自動車検査証(じどうしゃけんさしょう)は、自動車(総排気量250cm³を超える自動二輪車を含む)の所有者や使用者を公証したり、当該自動車が検査時点に於いて自動車保安基準に適合していたことを証明する公文書である。車検証(しゃけんしょう)と略して呼ばれることが多い。登録自動車及び総排気量250cm³を超える自動二輪車(二輪の小型自動車)においては、国土交通大臣(道路運送車両法第105条の規定により、実際には使用の本拠の位置を管轄する運輸支局長、兵庫県は神戸運輸監理部長、沖縄県は内閣府所管の沖縄総合事務局長)が届出や登録の管理や自動車検査証の交付を行い、自動車技術総合機構が検査を行う。軽自動車においては、使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会が交付・検査・届出管理を行う。自動車を運行する際には「有効な自動車検査証」と「自動車損害賠償責任保険証」を携帯することが義務づけられている。(それらに加えて運転する者は「有効な運転免許証」も携帯することが義務づけられている)自動車検査証を携行せずに自動車を運行した場合、50万円以下の罰金に処せられる。普通車の自動車検査証は、自動車が自動車登録ファイルに「登録」されている事を公証する書面である。このことから、後部のナンバープレートに封印がある自動車を特に区別する場合、「登録車」ということがある。1970年3月、自動車登録検査業務電子情報処理システム (U-SYS) 稼働開始による電算化によってカタカナ表記による自動車検査証の印刷発行が行われた(それ以前は手書き)。検査証は大蔵省印刷局製造の薄い橙色で、当時の公文書の様式にならい、B5判のドットインパクト方式による打ち出しであった。1979年1月にはオンライン化されたMOVISとなり、1988年3月のシステム更改によりMOTASとなった際、B5判のまま漢字表記対応となった。1996年1月、システム更改によりMOTAS(II)となり、規制緩和等による記載内容が増大したことや公文書のA4判化によってA4判化された。これまでは、検査標章(車検ステッカー)も大型の4色(青、赤、緑、橙)のものが使用されていた。その後(地域によって時期が異なるが)2002年頃より、橙色からホログラムの入った薄紫色の新しい用紙に変更されレーザープリンタによる印刷となった。2004年1月、システム更改によりMOTAS(III)となり、検査標章が小型化され、コピー機で複写したものには『COPY』という文字が斜めに多数浮かび出るコピー牽制パターンが入るようになった。2005年頃から、検査受検時の積算距離計表示値(オドメーターの表示値)が記載されるようになった。変更後の用紙は国立印刷局による製造である。2009年より、新たに「Bタイプ車検証」が交付されるようになった。オートローンやリースで所有権を留保されるような場合で、なおかつ所有者がその登録内容の通知を希望する場合に発行される。通知を希望しない場合は従来の書式の車検証(Aタイプ車検証)が交付され、所有者と使用者が同一の場合はAタイプ以外発行されない。これは、所有者の合併や移転等による記載変更事務の簡略化の為にはじめられたものであるが、自動車を大量に保有するオートリース会社等の車両管理の簡略化にも繋がっている。時折、フォントや細かな様式が予告なく変更される場合がある。2012年6月以前は紫地の用紙、6月以降は青地の用紙に変更となった。但し、変更実施時期は各運輸局の紫地用紙の在庫状況によって異なる。検査対象軽自動車の自動車検査証は、自動車が軽自動車ファイルに記録されていることを公証する書面である。2007年以前は、軽自動車の検査証は対象外軽自動車と同じく白いA5判のカーボンコピーのついた専用紙に手書き記載する様式であった。増加する軽自動車に対して事務処理の簡略化、変造対策が急務となった事などから、OCRシートを用いた処理に変更となり、薄い黄色地の専用紙への印刷による様式となった。2015年1月、各地で旧様式の用紙の在庫が無くなり次第、淡緑色の用紙へ変更され、若干の書式の変更にあわせ、継続検査時の受検形態が備考欄に印字されることとなった。登録車の検査証と記載内容はほぼ同じであるが、使用者欄が上・所有者欄が下にある、前後・後前軸重欄がない、登録車のものよりフォントが大きいなどの差違がある。小型二輪車の自動車検査証は、自動車が二輪自動車検査ファイルに記録されている事を公証する書面である。登録車と同書式で検査証が交付されるが、登録車と小型二輪自動車とでは道路運送車両法上の扱いが異なる為、その記録は軽自動車とほぼ同じ扱いとなる。検査制度の対象外であるので、自動車検査証に該当する書類は「軽自動車届出済証」という。これは自動車が検査対象外軽自動車届出原簿ファイルに綴り込みされている事を公証する書面である。検査対象車が全て電算化されても尚、検査対象外軽自動車はA5判の手書き様式で、届出済印はエンボス加工である。