中村 寛 （なかむら　ひろし、1965年 - ）は日本の現代音楽の作曲家。滋賀県出身。哲学を専攻するために日本大学へ進学したが、プライベートでは三善晃ほかに師事している。必ず作曲にはテクストが用いられ、思想と音楽の境界線を濃密な書法で抉るのが特徴。アリストテレス、アイスキュロス、キルケゴール、ヘルダーリン、ブレイク、ベンヤミンなどが選ばれている。初期の室内楽作品はFFの衝撃音の多用による表現主義的な作風であったが、最近は室内楽とオーケストラ作品共に、帯状に伸びるドローンの上で緻密な書法が展開されることが多い。この帯状ドローンは作風の成熟と共に、響きの様相は徐々に内的な感覚へ移り変わっている。第2期のブライアン・ファーニホウや近年の細川俊夫とも共通項があるが、両者と違ってカタルシスは感じられず悲劇的な終結を迎える事が多い。ほか、30作品ほど。

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