回数乗車券(かいすうじょうしゃけん)とは、交通機関が一定の期間内に、一定の区間を複数回利用する旅客に対し、任意の割引率をもって発行する乗車券や金券の一種。一般には回数券(かいすうけん)と呼ばれる。なお、交通機関以外のものについては回数券を参照。一般的な普通回数券は、11枚綴りのものが普通運賃の10倍の値段で販売されるが、事業者によっては枚数や発売額が異なる場合がある。普通回数券のほか、利用日や利用時間帯が限られる代わりに割引率の高い「時差回数券」・「土休日回数券」と呼ばれる回数券なども存在する。利用区間が指定されている回数券と、社局線内のどの駅からも乗車することができる区間運賃額面式の回数券がある(後述)。回数券は一定区間を複数回利用する乗客のために割引をしている乗車券であるが、複数人が利用しても問題はなく、複数人で同区間を利用する場合の割引運賃としても利用できる。JRグループにおいては、以下のものが規定されている。なお、特急券と乗車券を同一紙片ないしはそう見なして新幹線各駅ないし周辺駅で発行される「新幹線回数券」など、特急券を含んだ回数券は「特別企画乗車券」(トクトクきっぷ)である。また、特定の特急列車を定期券で利用する場合に回数券形式で発行される特別急行券も同様に特別企画乗車券である。このほか、西日本旅客鉄道(JR西日本)の発行する昼間特割きっぷや、JR九州の2枚きっぷ・4枚きっぷ(特急券あり・なしが存在する)も、本項でいう回数乗車券にはあたらない。以前には以下の回数乗車券も発行されていた。私鉄などJRグループ以外の鉄道事業者の中では、普通回数券として普通運賃10倍の発売額で11枚つづりの回数券を発売しているほか、利用できる日や時間を限定して割引率を変更する回数券がある。たとえば時差回数券は、平日の10時から16時までと土曜・休日の終日有効で、事業者によっては土曜休日は利用できない場合もある。さらに土曜休日回数券(該当日と年末年始の指定日に終日利用できる。事業者によってはお盆に土曜休日ダイヤで運転される日を含む)といった、普通券・時差回数券より割引率の高い回数券もある。また、青森県の弘南鉄道や東京都のゆりかもめ(いずれも普通運賃の10倍で12枚綴り)、静岡県の伊豆急行や千葉県の東葉高速鉄道(日中・土休日券)(普通運賃の10倍で13枚綴り)などのように、割引率の高い事業者も存在する。また、青森県の青い森鉄道では、苫米地・北高岩両駅からJR八戸線本八戸駅まで、6枚綴りで3か月有効の『連絡ミニ回数券』を発売している。また鉄道事業者によっては切符型ではなく磁気カードやICカード形式の回数券を導入している。利用する時は直接自動改札機に投入・読み取りするか、自動券売機にて乗車券と引き替える。これらのカードは「回数カード」「回数券カード」などと呼ばれる。仙台市交通局など、鉄道事業者によっては回数券をこれらの形式に限定し、紙の回数券を発行していないところもある。また愛知県の名古屋市交通局、愛知高速交通(リニモ)、名古屋臨海高速鉄道(あおなみ線)や静岡県の遠州鉄道では開通時から、またはSFシステム導入時にカードのプレミアムを回数券の代替と位置づけて回数券の発行を停止したり、最初から発行していない場合もある。大阪市交通局では回数カードと呼ばれるプレミアム付きの減額式乗車カードを標準の回数券と位置づけており、利用区間を指定した回数券は北急連絡回数券を除いて発行していない。有効期間は、ほとんどの事業者が3か月間(または発売日の翌月から起算して3か月目の月末日、すなわち月初めに購入すれば4か月弱使用できる)だが、1990年代初めまでは関東を中心に1か月間や2か月間の事業者が多かった。新京成電鉄や江ノ島電鉄は2014年時点でも有効期間を2か月間としている。阪急電鉄と阪神電気鉄道は、金額が同一の回数券については相互で利用できる。この相互利用は阪急・阪神経営統合に伴うサービスとして打ち出された(2009年3月20日現在、2014年4月現在の該当区間は190円、270円、280円、320円、370円区間)。ただし、違う会社の自動改札機に直接投入はできず、自動券売機で引き換える必要がある。多くの事業者では、普通乗車券とは違って、回数券は利用区間が指定されており、その区間にある駅であればどの駅でも乗降車は可能であるが、下車駅がその区間に含まれない場合は、同じ運賃であってもその区間の末端駅から下車駅までの普通運賃を精算しなければならない。例えば、JR東海道本線の横浜駅から品川駅までを利用しようとして乗車券を購入したものの、恵比寿駅で降りる場合、普通乗車券で利用した場合横浜 - 品川間の普通運賃と横浜 - 恵比寿間の普通運賃の差額の100円を精算すればよいが、横浜 - 品川間の回数券で利用した場合、品川 - 恵比寿間の普通運賃160円を支払う必要がある。参考:横浜 - 品川間290円〈普通運賃〉+160円=450円、横浜 - 恵比寿間390円)。もっとも、JRの運賃制度上、分割購入のほうが安い区間も多々あり、そのような事例で回数券を利用すれば、実際に降りずとも分割した状態の運賃を適用することが可能である。例えば、このケースで下車駅が新宿駅の場合、品川駅 - 新宿駅間の運賃200円を精算することになるので、通常運賃550円のところ490円相当で乗車できる。ただし、東京地下鉄(東京メトロ)・都営地下鉄・東京急行電鉄や関西の私鉄・地下鉄などでは上記の利用区間指定式ではなく区間運賃額面式の回数券を発行している。この場合、購入した駅にかかわらずその社局線内のどの駅からでも利用可能で、乗車した駅から額面以上の駅まで乗車した場合には、乗車駅から下車駅までの運賃と額面との差額を精算することになる。