事務手続きを陸運支局(検査登録事務所)が行う地域と、軽自動車検査協会に付随する団体で行う地域とが存在する。現行の検査証用紙は、偽造抑制対策として下記の特殊加工が施されている。自動車検査証の内容は「車両部」と「権利部」に二分され、備考欄を加えて次の通り記載される。偽造防止の為、数年おきに書式は変更されるが記載内容は当初から殆ど変更がない。尚、関連項目順に記載するので、本項の並び順は車検証記載順ではない。道路運送車両法によって、所有者の変更があった場合(13条)、所有者の氏名若しくは名称若しくは住所又は使用の本拠の位置が変更となった場合(12条)は、15日以内に変更する手続きを行うこととされている。よって、転居後も以前住んでいた場所で登録された車両の変更登録を行わずに使用し続けるのは違法であるが、一般に周知されているとは言い難い。これらの住所は、国土交通省の定めた住所コードによってOCRシートに記載する。市区町村合併、地名変更等によって旧名称で記載されている検査証も有効であるが、欄内右端の住所コード表示は旧コードままの表示(登録車)又は無記載(軽自動車)となる。住居表示の実施等によって地番が変更となった検査証も有効である。これらの場合についての記載変更は道路運送車両法第67条2項により登録義務の例外とされているので、使用者が手間を掛けて書き換える法的な必然性は無い。尚、継続検査等に併せて新表示に書き換える事を希望する場合、市町村合併による記載変更の場合に限り記載変更に関わる手数料・用紙代とも無料となる。また、市区町村合併、地名変更等によって車検証上は旧名称で表示されている車両の各種手続きを行う場合、委任状、OCRシート等には検査証に記載された通りの住所を記載する必要がある。この場合は新住所の記載された印鑑証明書のみで手続きが可能である。しかし、旧所有者の住所に地番変更がある場合、あるいは転居前の住所で登録されている車両の場合、婚姻等で旧姓のままの場合は、印鑑証明書に加えて、従前の地番(住所)の記載のある住民票、戸籍謄本、法人の場合は登記簿謄本を添付して手続きを行う必要がある。主に次の内容が記される。一般的な記載内容について例を挙げ解説する。これらの他、等が記載される。記載内容は車両によって異なり多岐に渡る為、審査事務規程 5-3-15 備考欄 を参照されたい。また、平成26年2月17日以降に継続検査の申請がなされた車両の自動車検査証には、次の3項目について新たに記載されている。一時抹消登録を行った車両について、再度新規検査を受けた(いわゆる中古新規の)場合には、前回の継続検査受検の内容は削除される。指定自動車整備事業者(「指定工場」「民間車検場」、以下「指定工場」)が検査対象自動車の自動車検査(継続検査又は新規検査のうち乗用車・軽自動車・二輪車の抹消登録新規車に対する検査)を行った結果、国の定める保安基準に適合する場合に交付する書面である。全ての検査対象自動車は、原則として国の指定する自動車検査場に実車を持ち込み、保安基準に適合していることの検査(以下「車検」)を受けた後に、国(軽自動車においては軽自動車検査協会)に対して所定の申請を行い、自動車検査証及び検査標章(以下「車検証等」)の交付を受けた後でなければ公道を走行することができないが、指定工場で検査を受けた自動車は、国の検査場での実車検査を省略され、所定の申請を行い、書類審査のみを受ければ車検証等の交付を受けることができる。この国が行うべき検査を指定工場が行い、適合を認めた場合に自動車検査員が交付するのが「保安基準適合証」である。しかし、申請の際に、既に当該自動車が自動車検査証の交付を受けている場合(有効期限切れを含む)は、自動車検査証の原本も同時に提出しなければならないことから検査完了後は指定工場が預かり、国に対する申請を行うことが一般的で、指定工場で検査を受けても、自動車検査証が当該車両に備付されていない状態となり、自動車を運行することができなくなってしまうことから、指定工場の自動車検査員は車検証等の代わりとして「保安基準適合標章」(以下「標章」)を発行することができる(通称「ホテキ」)。なお、指定工場を経由して国に申請するのが一般的ではあるが、適合証そのものを指定工場より受け取り、使用者又はその委任者が申請することも可能である。標章では申請はできない。標章及び適合証共に有効期限は指定工場での検査日より15日である。標章により運行している車両は、期間満了後も有効な自動車検査証等の交付を受けていなければ当然に運行ができなくなり、有効期限を満了した適合証で申請をしても実車検査の免除は受けられない。何らかの理由により有効期限を経過した場合に再交付などの制度はなく、再度検査を受ける必要がある。また、指定工場での検査終了=車検完了ではない。最終的に書類審査のうえ新たな自動車検査証等が交付された時点で車検完了であることから、書類上の車検完了日は国に対して検査を申請した日となる(指定工場での検査日ではない)ことから、元の自動車検査証の満了日から1か月前までの間に申請された場合は2年後の同月同日、それ以外の日に申請された場合は申請日から起算して2年後が新たな車検証等の満了日となる。