ES(イーエス)は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」の中大型セダンである。2015年現在で販売されているのは6代目モデルであり、北米、中東、ロシア、中国、韓国、台湾などの地域で販売されている。日本では、2代目から4代目までに相当するモデルがトヨタブランド(カローラ店)にて「トヨタ・ウィンダム」として販売されていたが、5代目以降は日本国外専用モデルとなっている。1989年に北米市場でレクサスブランドが立ち上げられた当初から「LS」と共にラインアップされている車種であり、日本国外市場では「RX」と並び、レクサスの最量販車種となっている。レクサスのラインアップ上では「IS」と共に米ドル価格$40000前後のミドルクラス(プレミアムDセグメント)を受け持つモデルとして位置付けられている。1989年登場。「カムリプロミネント・4ドアハードトップ」のレクサス版として販売された。カムリプロミネントとはフロントグリルなどのデザインが異なり、「LS」に似たイメージが演出された。車名エンブレムはテールランプに装着されている。初代レクサス・ES(VZV21)は、1989年1月にデトロイトで開催された北米国際オートショーで登場した。レクサスという新ブランドがフラッグシップ車の「LS 400」1車種のみで発足するのを避けるため、営業的見地からエントリーモデルとしてESが同時に登場することとなった。「ES 250」と名付けられ、カムリと同じ2.5LV型6気筒エンジンが搭載された。これまで日本市場専売だったv20系4ドアハードトップのトヨタ・カムリプロミネント/ビスタ(V20)をベースにしたバッジエンジニアリングである。外装は同世代のトヨタブランド車のボディスタイルやと車体寸法と同様であったが、より高級車らしさを演出するため、目立つフロントグリル、大型のテールライト、クローム飾り、フレームなしの窓、LSのものと似た特徴あるデザインのホイールを、内装では6スピーカーのパイオニアサウンドシステム、木製化粧板、ワンタッチ式パワーウインドウ、革製シートといった装備を備える。トランスミッションは「ノーマル」と「パワー」両モードを選択できる電子制御4速オートマチックトランスミッション(ECT)と5速のマニュアルトランスミッション(MT)が選択できた。安全装備としては運転席SRSエアバッグとABSがあり、オプションで15インチアルミホイール、電動式運転席パワーシート、電動式ムーンルーフ、CDプレーヤーといったものがあった。革製の内装はオプションでの設定であったがほぼ共通に注文され、布張り内装のES250も少数だが生産された。ESは「高級スポーツセダン」と位置付けられ、発売当時の米国市場での希望小売価格は約US$2万2,000であった。発売されて最初の1ヶ月間で1,216台の販売を記録したが、これはESと異なり独自かつ全く新規のプラットフォームを使用したLSの前には色褪せたものであった。初代モデルの生産は1989年8月30日に始まり1991年7月5日に終了し、生産台数は1990年モデルが19,534台、1991年モデルが17,942台で、そのほとんどがAT車であった。生産期間も短かったため、現在では米国の路上で見かけることは稀である。1991年登場。このモデルの日本でのトヨタブランド版が初代ウィンダムである。日本にはない5速MT車の設定もあった。1991年9月にレクサスは1992年モデルとして2代目ES(VCV10)を発表。外観は全く新しいスタイリッシュなデザインとされ、LSとも共通の特徴を持つようになり、モデル名はエンジン排気量が3Lに拡大されたことに伴い「ES 300」に変更された。ES 300は 3.0 L の3VZ-FEV6 エンジンを搭載し、0-60 mlの加速は7.9秒を謳う。プラットフォームを共有するカムリと比較すると、独自のスタイリング、異なるサスペンション設定(前後輪共に独立式のマクファーソン・ストラット)を持ち、ボディパネル封入のアスファルト遮音材や追加の装備品、その他の差異から重量は重くなっていた。