グレナード・P・リプスコム(USS Glenard P. Lipscomb, SSN-685)は、アメリカ海軍の原子力潜水艦。艦名はカリフォルニア州選出下院議員グレナード・P・リプスコム(Glenard P. Lipscomb, 1915 - 1970年)に因む。グレナード・P・リプスコムは、アメリカ海軍の潜水艦としてはタリビーに次いで2番目に、原子力ターボ・エレクトリック方式を採用した潜水艦(TEDS: Turbin Electric Drive Submarine)である。同型艦は建造されていない。原子力潜水艦で主流の機関は、原子力ギアード・タービン方式であり、原子炉の2次冷却系統から得られた高圧蒸気によって蒸気タービンを回し、減速ギア・ボックスによって回転数を減速・調整してプロペラシャフトに伝え、スクリューを回して推進力を得ている。しかし、減速ギア・ボックスの複雑な機構と多くのギアの動作は、原潜にとって最大の騒音源(したがって弱点)となる。ターボ・エレクトリック方式では、2次冷却系統の高圧蒸気によってタービン発電機を回し、得られた電力で電動モーターとこれに直結されたプロペラシャフトを回して推進力を得ている。すなわち、ギア・ボックスを廃止することによる静粛化のほか、ギアード・タービン方式よりもシャフト回転数の微妙な調整が可能になることによる操艦の柔軟性が期待できるのである。しかし、これらの利点があるにせよ、ターボ・エレクトリック方式は、電機系の増設とそれに伴う重量増大を引き受けなければならないほか、ギアード・タービン方式に比べて効率が劣るせいで速力が低下するという問題があるため、旧ソ連時代の一部の潜水艦やを除けば、ほとんど採用されていない。実際、本艦の建造にあたってはスタージョン級の設計が大幅に流用されたが、排水量で20%強、全長で約30mも大型化し、ただでさえパワー不足が指摘されつつあったS5W原子炉をもとにしたパワープラントを装備した本艦は、速力においてもスタージョン級に劣るものとなってしまった。上記のような問題点に加え、複雑な機構の信頼性が不安視されたこと、ターボ・エレクトリック方式の動力プラントが効率に欠けることなどから、本艦は1985年には事実上の退役(活動停止)に追い込まれた。ほぼ同時期に、原潜の静粛化の試みとして取り組まれた兄弟分のナーワル(1969年就役)により自然循環式原子炉の技術的知見が後に生かされたのとは、まったく対照的な道筋をたどったのである。グレナード・P・リプスコムは1971年6月5日にコネチカット州グロトンのエレクトリック・ボート社で起工する。1973年8月4日にリプスコム夫人によって命名、進水し、翌1974年12月21日にジェームズ・F・コールドウェル艦長の指揮下就役した。就役式ではメルヴィン・ライアードがスピーチを行った。グレナード・P・リプスコムは1990年7月11日に退役し、1997年12月1日に原子力艦再利用プログラムに基づきピュージェット・サウンド海軍造船所で解体された。
出典:wikipedia
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