洪水玄武岩(こうずいげんぶがん)とは、大陸地域で非常に膨大な量の玄武岩質溶岩が噴出しできたと考えられている玄武岩の巨大な岩体のこと。その地形から台地玄武岩とも呼ばれている。古生代カンブリア紀以後何回か発生している。玄武岩はシリカ分が少なく流動性の良い溶岩が地上で冷却固化して出来た岩石。洪水玄武岩は大陸プレート上、海洋プレート上双方に存在し、ひとつひとつが広大な面積を覆っている。例えばインドのデカン高原は、富士山100個分以上の体積に相当する玄武岩が日本の約1.5倍の面積50万km²に広がって高原を形成している。現在世界各地で観察される洪水玄武岩の代表的なものを列記する。表記は名称(存在地)、噴出年代、面積の順同様な玄武岩質溶岩の大量噴出は海中でも起こっており、巨大火成岩岩石区と呼ばれている。その代表例として南太平洋に存在するオントンジャワ海台があげられる。現在主流となっている考え方では、プレートテクトニクスでは大陸プレートの地殻はシリカ分に富み密度が低く軽い花崗岩質が主体であり、地殻内で大量の密度が高く重い玄武岩溶岩が生成するとは考え難い。このため、各地の洪水玄武岩中の鉱物成分の調査結果などから、洪水玄武岩を形成した溶岩は地殻の下にあるマントルからもたらされたと考えられている。通常マントルが地表に露出することは極めて稀であり、洪水玄武岩の噴出は大陸の分裂など、地殻が引き裂かれて発生した亀裂などに由来すると考えられている。大西洋をはさんで存在するカルー玄武岩とパラナ玄武岩については、アメリカ大陸とアフリカ大陸が分裂したときの(多数発生した)割れ目に沿って時期を同じくして噴出した玄武岩と考えられている。コロンビア川台地の場合その活動時期が北西にあった火山弧(日本の火山帯に相当)の活動時期と一致しており、近傍の火山活動に伴って地殻が引張応力がかかってひび割れが生じたとされている。洪水玄武岩は、複数回(数百回以上と想定されている)繰り返し発生した噴火で形成された。すなわち流動性が良く薄く拡がる玄武岩質溶岩が何度も繰り返し噴火することで、現在見られるような高大な台地や高原を作った。この溶岩流を一枚ずつ分析すると、必ずしも同一成分で無いことが多い。更にマントルを構成する鉱物群とはかなり異なった成分の溶岩流が各地で観測されている。すなわち洪水玄武岩はマントルそのものが溶解したマグマが継続的に噴火したものではないと考えられる。最近の研究では、プレート運動で海溝からマントルに沈み込んだ海洋地殻がホットプルームの上昇に巻き込まれ地殻の下まで上昇し、そこで溶解して大量のマグマを形成したと説明されている。洪水玄武岩は比較的短期間に非常に大量の溶岩が地表に噴出したため、当時の地球環境に重大な影響を与えたと考えられている。玄武岩質溶岩の噴火においては、火山灰の噴出量が少ない反面、大量の火山ガスを出すことが多く、この火山ガスが環境に大きな影響を及ぼす。記録に残っている事例では、1783年に起こったアイスランドのラカギガル噴火(玄武岩質溶岩の大規模な噴火)で発生した火山ガスの影響により、北半球が数年間寒冷化したというものがある。これは日本においては天明の大飢饉という形で現れた。洪水玄武岩の噴出に伴う火山ガスの噴出量はラカギガル噴火の数十倍以上と見積もられており、当時の地球環境に深刻な影響を与えた可能性がある。実際、最大規模のシベリア台地玄武岩の噴火時期は、史上最大規模の大量絶滅が起こったP-T境界と一致しており、この時期の大量絶滅の原因の一つと考えられている。
出典:wikipedia
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