先代と同様にABSを標準で備え、5速のE53型MTか4速のA540/1E型ATが選択できた。先代よりも丸みを帯びた形となり、全長で5in(127mm)、全幅で3in(76mm)と大型化された。顔回りでは曲面カバーに覆われたプロジェクター式ヘッドライトと3本桟のグリルを備え、レクサスのエンブレムはボンネット上に移された。ボディ側面は隠しBピラーとサッシュレス(窓枠なし)のドアを持つビラードハードトップボディである。トランクリッド上にはLSに似せた一体型スポイラーを備え、空力性能を向上( 0.32)させている。内装ではセンターコンソールにカリフォルニア産ウォールナットをあしらい、革製シート、8スピーカーのプレミアムサウンドシステムとキーレスエントリーを備える。ホイールベースと全幅の拡大により、先代モデルよりも足元と肩周りの空間が拡げられた。生産は1991年9月9日に始まり、米国内ではその年遅くに1992年モデルとして販売が開始されたが、トヨタブランドの類似モデルが販売されていたヨーロッパでは販売されなかった。2代目ESは販売において大きな成功を収め、レクサスの最多販売車種となった。最初の通年販売年で3万9,652台を記録し、翌年は生産年だけで前年と同等かそれ以上の台数を記録した。発売当初のベース価格はUS$2万6,550であった(その年の終わりにはUS$3万以上に上昇した)が、1994年には円高と高需要のために、メーカー希望小売価格は元々の1992年の価格よりも19.3%高いUS$3万1,200に上昇した。1993年には新しいデザインのフロントグリル、助手席エアバッグの新設、外気温度計、ハロン非使用エアコンディショナーといった小改良を施された1994年モデルが導入された。北米市場ではエンジンがを発揮する新型の全アルミニウム製1MZ-FEエンジンに置き換えられたことにより、型式名もMCV10へ変更されたが、その他の市場では3VZ-FEエンジンのままのVCV10が継続された。1995年にウインカーランプとフォグランプのデザインが変更され、1993年以降は5速MTが廃止された。1996年に内装にコーチが選定した革が使用され、コーチ製の鞄セットが添えられたES 300「コーチ・エディション」が設定された。モデルチェンジ前の最終年だったにも関わらず1996年モデルのES 300の販売数は前年比21%増を記録し、この年は40,735台が生産された。1996年登場。3代目ES(MCV20)は、先代を発展させたデザインで1996年9月に1997年モデルとして発表された。先代よりも車体剛性は30%高い、より軽快でシャープなラインのボディを持ち、リフレクター式ヘッドライトとより広がり感のある内装を備えて、女優のシャロン・ストーンをホストに迎えたビバリーヒルズのロデオドライブ()で催されたガーラ・イベントで発表された。エンジンはの3.0 L V6 と4速ATの組み合わせのみであったが、日本市場のウィンダムにはの2.5 L 2MZ-FE V6エンジンも用意された。全長は多少()長くなったが、重量は先代よりも軽くなり、空気抵抗は"C" 0.29とこれも先代よりも向上していた。当初は路面状況に応じて各輪のショックアブソーバーを独立して調節する(0.0025秒の早さで)機能を持つアダプティヴ・ヴァリアブル・サスペンションが提供されていた。内装では自発光式メーター「レクサス・オプティトロン・インスツルメント・パネル」、ウォールナット製化粧板、革製シートを備え、その他の豪華標準装備品として電熱ドアミラー、フルオートエアコン、電動ムーンルーフ、グローブボックス内据え付けのCDチェンジャー付ナカミチ・プレミアムサウンドシステムといったものが揃えられ、電熱シートもオプションで用意された。米国でのベース価格は1997年モデルのES 300がUS$3万395で、発売初年度で58,430台の販売台数を、生産期間中は35,000から5万台の範囲の販売を記録するという先代を上回る成功を収めた。1997年に発売された1998年モデルでは主に前席サイドエアバッグの標準装備や、衝突寸前に前席の乗員をシートに確実に拘束するフォースリミット・シートベルトといった既存の補助拘束装置(次世代型)に関する僅かな改良が施された。