トリアゾラム() とは、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤(超短期作用型)である。アメリカのアップジョン、現ファイザーが開発し、商品名ハルシオン()として販売され、後発医薬品も発売されている。ハルシオンの名は、ギリシャ神話に登場する、風波を静めるという伝説の鳥、Halcyonに由来する。向精神薬に関する条約のスケジュールIVである。日本の薬機法においては処方箋医薬品と習慣性医薬品として、麻薬及び向精神薬取締法においては第三種向精神薬として規制されている。[投与日数制限]]は、30日間である。国際的には1977年に発売され、日本では1982年である。翌日への持ち越し効果がなく処方は増加した。世界中で乱用された。1989年には、服薬と服薬の間の昼間の不安を、10日間の連用後に2倍にすることが報告され、離脱症状だとされた。イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、フィンランド、ノルウェー、アルゼンチン、ブラジル、ジャマイカ、バミューダ、などの国々で承認取り消しや禁止措置が取られた。トリアゾラムは、アップジョン社が開発したトリアゾロベンゾジアゼピンの1種で、1977年にオランダで、1979年にイギリスで承認された。入眠作用があり、翌日への持ち越し効果がないことから処方頻度は増加した。1979年にはオランダの精神科医が、トリアゾラム症候群として身体症状が出現することを報告し、オランダの1mg錠剤は製造中止された。1982年に日本で、1983年にアメリカで承認を受けた。早朝不眠、反跳性不眠、健忘や、日中の不安の副作用が報告され、市場撤退が勧告されていた。1980年代半ばから六本木界隈で「アップジョンする」などと言われ乱用された。1991年に、『ニューズウィーク』が危険性を特集し、日本でも9月に「安眠か悪夢か」と題して刊行され、10月には英国放送協会 (BBC) が「ハルシオンの悪夢」というドキュメンタリー番組を作成し、日本でもNHKの衛星テレビを介して報道された。このため、再びトリアゾラムの問題が取り上げられ、日本でもマスメディアが報道した。BBCの特集にかかわったエジンバラ大学のイアン・オズワルドは、臨床試験に実在しない患者がいると語っていた。デイヴィッド・ヒーリーの著した『抗うつ薬の功罪』にはこのBBCとイギリスでの規制について少し紹介されている。イギリスの保健省は、トリアゾラムの販売を停止し、そして中止した。データのねつ造および副作用の虚偽の報告がなされた。ドイツでは1992年2月で承認は取り消された。アメリカではアメリカ食品医薬品局 (FDA) の委員会が、1)最小の有効量で短期の使用を強調し、2)そのため10錠入りの商品を出し、3)患者向けの添付文書を処方時にわたすということでアップジョン社と合意した。欧州医薬品委員会は、0.125mg、場合により0.25mgとしそれを超えてはならず、10日以内の処方とし、7錠以内の包装とした。その後、1996年3月には、『ニューズウィーク』が再び「睡眠薬が麻薬代わりに」と特集し、六本木から歌舞伎町へと舞台が移り、精神科施設でも薬物依存の割合が増加してきた。研究では、トリアゾラムは0.125 mgの低用量使用の場合でも、精神障害(ときおり重度)と高い関連性を持つことが発見され、さらに患者がトリアゾラムをたった3週間だけ使用しただけでも、著しく不安を起こす人が多いことが分かった。重度の精神障害が頻発する事が判明し、 イギリスとブラジルはトリアゾラムを禁止することを決めた。オランダは1979年に禁止し、ノルウェー・バミューダ・ジャマイカ・フィンランドでも禁止された。医学文献では、トリアゾラムははるかに他のベンゾジアゼピンより、精神的・暴力反応などの奇妙な現象が発生していることを示している。トリアゾラムによる副作用の発生率の増加は、トリアゾラムの超短半減期と受容体への高親和性結合性(高力価)といった薬理学的特性によるものである。トリアゾラム短半減期と非常に高い力価が、昼間の不安の反跳・記憶喪失・混乱・精神症について、他のベンゾジアゼピンより多く発生し、また重篤な理由である。睡眠薬にて多くの論文を発表しているあるアメリカの精神科医によると、トリアゾラムのリスク/ベネフィット比によって、アメリカで低用量でも、市場に残るかどうか、彼は疑問を呈している。トリアゾラムが暴力を誘発することは、いくつかの試験では受け入れられている。(特に暴力犯罪の被告人に傾向が高い)米国では最小の有効量とし、欧州では0.25mgを上限としている。また、短期の処方となっており、それぞれ10錠と7錠のパッケージが存在する。錠剤は青色の0.125mg規格と、薄紫色の0.25mg規格がある。トリアゾラムはベンゾジアゼピン系薬物であり、GABA受容体のω1サブタイプに作用することで、Clチャネルを開口させることでClの透過性を亢進させ、過分極を発生させることで、活動電位の発生を抑制することにより、催眠作用を発現する。