伊藤 正己(いとう まさみ、1919年9月21日 - 2010年12月27日)は、日本の法学者。専門は英米法、憲法で、とりわけ表現の自由とプライバシーの関係性を研究した。元最高裁判所判事、東京大学名誉教授、日本学士院会員(第2分科(法律学・政治学))。弟に伊藤正元住友商事社長。名前の表記は「正己」であり、「正已」や「正巳」は誤り。専門書でも誤記されることがある。兵庫県出身。神戸一中、一高、東京帝国大学法学部卒業。戦時中は特別研究生に選ばれ、徴兵を免れたほどであった。1954年から米ハーバード大学・スタンフォード大学に留学。最高裁判事としては、吉祥寺駅ビラ配布事件判決において、補足意見の中で示した「パブリックフォーラム論(公共場所を表現活動に利用する場合の利害調整)」など自己の専門分野を生かして、数々の補足意見や反対意見を記したことで知られる。例として、ハードコア・ポルノは憲法上の保護を受けないとする補足意見、電車内の商業宣伝放送を聞かされることがプライバシー侵害になる可能性を示した「とらわれの聴衆」補足意見など。また、「有害図書」を自動販売機に置くことを禁じた岐阜県青少年条例で、その規制を合憲としつつ「青少年の知る権利の保障は、成人に比べ低い。成人は自販機以外でも入手できるため、検閲にはあたらない」との補足意見。18歳未満との「淫行」を禁じた福岡県青少年条例の大法廷判決について「『淫行』という言葉は正確な処罰範囲を示したといえず、明確性を欠き違憲無効」とする反対意見。ソープランドを無許可営業した静岡県市議の事件で「実父が営業許可を受け、その名義変更が受理されていたため、無許可の故意がなかった」と無罪に。大阪空港騒音訴訟では、夜間離着陸の差し止めを認めず、過去の騒音損害のみ賠償を認めた法廷意見に「行政事件の公権力行使として、抗告訴訟で救済を求めるべき」とする補足意見を付した。サラリーマン税金訴訟では、「サラリーマンにも必要経費はあるが、給与所得控除の中に概算的に含まれており、事業所得者と比べ不公平ではない」とする法廷意見に「サラリーマンの実際の経費が給与所得控除を超えた場合、その制度で課税するのは合理性を欠き違憲」とする補足意見を付した。殉職自衛官の護国神社合祀を合憲とした自衛官護国神社合祀事件の多数意見に対し「司法が精神的自由を考える場合は少数者保護の視点が必要であり、宗教上の心の静穏を要求することも法的保護に値する。自衛隊の行為は違憲」とする反対意見。北方ジャーナル事件(中傷表現を含む出版物の事前差し止め)で、本件は例外的差し止め要件に該当して合憲とした法廷意見に「例外にこのような厳格な要件を求めると、事前差し止めが著しく制限される。公的人物(立候補者)の場合は原則として事後制裁とするほかない」とする補足意見を付した。表現の自由などの精神的自由権は尊重する姿勢を通していたが、堀木訴訟では多数意見に立っている。退官のとき「先輩には、補足意見は無駄な独り言だと言われもしたが、学者として言っておきたいことがあった」と語った。2010年12月27日、呼吸不全のため東京都新宿区の病院で死去。。没後に日本政府から正三位(勲記は逝去日の平成22年12月27日付)を追叙された。公園、広場、公会堂、道路などの公の施設は、それぞれ本来の目的をもっているが、同時に集会により一定の表現を行う場所としても有用である。これらを「パブリック・フォーラム」と呼ぶ。いわゆる「パブリック・フォーラム論」とは、パブリック・フォーラムにおいては、所有権やその本来の利用目的のための管理権に基づく制限を受けざるを得ないとしても、憲法21条の保障する集会の自由に可能な限り配慮する必要があるとする理論である。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。