朝鮮語の文法(ちょうせんごのぶんぽう)では朝鮮語の文法を概説する。朝鮮語の語順は述語が最後に置かれるSOV言語であり、修飾語が被修飾語の前に置かれる主要部後置言語である。文法的意味は助詞や語尾が付属されることによって表され、膠着語的性質を持っている。また日本語と同じように聞き手や話題中の人物との関係を表す待遇表現(敬語)が文法カテゴリーとして体系化していることも大きな特徴である。以下では韓国の規範文法である学校文法を中心に記述する。韓国の学校文法では名詞・代名詞・数詞・助詞・動詞・形容詞・冠形詞・副詞・感嘆詞という9つの品詞を設けており、さらに文法成分として体言・関係言・用言・修飾言・独立言を設けている。なお動詞の活用形を作る語尾は、日本の学校文法では助動詞・助詞(接続助詞)という名で品詞分類されているが、韓国では動詞に付属した要素として品詞は立てられない。朝鮮語の活用は用言(動詞・形容詞)と叙述格助詞(名詞述語文を作るコピュラ。日本の朝鮮語学では指定詞などと呼ばれる)にある。活用によってできた語形を活用形と呼び、活用形は文が言い切れる形か、そうでないかで終結形と非終結形に分けられている(日本の6活用形のような語幹直後の音声的な形態によっては細分されない。文法的意味を表す部分までを含めて語形と考えている)。非終結形は節を構成したり連用接続したりするのであるが、その機能によりさらに連結形と転成形に分けられる。連結形は並列節や従属節をつくって主節につなげたり、補助用言に連なる形を分類し、転成形は名詞節や修飾節を作る形を分類している。また活用形は語の意味を表す独立形態素である語幹と文法的関係を表す拘束形態素の語尾によって構成されており、語尾は語を完成させる語末語尾と語末語尾を後続させなければ語を完成できない先語末語尾に分類される。なお文法的意味や語形態は語尾や補助用言を分類することによって説明される。もし日本の活用形をこのような分類に入れるならば、終止形と命令形は終結形、仮定形は連結形、連体形は転成形、連用形は連結形か転成形に分類されることになるだろう。また学校文法では語幹に{-da}をつけた語形態を、活用形とは区別される基本形としており、ほとんどの国語辞典がこれに従って項目を立てている。語幹の末音が子音であるものと母音であるもので異なった結合の仕方をする。先語末語尾とは、それだけでは語を完結させず、かならず語末語尾を後続させる語尾のことをいう。代表的な先語末語尾には以下のようなものがある。なお被動(受動)や使動(使役)を表すなどを先語末語尾と見なす立場もあるが、学校文法では語幹に含まれる接辞としている。語末語尾とはそれ以上語尾を後続させず、語の形態を完成させる語尾をいう。文が言い切られるか、継続するかによって、終結語尾と非終結語尾(連結語尾・転成語尾)に分けられる。その活用語が文全体の述語となり、その文を完成させて言い切りの形態(終結形)を作る語尾を終結語尾という。終結形の多くは話者の態度を表すモダリティ表現であるため、その文法的意味に応じて平叙形・感嘆形・疑問形・命令形・勧誘形に分けられている。また、これらの語尾によって文全体の性格も決定づけられるため、文も終結形に応じて平叙文・感嘆文・疑問文・命令文・勧誘文に分類される。なおモダリティ表現を表す形式はこれらの活用形以外に補助用言や依存名詞などがあり、いずれも平叙形語尾によって結ばれる。また平叙形語尾自体にも約束を表すや確認のなどがあり、平叙文はいくつかのモダリティ形式を含んでいることになる。またこれらの終結語尾はモダリティ表現ばかりでなく、対者待遇表現をも表している。つまり、同じ文法的意味の終結形であっても聞き手との関係や発話場面の違いによって異なる終結語尾が選択することになる。これは日本語で「する」「しよう」といった常体と「します」「しましょう」といった敬体に分けられるのと同様であるが、日本語では常体と敬体の大きく2種類であるのに対し、朝鮮語では7種類に分けられている。これについては下記の対者敬語を参照のこと。日本語と比較してみると、日本語では自然下降調の抑揚で時制語尾で終われば平叙文、時制語尾を上昇調で終わるか時制語尾に「か」をつけることで疑問文になるが、朝鮮語で時制は先語末語尾として先行する要素となっており、叙述を表す語尾、疑問を表す語尾がそれぞれ用意されている。