盗難防止装置として鍵の中にトランスポンダー・チップが埋め込まれた。可変バルブタイミング機構(VVT-i)付の「1MZ-FE」エンジンにより1998年(1999年モデル)に出力はへと向上した。1999年に発売された2000年モデルでは小規模なフェイスリフトを受けてテールライトと方向指示灯の透明化、新しいグリルとヘッドライトで顔回りの刷新、透明フォグランプ付の下部バンパーと大径アルミホイールといったものが新しくなった。内装では自動防眩式ルームミラー、木目化粧板の増設、オーディオの小改良と自動レベルコントロール機能付きディスチャージヘッドランプがオプションに設定された。1998年から2001年(1999年モデルから2001年モデル)には限定で「コーチ・エディション」が設定され、1999年から2000年には電動ムーンルーフ、特別内装、特製アルミホイールを装備した「プラチナム・エディション」が設定された。2001年登場。ATが5速化され、ハードトップからセダンに変更される。日本仕様であるトヨタ・ウィンダムはこの代が最後となった。より大型化した4代目ES(MCV30)は、「IS」がレクサスの新たなエントリーモデルとしてラインアップに加わった翌年の2001年に2002年モデルとして発表された。ISの登場に伴い、4代目は先代までのスポーティ感を取り除き、より上級の豪華な車に仕立て上げた。先代までと比較すると、NVHからの隔絶、大きく柔らかなシート、改良された内装材といった、快適さに重きを置いた内装を有する。外観は、後方に延びたヘッドライトとクロームで飾られた単色塗装を持つ丸みを帯びた形状となった。LSに似た新しいデザイン要素として、後部のクォーターウインドウとボディ側面まで回り込むテールライトの端が斜めに切れている点が挙げられる。より空力性能の向上したボディ形状のCD値は0.28である。追加された装備品と重くなった重量にも関わらず、加速性能と操縦性は損なわれておらず、電子スロットル(ドライブ・バイ・ワイヤ)、5速AT、EBD・ブレーキアシスト付ABSやVSC、TRCといった新しい装備が設けられた。豊田市にある工場とトヨタ自動車九州で生産される。車室内はダッシュボード、センターコンソールとドアにカリフォルニア産ウォールナット製化粧板が使用され、外部パドルライト("Exterior puddle lamps" )、床照明、クローム製ドアハンドル、後部窓の電動サンシェード、ギアを後退位置に入れると自動的に下向きになるドアミラーといった装備が上級感を醸し出していた。オプションには後部窓の電動サンシェード、雨滴感応式ワイパー、DVD式カーナビゲーション、マークレビンソン()・プレミアムサウンドシステムが設定された。より上級の装備により価格は上昇した(2002年のベース価格はUS$3万2,080)にも、関わらず最初の年で販売台数は71,450台に跳ね上がり、ESは米国市場における最多販売高級車となった。2002年の(:NHTSA)の衝突テストでES 300は運転席、助手席、運転席側側面の各部位で最高の5つ星を、後部座席側面と転倒で4つ星を獲得した。2003年に発表された2004年モデルで、米国市場においてはを発生する(SAEの出力測定方法が変更されたため、後にに改訂)改良された3.3Lエンジンを搭載する「ES 330」(型式名MCV31になったが、3.0LエンジンのMCV30も存続)が追加された。2004年には限定でES 330にアダプティヴ・ヴァリアブル・サスペンション、17”Yスポーク・アルミホイール、マークレビンソン・プレミアムサウンドシステム、内装の向上、特別ボディ塗色を備えた特別モデルの「スポートデザイン」("SportDesign" )が発売された。2004年に発表された2005年モデルでは、透明化されたテールライト、プロジェクター・ヘッドライト、新デザインのフロントグリルといったフェイスリフトを受け、内装ではハンドル部に操作スイッチを持つオーディオ、電動調整式ペダル、電熱/換気機能付き前席シートといった新装備が標準とされた。