ローデンシュトック("Rodenstock" )は、ドイツの光学メーカー。1877年、ヨーゼフ・ローデンシュトック("Josef Rodenstock" 、1846年-1932年)が創業し、二代目アレキサンダー・・ローデンシュトック("Alexander Rodenstock" 、1883年-1953年)、三代目ロルフ・・ローデンシュトック("Rolf Rodenstock" 、1917年-1997年)を経て現在四代目のランドルフ・ローデンシュトック("Randolf Rodenstock" )がCEOである。眼鏡の他プロ用写真レンズ、光学用精密工作機、コンピュータサービス、医療用光学機器など光学機器専門のメーカーとして現在に至る。「品質第一主義」の方針を掲げ、高級品を製造。現存する数少ない、光学機器専門のメーカーであるところの眼鏡メーカーである。中でもエクスクルーシブシリーズは1975年より始まり、高級フレームとして地位を確立、現在に至る。星野仙一、石原慎太郎、堺屋太一、谷村新司など他多数の各界著名人が使用しているのをテレビ雑誌等で見ることができる。現在は大判用レンズが主力である。ジナー純正のシナロン("Sinaron" )はローデンシュトックが製造したOEM製品。またハッセルブラッドのアークボディ用レンズも製造している。過去にはドイツコダックのレチナにレンズを供給し、またエクサクタ、M42(プラクチカ)、ライカ等汎用マウント向けに少数ながら交換レンズを供給していた。現在ライカ判用レンズは製造していない。カール・ツァイス、シュナイダー・クロイツナッハと並んでドイツ三大レンズメーカーの一つであるが、創立以来ほとんど眼鏡とその関連商品のみで業績を拡げた。HRディガロンW("HR Digaron-W" )は撮像素子サイズ40×54mmまで対応し、回折を限定し、高解像度を持つよう開発されたデジタル撮影用レンズ。メーカーでは回折によるシャープネスの低下を回避するため絞り込みは少なくしアオリ機能を使用する必要があるとしている。HRディガロンS("HR Digaron-S" )はデジタル写真に最適化された高性能レンズ。絞り開放でも回折を限定して理論的理想に近いシャープさで一般的な画質基準をはるかに超える光学性能を発揮するとメーカーではアナウンスしている。メーカーでは、テクニカルカメラで深度の深い被写体を撮影する場合、レンズの絞り込みをできる限り抑え、アオリ撮影によることを推奨している。ユリゴン("Eurygon" )は逆望遠型の広角レンズ。レチナレフレックスS等用交換レンズ。アポ・ゲロゴン("Apo-Gerogon" )は、4群6枚完全対称・オルソメター型で、完璧なアポクロマート補正がなされている業務用プロセス・レンズで色収差を高度に補正している。現行のアポ・ロダゴンシリーズの前身とも言えるが、主目的は屋外使用も考慮された製版用プロセスレンズであったため、長焦点レンズが主体である。1/10×から10倍の撮影倍率のために最適化されているが、広い用途で使用される。完璧なアポクロマート補正をすると球面収差が激増するので、それを押さえるためにF9など開放F値を大きくしている。写真製版などの業務需要の縮小に伴いすでに製造停止である。大まかに前期型と中期型、後期型などがある。前期型は、アルミ削りだしのレンズ鏡筒で絞り環などがゼブラ仕上げの総金属製鏡筒になっている。中期型は、鏡筒は前期型同様に金属鏡筒だが、鏡筒デザインは、最近のロダゴンシリーズの金属鏡筒製の高級品と部品を共有している関係上、レンズ前群は同じデザインである。このタイプも総金属鏡筒である。カラー印刷が主流になり、それに合わせてコーティングも改善されたがモノコート主体であった。中期型にはドイツ製の他に日本製の個体も存在している。中期型の日本製アポ・ゲロゴンはマルチコーティングである。後期型は品目によっては、現行ロダゴン同様の合成樹脂製鏡筒に変更された物もある。プロセスレンズでありながら、ウォーターハウス型アタッチメントスロットを備えていないが、プリントの引き伸ばしから、写真製版、一般撮影まで、多目的に使用した場合でも非常に優秀で描写性能が高い。古い年代の品目によっては、開放絞りで色収差やレンズフレアが出る物もあるが、何れも絞りを1段絞ればほぼ完璧な描写である。240mm以下のレンズは前期型~後期型まで、絞りの開閉に寄与する内部リングは樹脂製である。前期型は透明樹脂に絞り番号が印刷されているが中期型以降は、黒色樹脂に絞り番号が印刷された物に変更されている。クリックストップ機能は、一般的なボールベアリング式ではなく、一貫して、簡易な金属片バネ落とし込み式であるため、メンテナンスが容易である。後期型の絞り環クリックストップ機構は、全て樹脂製のため、摩耗すれば機能しなくなる。ゲロナー("Geronar" )は3群4枚を基本設計とする廉価版レンズ。グランダゴン("Grandagon" )は対称型の広角レンズ。アポ・グラフィゴン("Apo-Graphigon" )は主にアポクロマート補正がなされている大判カメラ用の業務用レンズ。