チームオーダー (team-order) とはモータースポーツのレースにおいて、チームが所属ドライバーへ指示を出すことによって故意に所属ドライバー間の順位を入れかえたり、保持しようとしたりすること。広義のチームオーダーは、文字通り「チームによる指令(命令)」を表すが、狭義のチームオーダーは、個人のレース結果よりチームの利益を優先させる行為を指す。本項では主にF1世界選手権での事例を挙げ、下記の概要に記す2010年度 FIAスポーティングレギュレーション第39条の1項を基に、狭義のチームオーダーについて記述する。なお、F1では2011年よりチームオーダーが合法とされている。例えば、同一チームにの2名が所属している場合にといった指示を出すことによって A がドライバー部門のポイントを獲得しやすくする。この指示をチームオーダーと呼ぶ。単に第2ドライバーが第1ドライバーの前を走行している場合にもこういった指示が出される場合もある。主にシリーズ戦形式のカテゴリにおいて、ドライバー部門チャンピオンをチームドライバーに獲得させる事が目的である。かつてはレース前に両ドライバーとチームで取り決めをしたり、サインボードでの指示で行うなど当事者のみに分かるような形で行われることが多かったが、近年では無線を使用するようになったため、指示内容が外部に知られてしまう可能性が増した。チーム側もそれを警戒して、全く関係ない言葉を暗号にしてチームオーダーを発令しているという指摘もある。また入れ替える手段も巧妙化しており、「偶然を装ったコースアウト」「トラブルを装ったピットイン」などの存在がチームオーダーによるものであると囁かれている。こうした行為が個人の上位進出を目指さない八百長行為なのか、チームの利益を第一に考えたチームプレイなのかは議論が分かれる。上記のような例の他に、主にラリーなどで意図的にペナルティを受けスタート間隔などをコントロールするためにチームオーダーが発せられる場合や、レース途中でマシンにトラブルが発生した場合の予備車(スペアカー)の優先利用権をチームオーダーとして定める場合もある。また、極めて稀な例ではあるが、決勝に出場してもすでにチームが撤退することが決定している場合に、ドライバーにわざと予選で敗退させる、あるいは予選自体に出場しないように命じる行為も「レース結果を妨げる様なチームオーダー行為を禁止する」に該当するため、チームオーダーの一種と捉えることもできる。2010年までのF1レギュレーションにある通り「レース結果を妨げる様なチームオーダー行為を禁止する」というのは、レースが個人競技であることを前提にしたルールと言える。しかし、多くのレーシングカテゴリーでは、コンストラクター(=チーム)に複数のドライバーが所属している場合が多い。そのため、ドライバー側からは個々の速さやドライビングの力量を競い合う競技といえるが、チーム側からはより高い戦績を残すべくチーム戦略を用いて最大の結果をもたらすことも重要となり、両者の利益は時に合致しない。このことから、現在でもルールの存在の有無を問わずチームオーダー自体には賛否両論がある。いくつかの車両競技においてはチームオーダーを肯定しているものもあり、その代表的な競技が自転車競技のロードレースである。 チームは一丸となって一人のエース選手を勝たせるために走るのが通常であり、エース選手以外はレースが始まる前に決定したチームオーダーに従って走る。自転車の駆動力は人力、すなわち人間の体力でありエース選手の体力を温存させて勝負をかける必要性がある場面でスパートをかけるなど、個人戦におけるロードレースは除き、団体競技として見る向きがあるといえる。モータースポーツでも自動車メーカー(マニュファクチャラー)の対決色が濃い耐久レースでは、ドライバーはチームの指示を守って走行する。ロードレースの様に役割分担を決めておき、レース序盤から飛ばしてペースを撹乱する先行車(ラビット)と、通常のペースで優勝を目指す本命車を分けることがある。メーカーの上位独占が望める場合は、各車にスローダウンの指示を出し、隊列を組ませてゴールさせる(デイトナフィニッシュ)。一方、F1の場合は1950年の設立当初からドライバーズチャンピオンを制定しており、レースを「個人競技」として捉えていた。チーム側のチャンピオンシップであるコンストラクターズチャンピオンは遅れて1958年に制定されている。つまり、「団体競技」としての要素よりも個人を尊重する考えの競技というのが軸となっている。それでも全員が平等ではなく、チーム内でエースドライバーとセカンドドライバーの待遇差は明確にあった。1950年代はマシンのシェア(乗換え)が認められており、エースのマシンが故障した場合、セカンドはマシンを降りてシートを譲るのが当然だった。道具(マシン)の性能差が表れ易い競技であるため、調子の良いエンジンや新開発パーツは優先的にエースに与えられ、チームはそれらの条項を契約書に盛り込んでいた。過去にはロータスチームのジム・クラークとグラハム・ヒルなど、チャンピオン級のドライバーを組ませる「ジョイントナンバーワン」体制が成功した例もあった。自由な競い合いによってチーム力が上がることもあるが、マクラーレンチームのアラン・プロストとアイルトン・セナのようにエゴが衝突し合うと、同士討ちという収拾のつかない事態に陥る恐れもある。チーム内の序列は組織としての戦力を維持するための方策でもあった。しかし、時代が進み、テレビ中継の拡大によってF1が国際的に認知されるようになると、スポーツマンシップの観点から「結果を管理すること」が疑問視されるようになった。とりわけ、特別に優れたマシンを持つ(=チャンピオンシップに近い)チームが、レースに優勝するドライバーを決めることが批判の対象となった。1998年の開幕戦オーストラリアGPでのマクラーレンの紳士協定に始まり、2002年のオーストリアGPにおいてフェラーリが行ったゴール直前の作為が批判を集めたことを受けて、2003年より正式にレギュレーションで禁止されることになった。上記のドイツGPの問題から波紋を受け、チームオーダーに対する賛否両論を再び問う必要性が生まれた。又、各チームやF1関係者に対しドイツGPを例に「チームオーダーをどう考えているか?」という質問が相次いだ。2010年12月10日にモナコで開かれたWMSCの最終的な会議によってFIAスポーティングレギュレーション第39条の1項、つまりはチームオーダー禁止ルールを削除する事で合意した。これにより2011年度よりチームオーダーは合法となる。但し、国際競技規約の第151条・規則違反のc項にある「競技の公正または自動車スポーツの利益を阻害する性質を有する詐欺行為または不正行為。」を犯したドライバー、チームに関しては罰則を与えられる。F1関係者の間でもチームオーダーに対しての意見や評価は賛否両論である。
出典:wikipedia
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