ミランコビッチ・サイクル(Milankovitch cycle)とは、地球の公転軌道の離心率の周期的変化、自転軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動という3つの要因により、日射量が変動する周期である。1920〜1930年代に、セルビアの地球物理学者ミルティン・ミランコビッチ(Milutin Milanković)は、地球の離心率の周期的変化、地軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動の三つの要素が地球の気候に影響を与えると仮説をたて、実際に地球に入射する日射量の緯度分布と季節変化について当時得られる最高精度の公転軌道変化の理論を用いて非常に正確な日射量長周期変化を計算し、間もなくして放射性同位体を用いた海水温の調査で、その仮説を裏付けた。ミランコビッチ・サイクルで表される日射量の変化は、北極や南極の氷床の規模の変化や氷河期や間氷期がおとずれたりする年代を求めるのに有効である。ただし、その計算は複雑であって理論と実際が異なる場合があるため常に再計算が要求される。ミランコビッチの算出した数値は、1960年代まで地質学者たちの間で用いられていたが、放射性同位体による測定法が発展し確実なものとなると、わざわざ計算の面倒なミランコビッチ・サイクルに頼ることはなくなってしまった。とはいえ、1970年代に、海洋底のボーリング調査が行われ、採取されたサンプルに遺された微生物(有孔虫)化石の酸素同位体比から得られる気候変動の周期は、ミランコビッチの算出した数値ないしは計算法で得られる値に近い値であり、彼が1920年代に行った計算は1970年代の最新鋭の測定法に匹敵する精度であることが分かった。これら三要素が地球の気候に影響を与えるのだが、実際には他にも様々な要因が関わるため、単純に計算出来るものでもない。(後述)また一般的に離心率の変化が地球の気候に影響を与えやすいのだが、地球史全体で見れば例外もある。実際、過去70万年の気候変動では10万年周期の離心率の変化ではなく、4万年周期の地軸の傾きの変化が重要な役割を果たしている。ミランコビッチ・サイクルを計算するための要素である公転運動や自転は、太陽や月をはじめとして様々な物理的な条件に影響される。たとえば、月の引力による海水の干満作用によって海水と海底の摩擦がおき、地球の自転速度が減速させられることも影響する。つまり自転周期が現在よりも短い約20時間であった20億年前の場合、1日を20時間のサイクルとして計算することになり、その数値の変化は現在と比べて短期間において明らかに激しくなることが予想されるということである。当時は理論上現在の1/4程度の周期だったと考えられている。最近100万年で見ると、公転軌道が正しい円に近づいた90万年前と75万年前と39〜40万年前には、北緯65度における日射量が1mあたり480W付近であり変化の少ない日射量の期間である事が表から見て取れる。それと比べて、95万〜100万年前と60万年前及び20万年前には公転軌道が比較的ひしゃげて楕円になったこと、自転軸も安定的な80万年前には22.3〜22.7度前後の変動だったものが22.5〜24度の間を激しくゆれ動くようになったことなどから日射量が440〜540Wの間で激しく変化し、寒い氷河期と温かい間氷期が繰り返された事が読み取れる。
出典:wikipedia
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