加えて新しいバーズアイ・メイプル化粧板が車室内を明るく彩り、オプションで衛星通信が提供された。2005年にはブラックウッドの化粧板、玉虫色のブラックダイヤモンド塗色にトゥミ製の鞄を添えた特製のES 330「ブラックダイヤモンド・エディション」が発売された。2006年2月、シカゴオートショーで公開された。同年4月に北米で販売が開始され、韓国など順次アジア諸国でも販売されている。なお左ハンドルのみの存在。製造はトヨタ自動車九州が担当しているが、このモデルから左ハンドル仕様のみの設計となり右ハンドル仕様が廃止されたため、日本だけでなくオセアニア・東南アジアでも販売されていない。エンジンは新型のV6・3.5L 2GR-FEへ置き換えられ、モデル名も「ES 350」となる。トランスミッションは6速ATとなり、シーケンシャルシフトマチックを搭載、他のレクサス車同様スマートエントリー(プッシュスタート)機能を採用し、14スピーカーのマークレビンソン・プレミアムサウンドシステムが設定される。カーナビゲーションは日本ではHDD方式が主流となっていた時期であるが、本モデルではDVD方式が採用されている。2006年10月に、ES用メーターがグッドデザイン特別賞を受賞した。また、すべてのモデルに対してムーンルーフまたは3枚のガラスでルーフパネルが構成されたチルト&スライド式の機構を持つパノラマガラスルーフが標準で設定されており、仕向け地によってはオプションで、ユーザーがどちらを装着するか選択することができる。2009年11月13日、広州モーターショーにて直4・2.4Lエンジン(2AZ-FE)を搭載する「ES 240」が公開された。2012年4月のニューヨーク国際オートショーで発表。レクサスの新たなデザインアイコンである「スピンドルグリル」を採用し、スポーティ感と高級感を巧みに演出している。プラットフォームはKプラットフォームを継承するが、これまでの「カムリ」系より更に大型の「アバロン」系に変更され、これによってホイールベースが先代から拡大されている。エンジンは従来のV6・3.5L(2GR-FE)「ES350」に加え、ES史上初となるハイブリッドモデル「ES300h」もラインナップ。このハイブリッドに組み合わされるエンジンは直4・2.5Lの2AR-FXEで、基本的にはカムリのハイブリッドモデルと同じである。この採用により、40mpg(約17km/l)のEPA燃費性能を実現している。この他、一部市場向けには直4・2.5L(2AR-FE)「ES250」も設定される。内装には「GS(4代目モデル)」と共通イメージの大型ディスプレイが備えられ、「RX(3代目モデル)」や「HS」などと同様に「リモートタッチ」がセレクターレバー脇に備えられている。装備面においては10エアバッグシステム、むち打ち傷害低減シート、ミリ波レーダーを使った衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュセーフティシステム」や、後方と側面の車両を検知するRCTA、車線逸脱警告機構(LDA)などを搭載し、更なる安全性向上が図られた。製造は引続きトヨタ自動車九州が担当するが、単に販売拡大を推し進めるだけではなく、日本ならではの技術を活かした生産がどこまで可能かという試金石にもなっている。2015年4月20日、上海モーターショーにて、フェイスリフトを受けた2016年モデルを発表した。中国、ロシア、台湾向けには直4 2.0L D-4を搭載した「ES200」が新たにラインナップされる。2015年8月20日、ガイキンド・インドネシア国際オートショーにて、ESが公開された。これはインドネシア向け右ハンドル仕様であり、40系で廃止されていた同仕様が、およそ9年半ぶりに復活したことを示す。米国での各世代のレクサス・ESの販売台数は以下の通り。メーカーの年間データより。
出典:wikipedia
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