債務引受け(さいむひきうけ;独Schuldübernahme)とは、大陸法の民法(債権法)に関する法律用語であり、ある人が負っている債務を同一の債務を別の人(引受人)が債権者との合意によって承継することをいう。当初の債務者が当該債務を負わなくなる免責的債務引受け(交替的債務引受け、免脱的債務引受け)と、当初の債務者が引き続き当該債務を負う併存的債務引受け(重畳的債務引受け、添加的債務引受け)に分類される。狭義(ドイツ法など)には前者のみを指す。経済的に類似する概念として履行引受け、債務者の交替による更改などがある。日本法においては、民法典には債権譲渡の規定はあるが、債務引受けの規定はない。もっとも、ドイツ法を参考として、当然に認められるものと解されている。狭義には、免責的債務引受けのみを指して債務引受けという。交替的債務引受け、免脱的債務引受けともいう。債務が当初の債務者と債権者以外の人へ移転し、当初の債務者が債務を負担しなくなる形態の債務引受。債権譲渡の場合と異なり、資力や担保権などの点において債務者の変更は債権者にとって重要であるから、免責的債務引受が有効に成立するためには債権者の合意ないし同意が必要である。また、当初の債務者の意思に反して債務引受をすることはできないとする大審院判例がある(大判大正5年7月3日法律新聞1164号31頁)。もっとも、当初の債務者にとっては債務の免除を意味するため、その同意は不要と解する立場もある。通常は、併存的債務引受けを含める(広義の債務引受け)。重畳的債務引受け、添加的債務引受けともいう。ドイツ法においては(狭義の)債務引受けと区別されて、と呼ばれる。債務が当初の債務者と債権者以外の人へ移転し、移転後も当初の債務者が引き続き債務を負担する形態の債務引受。この場合は、債権者の利害を損なうことはないので、当初の債務者と引受人との合意のみによっても成立する(大判大正6年11月1日民録23-1715)。また,当初の債務者の意思に反して債権者と引受人との間の合意によっても成立する(大判大正15年3月25日民集5-219)。併存した債務同士の関係については事案や具体的な合意の内容に応じて連帯債務(最判昭和41年12月20日民集20-10-2139)や保証債務についての規定が類推適用されると解されている。債務の履行負担のみを引き受けるもの。引受人と原債務者の内部関係でのみ引受けが行われ、債務者が債務を負担しつづけ、引受人は債権者に対して債務を負担しない。このため、通常は債務引受けには含めない。引受人が履行を怠った場合でも、債権者に対し債務不履行責任を負うのは履行を引き受けさせた債務者自身であり、引受人は債権者に対して何らの責任も負担しない。引受人は、債権者に対して第三者として弁済することとなり、その場合には、債務者に対して委託による保証人()準じて求償できる。保証人の負担する債務(保証債務)は、基本的には当初の債務者(主債務者)の債務(主債務)と同じ内容であるが、債務としての同一性はない。債務者の交替による更改の場合には、債務引受けとは異なって債権がいったん消滅して新たに発生するため、債務の内容は同じであっても債務としての同一性はない。債務引受けや契約上の地位の移転に比べて特にメリットがないため、日本法の下においてはあまり用いられておらず、立法論として廃止を唱える議論すらある。これに対して、債務引受けや契約上の地位の移転の認められない法の下では、債務引受けや契約上の地位の移転に代わるものとして、更改がよく用いられる。契約上の地位の移転とは、将来発生することとなる債権や債務、形成権を含め、特定の契約上の地位を全て移転することをいう。債権譲渡や債務引受けに分解し得ない独自の概念として日本法において認められている。
出典:wikipedia
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