最高血中濃度到達時間は約1時間、半減期は約2.9時間、作用時間は約2時間と、超短時間型である(超短時間型として、他にゾルピデムがある)。肝臓のCYP3A4という酵素で代謝されるため、この酵素を阻害する薬物との併用は薬物の作用が高まる可能性があるので注意する必要がある。またアルコールとの併用も作用増強のおそれがある。緑内障の者や気管支喘息などで呼吸機能が低下している者は投与してはならない。また、他の中枢神経抑制作用のある薬やアルコール、バルビツール酸誘導体などの強い影響下にある者への投与は禁止されている。最も多いものに、一過性前向性健忘・抗コリン作用・翌朝への持ち越しがあるとされている。また、大量服用により、呼吸抑制を起こすことがある。めまい・ふらつきが起きる事があるので、原則として就寝直前に服用するよう処方される。また、極まれであるが、夢遊病(意識のないまま、車を運転する・食事を取る・活動するなど)のような症状を起こすこともあるとされている。日本の添付文書の警告に、もうろう状態や夢遊行動の記載があり、記憶がない場合があることが記され、記載は他の非ベンゾジアゼピン系の薬剤であるゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)でも同様である。アメリカでは副作用についての添付文書が販売時に渡される。日本でも2002年に、薬害オブンズパースン会議が説明書の添付を要望しているアメリカ食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム(AERS)のデータから、殺人や暴力など他害行為の発生率は7位、睡眠薬のグループでは最大であり、8.7倍である。トリアゾラムを含むベンゾジアゼピンの長期的使用は、薬剤耐性・薬物依存・反跳性不眠症・中枢神経副作用に関わるとの文献が存在する。よってベンゾジアゼピン睡眠薬は、可能な限り低用量・短期間での使用が推奨される。薬物以外の治療法でも睡眠の質は向上することが判明している。トリアゾラムの離脱・薬物依存のリスクは、他のベンゾジアゼピンよりはるかに高い。トリアゾラムは、日常的に多量を服用する使用者に対して非常に高い依存性のリスクがある。トリアゾラムの日常的な使用は催眠の薬物依存を発生させる。離脱症状は通常、トリアゾラム投与量を減量した際、または完全に停止した場合に現れる。短期的に夜間のみの服用であっても、トリアゾラムを中止した後には不眠症の悪化などの離脱症状(反跳性不眠)が発生する。日中の離脱症状は一般的にトリアゾラムが関連している。これは非常に半減期が短いためである。10日間の服用のみで、患者は不安・悩み・視野の欠落・パニック経験・抑うつ・非現実感・妄想を経験している。これらの反応は中間半減期を持つロルメタゼパムよりトリアゾラムのほうが一般的に発生している。このことより、より短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬の服用は、深刻な昼間の離脱症状を発生させている。この夜間の催眠作用のため、昼間に離脱不安を起こす現象は、トリアゾラムだけのものではないが、他の睡眠薬ではトリアゾラムで見られるほど重篤ではない。トリアゾラム長期使用後の急激な断薬は、重度のベンゾジアゼピン離脱症候群を起こす。トリアゾラムおよびニトラゼパムの突然の断薬後、患者には幻聴・視覚認知障害などの精神病を起こすことが報告されている。投与量の段階的かつ慎重な削減が、重度の離脱症状の発生を防ぐために推奨されている。日本の症例からは、安易に連用させず、効果が得られたら徐々に減量して投薬を中止し、やむなく連用する際には副作用の有無の確認を怠らないとしている。ベンゾジアゼピンと非ベンゾジアゼピン系を含めた日本の乱用症例において、2位である。向精神薬に関する条約のスケジュールIVである。1999年には、世界保健機関は、トリアゾラムなどいくつかのベンゾジアゼピンは、他のものより副作用を生じる可能性があるかもしれないが、現時点では証拠が十分ではないとし、スケジュールの変更は行わなかった。娯楽目的で服用する者もいるが、麻薬や他の一部の向精神薬のような多幸感はなく、サイケデリックな夢を見るわけでもない。生じるのは酒に酔ったような酩酊感である。それに加え、健忘により思わぬ事故を引き起こす可能性があるため、睡眠目的以外の使用は推奨されない。トリアゾラムは乱用される可能性を持つ薬物である。娯楽用途・多幸感を得るために、医学的助言なしに長期間摂取されている。ヒヒの研究では、嗜好薬剤自己注入テストによると、トリアゾラムが最も好まれるベンゾジアゼピンであることを示した。連続殺人犯のジェフリー・ダーマーはトリアゾラム(ハルシオン)を被害者の沈静目的に用いており、彼の伝記によればモトリー・クルーのメンバーニッキー・シックスがコカインとヘロインをハルシオンと共に用いていたことを参考にしていたという。
出典:wikipedia
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