『タイムボカンシリーズ イタダキマン』(英語表記:Itadakiman)は、『タイムボカンシリーズ』第7作目としてフジテレビ系列で1983年4月9日から同年9月24日まで毎週土曜19:30 - 20:00に全20回(ただし、野球中継のため本放送時第19話は未放映)が放映された、タツノコプロ、フジテレビ制作のテレビアニメ。『タイムボカンシリーズ』最後のモノラル放送作品でもある。各種設定は『西遊記』をモチーフにし、前作までの巨大ロボット路線から巨大変身するヒーローものになっている。本作ではタイムトラベルはしないが、シリーズの主たるテーマだった「モノ探し」の要素が復活。作風も前番組『逆転イッパツマン』にあったシリアスな要素が払拭され、シリーズ本来のコメディーとなり、原点回帰を目指した。その上で、「主人公が素性を隠して平素は三悪人と行動している」「イタダキマンの毎回の敵は妖怪であり、三悪人は妖怪の戦闘をサポートするセコンド的立場となった」「これまでメカに乗り込んで戦ってきたヒーロー自身が巨大化変身して戦う」など、新たなアイデアも導入している。企画段階では『オシャカマン』との番組タイトルだったが、「おしゃかになる」が「だめになる」という意味になり縁起が悪いために改題された。『イタダキマン』のタイトルの由来は「視聴率を戴く」という意気込みを込めたものである。それまでの『タイムボカンシリーズ』の放送開始時間は18時30分だったが、本作では1時間遅い19時30分に移動した。当時フジテレビのこの放送枠は1980年3月に『欽ちゃんのドンとやってみよう!』が終了して以降、どの番組も視聴率不振のため半年以内で打ち切られる鬼門枠だった。そこで、この放送枠のてこ入れのために『タイムボカンシリーズ』を移動させたものの、第20話で打ち切りという短命に終わり、『タイムボカンシリーズ』も本作で一旦終了することになった。本作は「フジテレビ制作作品」および「昭和のタイムボカンシリーズ」としての最終作となった。タイムボカンシリーズのテレビアニメ作品は2000年の『タイムボカン2000 怪盗きらめきマン』がテレビ東京にて制作・放送により再開しているが、2008年に放送されたリメイク版『ヤッターマン』においてタイムボカンシリーズがネタにされた時にも登場したのは本作までとなっている。オシャカ様はオシャカ学園のオチャカ校長を通して、三蔵法師一行の子孫の3人である三蔵法子、サーゴ・浄、猪尾ハツ男にオシャカパズル集めをするよう命じる。オシャカパズルにはお釈迦様が残した大切な宝のありかが秘められている。3人は旅に出てパズル集めを開始するが、オシャカ学園を目指す万年浪人のヤンヤン、ダサイネン、トンメンタンの三人は、パズルを集めれば宝が手に入る上にオシャカ学園入学の口実になると考え、法子たちの邪魔とパズルの横取りを始める。しかし、法子たちがどこかで襲われるとイタダキマンがやってきて悪玉トリオをやっつける。成績優秀な者しか入学できない高等部を持つ超名門学園。校長はお釈迦様そっくりなオチャカ校長。オチャカ校長より「オシャカパズル」収集を命ぜられた優等生たち。三人揃って「たてまえトリオ」。その名のとおり建前上は善の主人公格であるというだけで、ほとんど活躍せず戦闘も専らイタダキマン任せ。事態が収拾したらパズルだけ拾って帰るパターンが多い。校長のマスコットロボットである小猿「オモンキ」の空間移動機能を使って、パズルのあると思われる現地へ移動する。オシャカ学園高等部入学を目指して8年目の浪人生。学生証を偽造して学校に入り込んだところオシャカパズルの件を盗み聞きし、たてまえトリオより先回りしてパズルを奪おうとする。毎回行く先々に出現する妖怪によって危ない目に遭うのだが、たてまえトリオを倒すために逆に妖怪を懐柔してトリオを襲わせ、デンデンメカを使って戦いをサポートするというのが常套手段。また、本作での敗戦後のお約束は天罰。基本的に3人が落胆しているところでお仕置きらしきいろいろな罰を受ける事が多い。イタダキマンの持つ3機の大型メカ。腰につけたひょうたんから出現する。本作ではイタダキマン自身が巨大化して戦うことがほとんどであるため、大型メカが主たる戦闘兵器として戦った事はあまりなく、専ら移動用マシン的な扱いだった。全機に「45」のナンバリングが振ってあるが、これは孫悟空→ゴクウ→59→5×9=45の駄洒落。本放送当時、オープニング・エンディング・挿入歌2曲とBGM12曲収録のLPレコードがビクター音楽産業から発売された。タイトルは「タイムボカンシリーズ イタダキマン音楽集」、BGMは、神保正明 作曲・9曲、山本正之 作曲・3曲(曲数はレコード帯の全16曲という記載にそったもの)。