賢者の石(けんじゃのいし、、、)とは、中世ヨーロッパの錬金術師が、鉛などの卑金属を金に変える際の触媒となると考えた霊薬である。人間に不老不死の永遠の生命を与えるエリクサーであるとの解釈もあるが、賢者の石が文献上に記述されるのはエリクサーよりかなり後である。一般によく知られた賢者の石は卑金属を金などの貴金属に変えたり、人間を不老不死にすることができるという。霊薬としてのエリクサーと同様のものとして考えられることもある。12世紀にイスラム科学からの錬金術が輸入されると、ヨーロッパでは賢者の石の探求熱が高まった。神秘主義的なヘルメス思想とともに、様々な伝説と風聞が広まり、小説の題材としても使われる。黒魔術と関係付けて語られることもある。中世ヨーロッパ錬金術に多大な影響を与えたジャービル・イブン=ハイヤーンの説に、水銀と硫黄の2要素説がある。その2要素の比率により卑金属や貴金属が生じるとした。後に塩が加わって3要素説が生まれるが、いずれにせよ錬金術師たちは常に水銀に関心を寄せていた。水銀を原料になんらかの反応を繰り返すことで賢者の石ができると考えていたようである。水銀と硫黄の化合物である硫化水銀には色の異なるものがあるが、代表的なものは赤色を呈する。天然でも産出され辰砂という(写真)。中国で不老長寿の霊薬仙丹・金丹の原材料とされた(→錬丹術)。漢字「丹」は辰砂のことで赤色も意味する。 金を創出できなくとも、金メッキ(鍍金)は可能である。金を水銀に融かすと金アマルガムとなる。銅の表面を磨き上げてから金アマルガムを塗り加熱すると、水銀のみが蒸発して表面に金が残る。 ジャービルは、金を融かすことのできる王水を発明していた。金を王水で融かし、乾燥させると黄色の粉末、塩化金酸ができる。塩化金酸の水溶液も金メッキの材料となる。銅に塗布すれば表面が塩化銅となり、代わりに金が析出する。 賢者の石とは黄血塩(フェロシアン化カリウム)ではないかとの説もある。黄血塩は家畜の血や皮から膠(にかわ)をとるところで作られる。この黄血塩と硫酸を混合した液体に金を入れて加熱すると、この液体に金が溶け込む。猛毒であるため近年は避けられているが、シアン化金化合物は電気メッキあるいは無電解メッキ材料のひとつとして現在も使われている。 金を融かし込んだ溶液に卑金属を漬け、銅線で微弱な電気を送ると卑金属表面に金が固着する。電気鍍金である。最古の電池としてバグダッド電池が古代中近東メソポタミアのごく一部で使われていたとの見解もある。中国の道教では、服用すれば不老不死を得る(あるいは仙人になれる)という霊薬(仙丹)を作る術として錬丹術(煉丹術)がある。仙丹が賢者の石に相当する。葛洪の著した『抱朴子』などによると金を作るのは仙丹の原料にすること、仙丹を作り仙人となるまでの間の収入にあてるという2つの目的があったことになっている。南インドのタミル文化に属するシッダ医学では、ムップ(ムン:3・ウップ:塩)と呼ばれる3種の塩から成る薬が賢者の石に相当する。ムップは強アルカリ性(シバ)・中性(サダーシヴァム)・強酸性(シャクティ)の3種の塩を極秘の比率で混ぜることからでき、1)ヴァータムップ:錬金術(レベルの低い金属をレベルの高い金属に変化させる) 2)ヴァイディヤムップ:治癒のためのムップ:もともとある薬に加えることで、その薬をより効果的にし、副作用を減らし、治癒を早め、薬を長持ちさせる 3)カーヤカルパ:服用することで若返りの効果(不老長寿かつ病気の治癒)を得る。また、人体の中で生成されるムップも存在する:4)ヨーガムップ:ヨーガを達成したときに体の中から形成される、甘露の蜜に相当する非常に甘く恍惚とした味で、体全体を若返らせ、すべての分泌器官を活性化させる。ムップの材料は様々で、人糞、羊水、海水、尿などからとれる塩であったり、ディークシャを受けたフラー土とする説など様々である。フラー土は現在、製薬時に加えることでその薬の効能を上げるとされ、現在でも実際にシッダ医学の薬の製薬時に使われることがある。※現代は「カリ・ユガ」の時代とされ、錬金術などに使われるような最高レベルの真のムップは作れないと言われている。エリクサーと同様にコンピューターRPGなどでしばしば登場する。本来の錬金術における伝承を再現しているものもあれば、作品独自の定義がなされているものもある。例としてはアトリエシリーズやドラゴンクエストシリーズなど。
出典:wikipedia
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