ただし非格式体では同じ語尾で表され抑揚によって区別されるが、やはり時制語尾は先行要素である。また日本語では{mas-}という対者待遇表現は{-u}や{-ta}という時制や{-yo:}という勧誘のモダリティ表現よりも先行し、常体においては{mas-}が付かないこととで対者待遇を表している。一方で朝鮮語では格式体と非格式体でその形式が異なっており、対者待遇が4種類ある格式体では、省略といった方法はなされず、各終結語尾ごとに対者待遇のレベルを含むことで表現される。一方、対者待遇が2種類の非格式体では日本語同様、省略するかつけるかで表されるが、その対者待遇を表す{-yo}は文の最後に置かれる。連結語尾は並列節や従属節を構成して主節と結んだり、補助用言と結ぶ語形を作る語尾のこと。この活用形では文を完結させることはできず、必ず語や節が後続する。転成語尾は、活用語や活用語を含む節が文のなかで他の品詞のように機能させる語末語尾である。その対応する品詞の機能に応じて名詞形語尾・冠形詞形語尾・副詞形語尾に分類される。朝鮮語には、日本語同様、話し手と聞き手や話題中の人物との関係を言語形式によって表す敬語が存在する。なお韓国の学校文法では文法カテゴリーとしての敬語を「」(ノピムポプ、高めることに関する法)と呼んでいる。「高める」とあるが、対象を低める表現も扱っており、広く待遇表現に相当する。以下、これを「敬語」と訳して話を進める。対者敬語()は、話し手が特定の終結語尾(文の言い切りの形を作る語尾)を使うことによって聞き手を高めたり、低めたりする文法範疇である。日本語文法の常体・敬体(丁寧語)に相当するものを総合している。聞き手との年齢差や社会的地位の差、会話している場面などに応じて異なる語尾が使われる。公の場面などで使われる格式体と、ラフな会話で使われる非格式体に分けられるが、格式体に4つのレベル(ヘラ体・ハゲ体・ハオ体・ハシプシオ体)、非格式体に2つのレベル(ヘ体・ヘヨ体)が存在する。格式体において目上に使えるのはハシプシオ体だけであり、中間の2体は目下の聞き手を丁重に扱う表現である。格式体ではそれぞれ全く異なる語尾が使われるのに対し、非格式体の語尾は共通しており、ヘ体の語尾に(ヨ)を接続するだけで目上として高める表現となる。また敬語ではないが、中和体(ハラ体)という文体もあり、例えば本や雑誌などで不特定の対象を聞き手(読み手)とし、相手を高めるのでも低めるのでもなく、中和していることを表すために設けられたものである。これらの終結語尾の例を文体ごとにまとめると以下のようになるが、その文体名は「」(「する」などに相当)の各命令形によって命名されている。ネイティブ以外の者にとってこれらを正確に使い分けるのはなかなか難しいので、初学者はハシプシオ体で通した方が無難であろう。主体敬語()は話し手が文の主体となる話題中の人物を高める文法カテゴリーをいい、語幹に先語末語尾{-si-}を後続させることで表される。日本語文法の尊敬語「お~になる」「~れる・られる」に相当する。このときが付けられるのに呼応して、主格助詞(日本語の「が」に相当)が{-i/ga}が{-ggeseo}(目上にのみ使う主格助詞)に替えられたり、呼称に{-nim}(日本語の「様」に相当。ただし人名に直接はつけられず必ずその肩書きにつく。家族呼称以外に先生、社長、理事、監督、作家、弁護士、検事、牧師、将軍、大元帥…など適用範囲が広い)が付けられることがある。またいくつかの語彙では特別な語形(補充形)が使われる。例えば、なお日本語においては自分の身内について語る時には尊敬語が使われない(相対敬語)のが普通であるが、朝鮮語においてはウチ・ソトの区別なく使用される(絶対敬語)。客体敬語()は動作の受け手、すなわち目的語などで示される話題中の人物を高める文法カテゴリーをいう。日本語文法の謙譲語に相当する。これを表す語尾はなく、いくつかの特定の語彙によってのみ示される。主体敬語同様、自分の身内について語る際にも使われる。なお中期朝鮮語には客体敬語を表す語尾があったが、近代になって聞き手を高める対者敬語を表す語尾に変化した。現在のといった先語末語尾やハシプシオ体語尾のがその名残である。
出典:wikipedia
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