ただし、有効線区は発行元の社局線のみで、普通乗車券の場合のように他線区から乗り入れた際の剰余分を精算額に含ませることや、連絡割引の適用を受けることはできない(例えば、東京地下鉄と都営地下鉄の70円の連絡割引が、回数券の場合には適用されない)。例えば、東京地下鉄の渋谷駅から新橋駅までを利用しようとして乗車券を購入したものの、西船橋駅まで乗り越した場合、普通乗車券で利用した場合でも、170円区間の回数券で利用した場合でも、渋谷 - 新橋間の普通運賃と渋谷 - 西船橋間の普通運賃の差額の110円を精算すればよい。なお、この方式を採用する事業者では、乗り越し額精算時に回数券を金券として使用できる場合がある(例:A駅で180円区間の乗車券で乗車→390円区間のB駅で降車時、差額210円を180円回数券+現金30円で支払うことができる)。長野電鉄のように、窓口では利用区間指定式・券売機では区間運賃額面式で発券しながら、精算時にはすべて利用区間指定式に準じた扱いを行う社局もある。例外として、泉北高速鉄道と南海電気鉄道との直通回数券の場合、南海線内の利用は中百舌鳥駅起点での運賃で判断されるため、「難波駅 - 中百舌鳥駅 - 泉北線内」の回数券で、「河内長野駅 - 中百舌鳥駅 - 泉北線内」での利用も可能である。事業者によっては、磁気券(回数券・定期券・磁気乗車カード・普通乗車券)を2枚(区間が連続していれば回数券+回数券、定期券+定期券なども可。他、事業者により一部条件あり)同時に自動改札機に投入することで、自動的に精算処理がなされる場合もある。首都圏ではパスネットを導入していた各自業者が対応していた。最近は磁気乗車カードの利用終了やIC乗車カードの普及で大きくは告知していないが、この制度は現在も利用可能である。なお、回数券を使用しない方が安価に済むなどの事情がある場合、回数券の利用を取り消して発駅からの運賃を別途支払うことを認める事業者もある。バス事業者の場合、先のJRグループ以外の鉄道事業者と同様に一定の区間を区切って発行する場合と、「金券式回数券」と称して同一運賃帯に有効な回数券を発行する場合がある。なお、バス事業者の場合においては区間を区切って発行する場合と、金券式の場合とで有効期限に差異がみられることがある。また、金券式の一部は利用できる金額が発売額を上回る場合があり、乗車時に1回の乗車で全額を使い切ることが道路運送法の「運賃の値引き」に該当するため、拒否される場合がある。これは事業者ごとに解釈が変わり、表紙などに「n枚以上の同時使用禁止」と明示される場合を含め、事前に確認が必要がある(例、1,100円区間を乗車するために、発売額1,000円利用可能額1,100円の回数券を購入して乗車すること、またn枚以上の同時使用禁止とあっても使える場合もある)。バス会社や地域で、独自の形態の割引が設定されている回数券も見受けられる(後述)が、利用期限が定められていたり、特定日・特定区間・特定対象者しか使用できないこともある。また、長野県のアルピコ交通(旧松本電鉄バス・諏訪バス・川中島バスの白馬地区の路線のみ。旧川中島バスの長野市内の路線については下記参照。)では、回数券は券面の10倍の発売額で13枚つづりの金券式回数券のみ発売している。東京圏において発行されていたバス共通カードは、個々の事業者が発行する金券式の回数券と同じように扱われていた。複数の事業者で共通利用できる回数券もあり、例としては2000年代以降はICカードを用いた回数券も普及している。PASMOは鉄道と共通して使え、「バス利用特典」によって、1か月のバス利用額に応じたプレミアを上乗せして、回数券の機能を踏襲している(相互利用できるSuicaも鉄道利用にはプレミアがつかないがバス利用の場合は同じ)。なお、ICOCAは「普通乗車券」扱いであり、バスと相互利用できてもプレミアはつかない。なお乗車カード導入により紙製の回数券の販売を終了している事業者も遠州鉄道・京阪宇治バス・福島交通・川中島バス等々存在している。旅客船、フェリー等においても、鉄道やバスと同様に回数券式の乗船券を発行している。多くは割引付きである。なお、フェリーにおいては、乗船券相当の券を「自動車航送券」と称することが多く、この際の回数券は「回数自動車航送券」と称する。日本の航空会社の場合、かつては回数券が一般に発行される割引率が高い切符として知られていた。また、鉄道事業者のものと異なり、記名式かつ切り離し無効であった(そのため金券ショップでは会員制とした上でレンタルする形で回数券がバラ売りされていた)。航空会社の回数券は、当初6回分を1冊とした回数券が全区間で発行されていたが、その後4回分で1冊とされた。後に、予約変更は不可ながら前日まで購入できる特定便割引や早期購入割引等、回数券以外にも割引率の高い各種運賃が普及したことに加え、表紙片を搭乗手続きの際に毎回見せる作業が航空券の全面電子化の流れに対応できないこともあって徐々に縮小され、2008年度上半期の運賃から日本航空(JAL)・全日本空輸(ANA)ともに4回回数券を廃止したことで、航空会社の回数券は全廃された。ただ、現在では両社ともに自社のクレジットカード会員に限定して、記名式、2券片、90日間有効、自社便への変更可という、回数券に類似した航空券を発売している。また、企業向けオンライン予約システムの契約先だけが利用できる同様の運賃も用意されている。
出典:wikipedia
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