慈愛の輝き(じあいのかがやき, 原題: George Harrison)は、1979年2月14日に発表されたジョージ・ハリスンのアルバムである。日本国内では同年2月25日にワーナー・パイオニアからリリースされた。後年にスティーヴ・ウィンウッドのアルバム『バック・イン・ザ・ハイ・ライフ』やエリック・クラプトンの一連の作品で大きな成功を収めることとなる名プロデューサー、ラス・タイトルマンを共同プロデューサーに迎えて制作された1979年発表のアルバム。一時期本業の音楽活動から遠ざかり、趣味のカーレース観戦や副業として始めた映画制作に没頭していたハリスンだが、友人だったレーサー、ニキ・ラウダの発言に触発されて再びこのアルバムで音楽活動を再開することとなった。彼の秘書をしていたオリヴィア・トリニダード・アリアスとの再婚や、彼女との間に授かった初めての息子ダーニの誕生など、同時期にハリスンの身の回りで起こったポジティヴな変化がアルバムの作風にも大きく影響している。個々の収録曲の質は極めて高いが、パンク・ロックやニュー・ウェイヴの全盛期だった1970年代後半において成功することは容易ではなかったようだ。アメリカの『ビルボード』誌アルバム・チャートでは、最高位第14位、『キャッシュボックス』誌では、最高位第12位、1979年度年間ランキング74位を記録している。イギリスでは最高位第39位、日本のオリコン誌で最高位第31位と、前作『33 1/3』と同程度の成績を収めるにとどまった。しかし、後年のこのアルバムに対する評価には非常に高いものがあり、「オール・シングス・マスト・パス」・「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」や「クラウド・ナイン」などの大ヒットアルバムとともに、ジョージの傑作アルバムとされている。発売された1979年当時、原題の訳である『ジョージ・ハリスン』は、現在の『オール・シングス・マスト・パス』の邦題として使われていたため、発売元のワーナー・パイオニアの担当者により、収録曲「永遠の愛」 の歌詞の "The guiding light in all your love shines on"のくだりから『慈愛の輝き』という邦題が考案された。1991年に初めてCDで発売され、その後レコード会社との契約の問題から長年廃盤になっていたが、2004年3月にEMI傘下で再発された。日本でも東芝EMIからコピーコントロールCDでリリースされている(後に通常CDとして再発された)。現行盤には12ページのライナー・ノーツがついており、歌詞とハリスン自身による楽曲解説(1979年にイギリスのジェネシス出版から刊行された彼の自叙伝『アイ・ミー・マイン』からの転載)が掲載されている。冒頭を飾る「愛はすべての人に」はアルバムからの2枚目のシングルカット作にもなった。ギターでエリック・クラプトン、ミニ・モーグでスティーヴ・ウィンウッドがゲスト参加している。クラプトンは2005年発表の自身のアルバム『バック・ホーム』の中でこの曲をオリジナルに近いアレンジでカヴァーしている(このカバーでもウィンウッドは演奏に参加)。「ノット・ギルティ」は1968年発表のビートルズのアルバム『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム)』のセッションで100以上に及ぶ膨大なテイクが録音されたにもかかわらず、収録されなかったいわくつきのナンバーである。オリジナルのヘヴィーなアレンジ(1996年に発表されたビートルズの未発表音源集『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』で聴ける)とは打って変わってジャジーなアレンジのアコースティックなバージョンに生まれ変わっている。「ヒア・カムズ・ザ・ムーン」は、タイトルからもわかるようにビートルズ時代のハリスンの代表曲「ヒア・カムズ・ザ・サン」の続編的な作品である。1978年に、彼が当時滞在していたハワイ・マウイ島でのマジック・マッシュルームのトリップ体験をきっかけに書かれたといわれている。この際録音されたデモ・テープは2004年にこのアルバムがデジタル・リマスターを施されて再発売されるにあたり、ボーナス・トラックとして追加収録された。この曲のみならず、本作に収録されている数曲はマウイ島で書かれたものである。この曲の次に配置されている「ソフト・ハーテッド・ハナ」も、同じような経緯で作曲された。タイトルはテンペランス・セブンの「ハード・ハーテッド・ハンナ」をもじったもので、ハナとはカフルイ空港から90kmほど南に位置する小さな町のことである。曲中で聴かれる群衆のざわめきはハナから2マイルほど離れたレストランで録音されたもの。シングル・カットされて全米チャートで最高12位まで上昇するヒットになった「ブロー・アウェイ」は、前作『33 1/3』発売後一切本業から離れていたハリスンが活動を再開するにあたって書いたという作品。「ひょっとしてもう書けなくなっていたらどうしようと心配になったので、ある大雨の日に書いてみた」と、彼は翌年に刊行された自叙伝の中で述懐している。「ファースター」は、このアルバムを制作するきっかけにもなったニキ・ラウダが、1976年のドイツグランプリでの事故から復帰したことに触発されて書かれた作品。同曲のプロモーション・ビデオにはラウダも出演している。1973年に発表されたジャッキー・スチュワートの自伝から引用した曲名については、「抽象的でよいタイトルだと思っている。車やエンジンに限らず何にでもあてはめることができるから」とコメントしている。サウンド・エフェクトとして曲の冒頭と最後に流れるレーシングカーの轟音は、1978年のF1グランプリで録音されたものである。「ダーク・スウィート・レディ」と「永遠の愛」は、夫人となったオリヴィア・アリアスへのラヴ・ソング。後者については「“サムシング”と同じくらい良い曲だと思っている」とコメントしている。前者と「ソフト・タッチ」でも、ウィンウッドがバック・コーラスなどで参加している。アルバムの最後に収められている「イフ・ユー・ビリーヴ」は、元スプーキー・トゥースのメンバーでソロ・アーティストとしても「夢織り人」の全米トップ10ヒットで知られるゲイリー・ライトとの共作である。ハリスンとライトは後年にも数曲、楽曲を共作している。※2004年にEMI/ダーク・ホースから再発された際に追加されたボーナス・トラック。※2007年にiTunes Store販売版に追加された未発表ボーナス・トラック。
出典:wikipedia
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