源として新道が作られた。1874年(明治7年)6月に着工され、同年10月に完成した。この工事は残された資料が乏しく詳細は不明であるが、わずか4ヶ月で作られた道ということで古道の改良と推測されており、この時点では登山道程度のものであった。1877年(明治10年)7月、清水越往還が県道一等に指定された。1878年(明治11年)に内務卿の大久保利通が提唱した土木7大プロジェクトに唯一の陸路建設として清水越往還が取り上げられ、馬車交通が可能な緩勾配・広幅員の道路に改修することが決定した。1881年(明治14年)7月より工事が行われ、1885年(明治18年)8月に完了した。この道路は完成前の明治18年2月24日に内務省告示第6号「」で国道8号「東京より新潟港に達する別路線」の指定を受けている。開通1ヶ月後の明治18年9月には、内務卿の山縣有朋や北白川宮能久親王らも招いて実際に馬車で通行し、峠上で盛大な開通式が行われた。しかし、その翌月の10月には長雨のため各所で土砂崩れが発生し、修復する間もなく降雪期を迎えた。日本有数の豪雪地帯である谷川連峰の酷しい気候に曝された各所で雪崩が発生し、雪解け後には既に馬車の通れる状態ではなくなっていた。そのため長期にわたって通行止にせざるを得ず、暫くは修復が試みられたものの、ついには放棄された。特に荒廃の激しかった新潟県側では、国道以前に使われていた十五里尾根も荒廃していたため、1890年(明治23年)に新しい登山道の居坪坂(いつぼざか。井坪坂とも表記)が六日町の商人・佐藤良太郎によって私費で整備され、国道はますます使われなくなっていった。1922年(大正9年)4月1日に国道8号は県道前橋新潟線に降格されたが、このころにはほとんど廃道のようになっていた。1970年(昭和45年)に新潟県内の県道と合わせて国道291号に再指定されたものの、峠付近の修復・改良は全く行われないまま現在に至る。国道291号のうち清水峠前後の約27kmは自動車通行不能区間に指定され、今なお登山道程度の点線国道のままになっている。車道として再開通させようという動きもない。群馬県側では崩落などが複数の箇所で発生しているものの、一部迂回路・短絡路を利用して清水峠まで徒歩で通行可能であり、道路としての機能は曲がりなりにも維持されている。新潟県側には、国道291号の他に前述の2本の登山道(十五里尾根、居坪坂)がある。国道は馬車交通を可能にする目的で勾配を緩和させるルートをとったため著しく遠回りになっており、馬車交通が不能となった後は急坂ではあるが距離の短い登山道が専ら利用された結果、居坪坂によってバイパスされた区間が廃道状態になっていった。長期間にわたり通行者がほぼ皆無であることに加えて、数十年間あるいは100年以上も維持管理が全くといってよいほど行われていないため、路上は非常に深い藪で覆われてしまった。途中一ヶ所にあった隧道は崩壊埋没し、橋梁は全て流失しており、その殆どが橋台や橋脚の痕跡すら無くなっている。土砂崩れや雪崩などによる大規模な路盤決壊も複数の箇所で生じており、中には道の形状や経路さえ判然としないような所もある。そのため法令上はれっきとした国道でありながら、道路としての機能が全く失われている。現在ではJR東日本の送電線巡視路として活用されている部分を除いて立ち入ることすら困難な状態になっており、この区間を通り抜けることは不可能に近い。鉄道や高速道路は、やはり距離の短さを重視したため清水越往還に近いルートを選び、長大トンネルで通過している。清水峠を越える道路は南魚沼市清水の集落に抜けるが、鉄道や高速道路は山1つ西の湯沢に抜けるようになっている。トンネルの名称に「清水」と入っているものもあるが、清水峠の直下ではなく、実際には南西に少し離れた谷川岳の近傍を通る。
出典:wikipedia
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