ヘリゴン("Heligon" )は標準の大口径レンズ。ダブルガウス型。レチナレフレックスS等用交換レンズ。イマゴン("Imagon" )は1群2枚のポートレート用軟焦点レンズ。絞りはF表示ではなくH表示でされる。オメガー("Omegar" )は、オメガ製引き伸ばし機用にOEM供給されたもの。すでに製造停止である。オメガロン("Omegaron" )は、オメガ製引き伸ばし機用にOEM供給されたもの。3群4枚のテッサー型ないしは3群3枚のトリプレット型の光学系。すでに製造停止である。ベース・レンズはイサロンである。ロダゴン("Rodagon" )はシュナイダー・クロイツナッハのコンポノンと双璧をなす逸品として知られる。一般に4群6枚オルソメター型。現行品。非常に精緻な描写で、ディストーションや色滲みも極限まで押さえ込まれており、解像力が高いため、ラインセンサーカメラなどのデジタル機器とも相性がよい。新開発されたローデンシュトック・フォーカシングシステムを使用しての撮影ではその性能を余すところなく発揮できる。5枚絞りが主流だが、意外にボケなどもクセがなく一般使用にも向いている。ロダゴン-G("Rodagon-G" )は4群6枚のオルソメター型で拡大倍率20×以上に適する。ロダゴンの高倍率版の位置づけ。現行品。ロダゴン-WA("Rodagon-WA" )は4群6枚のオルソメター型で広角版のレンズ。支柱の短い引き伸ばし機にも対応し、拡大倍率4-15×に適する。現行品。アポ・ロダゴン("Apo-Rodagon" )はアポクロマート補正された初期の高級版。すでに製造停止である。アポ・ロダゴン-N("Apo-Rodagon-N" )は5群7枚の変形オルソメター型でアポクロマート補正され拡大倍率2-15×に適する。ロダゴンシリーズの最高級版の位置づけ。現行品。絶版になった業務用のアポ・ゲロゴンシリーズの光学系を大口径化し、性能の良いロダゴンシリーズをよりブラッシュアップしたシリーズである。ロダゴンより少ないディストーションや像面の平坦性の向上はもとより、色収差をロダゴンシリーズよりもアポ・ゲロゴンシリーズと同様に厳しく補正してあり、より一層クリアーな画像が得られる。引き伸ばし用としての利用もさることながら、写真製版用にも耐え得る力量を持つ。また、一般撮影に於いて、特に接写撮影に使用する場合、非常に高性能なためデジタル機器との相性は抜群であり、ラインセンサー・カメラやデジタルバックなどの使用もメーカーでは推奨しており、新開発されたローデンシュトック・フォーカシングシステムを使用しての撮影ではその性能を余すところなく発揮できる。現在のローデンシュトックの中心的役割を担っているシリーズと言える。アポ・ロダゴン-D("Apo-Rodagon-D" )は4群6枚の完全対称型のダブルガウス型のレンズで、完璧なアポクロマート補正がなされている。このレンズは引き伸ばしレンズではなく、設計の段階からポジフィルムの等倍デュープ撮影用に開発された、デュプリケーション・マクロ・レンズである。一般的にはベローズ接写器具と併用する。一つを除いて他は現行品。ロゴナー("Rogonar" )は普及版の引き伸ばしレンズとして開発された物。現行品。3群3枚のトリプレット型。メーカーのアナウンスでは、簡易的なラインセンサー・カメラ用のレンズにも使用できるとしている。ロゴナーS("Rogonar-S" )は3群4枚のテッサー型、トリプレット型やテッサー型のレンズなので絞って使用すれば高性能である。絞り開放で使用すると若干、残存収差が現れるが、これを好んで一般撮影で接写に使用する者もいる。ロナー("Ronar" )は現在は、主に色収差を完璧にアポクロマート補正したアポ・ロナー("Apo-Ronar" )が使われている。1:1撮影に対して最適化されているが、無限遠からの一般撮影にも使用が可能。設計に無理をしていないため、高性能ながら販売価格が他のアポクロマート補正レンズよりも安価であるのも特徴とメーカーでは謳っている。絞りを挟んで完全対称のダブルガウス型4群4枚構成である。特殊硝材を使用し完璧にアポクロマート補正を施されている。光学系は全て同一だが、用途に合わせて多様な品目があり、大きく分けてシャッターが組み込まれているタイプと絞りのみのバレル・タイプ・レンズがある。写真製版などのプロセス・レンズ用はバレル・タイプの形式で、多くは絞り環が傘状に大きく張り出しており、絞り操作の微妙な加減がしやすくなっている。また、普通の形状の絞り環のプロセス・レンズも製造され、これは絞り値の他に実絞りの口径がcmで刻印表示されている。製版用の品目には、全品がオプションの特殊形状絞りや、シートフィルターを差し込むためのウォーターハウス型アタッチメント・スロットを備えている。品目により、レンズ前のアタッチメント・ネジが切られていない個体もある。また第一群の特殊硝材が脆いため、はめ込み式のサファイア・ガラスを使用したプロテクト・フィルターが最初から取り付けられている個体も存在する。