スコット・ロス(Scott Stonebreaker Ross、1951年3月1日 - 1989年6月13日)は、チェンバロ・オルガン奏者。アメリカ・ピッツバーグ生まれでフランスおよびカナダを中心に活躍した。数々の優れた録音を残したが、38歳の若さでエイズのために夭折した。弟子に曽根麻矢子、ニコラウ・デ・フィゲイレドがいる。冴え渡る高度な技巧を有していながら、奇をてらった表現はほとんどなく、端正な演奏を良しとしていた。一方で、チェンバロ演奏にしばしば見られるような学問的興味に傾いた演奏様式とも一線を画しており、生き生きとしたリズムや和声によって音楽の本質に迫ろうとする特徴がある。ロス自身の言によれば、本人がパルジオン(フランス語でパルスの意)と呼ぶ、瞬間的な音楽の霊感を追求していたという。ロスの録音業績の中でも目立つのは、ドメニコ・スカルラッティの生誕300周年を記念して企画された、555曲からなる鍵盤楽器のためのソナタ全集の世界初録音、をCD34枚組で達成したことである。(2013年時点での個人全集は、ピエテル=ヤン・ベルダーがブリリアントクラシックスに、スカルラッティ没後250年を祝して36枚で完成させたものと、リチャード・レスターがニンバス・レコードに38枚で完成させたものも入手可能ではある。ピアノで個人全集を達成した者はいまだ現れていない。)スカルラッティの全集に挑んでリタイヤした者も少なくなかった当時、完結させたばかりではなく、個々の完成度の奇跡的な高さを含め偉業と称えられた。一日に2-3曲のペースで録音したといい、多くの曲は初めて弾くものであったため狂人のように勉強しなければならなかったというが、その演奏の完成度はきわめて高い。他にもラモーとF.クープランのクラブサン作品全集、F.クープランのオルガン作品全集を完成させている。バッハの全集も構想した時期があるが、病気の進行には勝てず遂に実現しなかった。以下は主な録音のリストである。鉱物の採集を好み、火山を訪ね歩くことを愛した。猫好きであるが、百合の掛け合わせによって珍しい品種を作ることも好んだ。コンピュータにも関心があったという。ケベック時代にはアパートを改造して写真現像用の暗室を作っていた。また、録音等は残っていないが、個人的にドビュッシーやラヴェル、ショパンをピアノで弾くことを楽しんでいた。ブライアン・イーノや、フィリップ・グラス、ニーナ・ハーゲン等の音楽を好んだ。田舎に家を買って農夫として暮らすのが長年の夢で、ケベック時代には実現しなかったが、フランスに帰ってからは実際に家を買ってほぼ実現させた。ロスは少年期のニース音楽院時代(1969年)に、フランス南部モンペリエ近郊のアサス(、)にある古城(シャトー・ダサス)に行き、そこで歴史的チェンバロに触れたことがきっかけでオリジナル楽器への理解を深めたという。以来、この城は彼にとって特別な場所となり、終生に渡って何度も訪れ、一室を借りて住んでいたこともある。また、ロスの主要な録音業績の一部は、この城で、その楽器を用いて録音されている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。