からすみ(唐墨、鰡子、鱲子)は、ボラなどの卵巣を塩漬けし、塩抜き後、天日干しで乾燥させたもの。名前の由来は形状が中国伝来の墨「唐墨」に似ていたため。日本ではボラを用いた長崎県産のものが有名だが、香川県ではサワラあるいはサバを用いる。日本以外でも台湾やイタリアのサルデーニャ島(ボッタルガを参照)、スペイン、エジプトでも作られる。原材料として、ヨーロッパではボラ以外の海産魚の卵巣も用いられ、台湾にはアブラソコムツを使うものもある。江戸時代より、肥前国のからすみは、越前国のウニ、三河国のコノワタとともに、日本の三大珍味と呼ばれている。塩辛くねっとりとしたチーズのような味わいは、高級な酒肴として珍重される。薄く切り分けて炙り、オードブルに供したり、すりおろして酢を混ぜてからすみ酢にしたりして使用する。「からすみ」の名は、一説には肥前国の名護屋城(現在の佐賀県唐津市)を訪れた豊臣秀吉が、これは何かと長崎代官・鍋島信正に尋ねたところ、洒落で「唐墨」と答えたことに由来するとも言われている。長崎県産の市販品(メーカー4社)の成分分析結果としては、水分21.8-24.7パーセント(長崎産ボラの未加工卵巣においては約50パーセント)、粗脂肪分30.8-35.2パーセント(同、約20パーセント)、粗たんぱく36.2-40.4パーセント(同、約28パーセント)、塩分4.2-4.9パーセント(同、0.6パーセント)となっている。粗脂肪のうちの50パーセントはワックスエステルが占めている。特有の風味は、原料のボラ卵巣を加工する行程中に進行するタンパク質の分解と遊離アミノ酸の生成によってもたらされると考えられている。からすみは古くからギリシャやエジプトで製造されていた。日本には、安土桃山時代に中国(明)から長崎に伝来したといわれている。からすみに関する歴史的な記録としては、豊臣秀吉が食したという上記のもののほか、江戸時代の慶安元年1648年10月19日夜に小諸城主青山宗俊が食した料理等記録の中に「からすみ」の文字がある。当日からすみは、足打(折敷)という木製の器に盛られて提供されている。中国からの伝来当時はサワラの卵を原料として製造されていたが、延宝三(1675)年に高野勇助が長崎県・野母崎付近の海域で豊富に漁獲されるボラの卵で製造することを案出した。台湾ではボラのからすみを「烏魚子」(北京語:ウーユーズー、台湾語:オーヒージー)という。台湾での食べ方は表面の薄い膜を剥ぎ取ってから、酒を表面に軽く塗り、弱火で裏表を一、二分ずつ繰り返しあぶり、表面が白くぶつぶつになるまでかりかりに焼き上げる。出来上がったら、薄くスライスして食べる。大根またはニンニクの芽と一緒に爪楊枝で刺して食べられることが多い。夜市の屋台でも焼いたからすみを売っている。また、アブラソコムツ(北京語:油魚 ヨウユー)を使った「油魚子」(北京語:ヨウユーズー、台湾語:イウヒージー)と呼ばれる食品が屏東県東港鎮で考案され、クロマグロ、サクラエビと合わせて「東港三宝」と称する特産品として販売されている。ボラのからすみよりも大きいため、塩漬けも乾燥も時間が余計にかかり、技巧を要する。乾燥は季節や大きさにより異なるが、2週間からひと月を要する。ボラは網で捕るため、時にストレスで魚卵に血が入り、色が黒く、臭みのあるものができるが、アブラソコムツは延縄漁で釣るため、血が入ることは少ないという違いがある。大きいことや製作に手間がかかることから、産地でも一腹数千円とボラのものよりも数倍高価である。イタリア語ではボッタルガ()という(英語ではボターゴ )。ボッタルガには必ずしもボラの卵巣だけを使用するのではなく、タラやマグロなど他の海産魚の卵巣を利用する製品もある。ほぐして、パスタにあえて食べる例が多い。東地中海沿岸ではメゼの一品として親しまれており、薄く切ってオリーブ油とレモン汁をかけ、パンと共に食べる。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。