特に、すでに解散したドイツの地図メーカー・クリムシュ("Klimsch" )に依頼を受けて製造された個体は、開放から最小絞りまで形状の変化しない精巧な絞りを備えている。現行品として利用されるアポ・ロナーは下記に示したが、例として、ジナーなどに供給され、コンピューター制御の自動シャッターなど、デジタル・システムに対応している。発売初期から一貫して同じ光学系だが、年代により、様々なコーティングの違いがある。写真製版などのプロセス・レンズのため設計基準値は等倍なのだが、遠方の描写性も良いので多方面で利用されている。完璧なアポクロマート補正をすると球面収差が激増するので、F9など開放F値を押さえてある。現行品はレンズ・シャッター内蔵の大判カメラ用レンズのみ供給されている。ロテラー("Rotelar" )は望遠レンズに使用される。レチナレフレックスS等用交換レンズ。シナロン("Sinaron" )はジナーへのOEM製品。シロナー("Sironar" )は中判以上の標準または長焦点レンズに使用される。アポ・シロナー・デジタル("Apo-Sironar-Digital" )は9ミクロンまでのピクセルピッチに対応するよう設計されており、アオリのできるプロ用カメラで極めて高画質の写真が撮影できるデジタル撮影用レンズ。大口径ながら真のアポクロマート画質を実現し、カラー干渉のまったくない、素晴しいシャープネスと描写力を備えているとしている。アポ・マクロ・シロナー・デジタル("Apo-Macro-Sironar-Digital" )は9ミクロンまでのピクセルピッチに対応するよう設計されているデジタル撮影接写用レンズ。大口径ながら真のアポクロマート画質を実現し、カラー干渉のまったくない、素晴しいシャープネスと描写力を備えているとしている。テヒニカー("Technicar" )はリンホフへのOEM製品。リンホフ220に固定装着された。イザール("Ysar" )はテッサー型。イザレックス("Ysarex" )はテッサー型の標準レンズ。テヒニカーはリンホフ銘のOEM製品。レチナレフレックスS等用交換レンズ。イサロン("Ysaron" )は普及版でロゴナーSの前身。すでに製造停止である。廉価版のレンズのため、省けるところはかなり簡素に作られているが、鏡筒は無垢アルミニウムの削りだしで制作され、表面のブラックはアルマイト処理がなされている。大まかに言うと前期型がこのアルミニウム削りだしで絞り環はゼブラ仕上げである。絞り羽根はだいたいの品目が6枚で簡素化されている。レンズ前郡で内部の絞り開閉リングも止めているので、前郡を外すと大抵は絞り羽根が外れ落ちてしまう。当時の簡素化はこういうやり方の物が多かった。後に後期版になると絞りナンバー自体が細長いビニールテープで仕上げてある。この6枚絞りは独特の形状をしており、イサロン105mmF4.5は理由は不明だが、F11-16 あたりだと、開口部の形状はダビデの星のような形になる。絞りは、ボールベアリングとバネによるクリックストップ機構を採用している。レンズの前群を外すと先に記したように絞り羽根がバラバラになるが、このボールベアリングも外れてしまうので分解時には注意がいる。近年、フイルムカメラの衰退とともに写真現像引き伸ばし用のレンズの需要がなくなった。そのためニコンなどは特需ルートの業務用の品目(レイファクト・シリーズ)以外の一般向け商品の製造自体を止めてしまったが、ドイツのローデンシュトックとシュナイダー・クロイツナッハの両社では写真現像引き伸ばし用のレンズの超高解像力に着目し、現代の7000万-1億画素のラインセンサー・カメラに取り付けて工業用やビデオ撮影用レンズとしての生き残りを考えた。このローデンシュトック・フォーカシングシステム("Rodenstock Focusing System" )は金属製の筒がヘリコイドで前後し、写真現像引き伸ばし用のレンズで撮影できるようにした簡便な製品だが、工業用途での使用が前提にあるため、高精度、高耐久性、高耐衝撃性などマシンビジョン・カメラには欠かせない要求を満たす剛直な造作に仕上がっている。この業務用のヘリコイドマウント・システムは当初、シュナイダー・クロイツナッハが ユニホック58ヘリコイドマウント・システム("Schneider-Kreuznach UNIFOC 58 Helical Focus Mount System" )として先行して市場に出したが、後に後を追う形でローデンシュトックも似たようなローデンシュトック・ライノス・スマートフォーカス・システム("Rodenstock Linos Smart-Focus System" )やローデンシュトック・モジュラーフォーカス・システム("Rodenstock Modular-Focus System" )などを考案し発表した。1926年頃から1950年代に十数種のカメラを製造販売したが、自社では製造せず、ほとんどはウェルタ・カメラヴェルクを下請けとしたOEMである。
出典:wikipedia
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