なので、指定工場の協力が不可欠ではあるが仮に8月1日車検満了の指定工場による検査は日程的には車検満了日の1か月15日前(6月17日)から受検できる(ただし、申請は車検申請期間と適合証の有効期限が重なる7月1日にしかできない)。また、車検満了日である8月1日に指定工場で検査を受検すると、翌日からは保安基準適合証の効力により15日間は運行を許されることから、適合証の有効期限である8月15日に申請をすれば、2年後の8月15日が新たな車検満了日となるため、空白期間を作らずに次回の車検満了日を15日間延長することも可能であるが、自賠責を通常より1か月余分に加入する必要がある(自賠責は原則として1か月単位でしか加入できない)。何らかの理由により、新たな自動車検査証等の交付を受けられない場合(手続の失念や書類の形式的審査否決)は、元の自動車検査証の有効期限又は標章の有効期限のどちかか長い方の期限までは運行できるが、保安基準に適合していない場合や後述する納税義務の不履行と審査された場合は、残存する有効期限に関わらず、自動車検査証は没収され即時に効力を失うが、ナンバープレートは有効で、限定自動車検査証(申請日より15日間又は元の自動車検査証の有効期限のどちらか短い方の期間、当該車両の整備のみを目的に運行を許される)が交付されるので、すみやかに整備をして再受検しなければならない。もし、新たな自動車検査証の交付が受けられなかった場合はすみやかに当該事由を解消し、再申請しなければ上記期限以降は運行ができなくなる。なお、近年においては自動車税や放置駐車違反金の未納付があると国は否決することができるので十分注意が必要である。適合証はA5サイズの用紙に3枚複写式となっており、1枚目が指定工場控、2枚目が提出用、3枚目が標章となっており、使用者(車両)に対しては3枚目の標章が交付される。標章は、使用者が求めれば原則として交付しなければならないが、預かり車検の場合などで、車検証等の交付まで当該自動車の運行の必要がない場合は交付しなくとも良い。構造変更を伴う場合や未登録車の新規登録については本制度は適用されず、適合証・標章共に交付することはできない。なお、偽造抑制対策として表面(標章側)をコピーすると「COPY」の文字が浮かび上がり、表面・裏面共に印刷業社名の周辺にマイクロ文字で「ホアンキジュンテキゴウショウ ゲンテイホアンキジュンテキゴウショウ ホアンキジュンテキゴウヒョウショウ」と印刷されている。適合証及び標章に自賠責保険の保険期間が記載されるが、この記載は自賠責証明書の代用とはならない。別途、運行日をカバーしている自賠責証明書の備付が必要である。通常、元の車検満了日までは元の自賠責証明書、満了日以降から新しい自賠責証明書の適用となることから、車検が終了したからといって元の自賠責証明書を誤って早く処分しないように注意が必要である。既に国に対して申請をした結果、当該車両が保安基準に適合しないが直ちに運行を中止させる必要がない程度のものである場合は、国は限定自動車検査証を交付し、整備等の目的に限り一定期間内の臨時運行を許される。指定工場がこの限定自動車検査証の交付を受けた車両の整備が必要な部分を保安基準を満たすように整備し、再検査を実施した時に交付する書類。使用する書類は同一の物であるが、限定である旨が表示される。(限定)適合証は発行できるが、標章は発行できない。既に保安基準適合証の交付を受けた車両について発生することはないが、主にユーザー車検を受検したが検査により指摘された整備が必要な部分の整備について自身では実施できない場合に指定工場に依頼して整備点検を実施してもらい、交付されるものである。15日の限定期間とはいえ、当該自動車を全国自由に運行させることができ、かつ、国の実車検査を省略できる力を持っていることから、違法改造車の車検に用いられる事(ペーパー車検)も少なくなく、対策として地方運輸局は指定工場に対して抜き打ち検査を行っている。不正車検が明らかになった場合は指定整備事業者の認定を取り消される等、事業の継続が不可能となる事もある。一般私人が適合証を記載することはないが、偽造・変造・不備などを見破るためには下記の点を確認すると良い。道路運送車両法登録車の使用を一時中止する旨を登録した場合、備考欄にその旨(一時抹消登録)が記載された登録識別情報等通知書が交付される。二輪の小型自動車及び軽自動車の使用を一時中止する旨を届け出た場合、自動車検査証を返納した事を証明する自動車検査証返納証明書が交付される。中古車販売店等が、契約から納車までの期間を短縮する等の為に、新たな使用者が決まる前に予め検査を取得した(検査時点で保安基準に適合していた)ことを証する書類である。
出典:wikipedia
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