BGMの未収録分は後に『逆転イッパツマン』のオリジナルサウンドトラックでカバーされている(ただし次回予告で使用されたメロオケなど、主題歌のアレンジ関連のBGMは未収録)。話を収録。フジテレビの意向で視聴者層を拡大しようとゴールデンタイムへの移動で期待された視聴率は、平均9.4%というものだった。『ヤットデタマン』以降低下していたとはいえ、それまで視聴率20%台をコンスタントに記録していた従前のシリーズに対して低い数字だった。視聴率次第で延長にも打ち切りにもなることを考慮して、第1話のオチャカ校長の言葉で楽屋オチのギャグにしているように、2クール26話でも4クール52話でも対応可能として企画されていたが、結局、9月末で打ち切りが決定した。クール的には2クールだが、予告していた26話を放送することはできなかった。最終回ではパズルのピースがいつの間にか膨張していて、残るはあと1個というように変更されるという強引な終わり方となったうえ、空作の母親探しの謎も明かされることはなかった。内容的にはチーフディレクターの笹川ひろしは面白いものになったと自負していたが、低視聴率になった原因は、時間帯の変更により定着していた視聴習慣が新しい時間帯にはなかったのではないかと述べている。また、半年間の放映期間で2クール26話でなく20話だったのは、本作の時間帯にプロ野球中継が入って間が空くことも多く、7回分を飛ばされたことによるもの。また、プロ野球中継が雨天で中止になった場合の放送に備えた回が余ることになり、本放送では第19話が未放映に終わっている。また、7月にはオールスターゲームが入ったために2週連続で放送が休止された。なお、かつてのタイムボカンシリーズ枠だった土曜18時30分に放送されていた『未来警察ウラシマン』も、オールスターゲームが行われた際には放送が休止されたが、『タイムボカンシリーズ』が放送されていた時期には休止されることがなかった。原点回帰、マンネリ打破を目指し、昆虫や動物をモチーフにしたメカを登場させ、前作の『逆転イッパツマン』がシリアス路線だったのに対して、シナリオはコメディ中心とし、かつ低年齢層向けの解り易いものとされた。一方で小原乃梨子キャラ以外の女性(法子や学園の女生徒など)が、更衣や入浴などで下着や乳房を大胆に見せるシーンも多々あった。メカも『ヤットデタマン』から続いていた直立ロボット路線から低年齢層向けの親しみのある生き物という原点回帰が行なわれている。しかし、シリーズ初期からの視聴者は年齢が上がっていることもあり、『オタスケマン』以降のストーリー路線に慣れた層からは見放されてしまう。また、本作の戦闘コンセプトが、二束三文トリオが妖怪を操って戦うという形態になったため、番組中で、視聴者から寄せられた「妖怪に頼らず、自分達の力で戦ってください」という手紙が紹介される事態になった。そのうえ、本作の脚本家にそれまでの『タイムボカンシリーズ』での執筆作がないか稀少な人物が増えたことも作風の変化に影響している。笹川自身も「前作のパワーに敵わなかった」と見ている。従来から『タイムボカンシリーズ』に深く関わっていた小山高生と山本正之が結果的に降板となったことで、2人は本作の終了後しばらく公の場で本作に関して否定的な態度を繰り返し示していた。特に山本はイタダキマン終了直後に発表した楽曲『アニメがなんだ』の歌詞の中等にも不満を書いていたため、現在も恨んでいると誤解される要因となっている。音楽担当と声優として、タイムボカンシリーズを支えてきた山本は、既に『うる星やつら』などのヒット作のプロデューサーを担当した実績があったフジテレビ側のプロデューサー・岡正によってマンネリを理由に主題歌の歌唱での起用から外された。また作詞・作曲を担当したエンディング『どびびぃーんセレナーデ』は山本によく似た声質の歌手であるきたむらけんが歌唱している。当時きたむらは音楽活動を休止していたが、製作側の意向により起用された(「山本が激怒してきたむらに歌わせた」という説があるが完全な誤りである)。岡はタイムボカンシリーズには前作の『逆転イッパツマン』から関わっているが、本作では前作まで企画にクレジットされていた九里一平などのタツノコプロのスタッフが企画から外されて、岡のみがクレジットされるようになった。主人公空作役の田中真弓は後にラジオ番組で、「私が『タイムボカンシリーズ』を終わらせてしまった」と悔恨の思いを語った。また、前作までシリーズ構成を務めて文芸面の責任を負っていた小山も、マンネリという理由でシリーズ構成を外され、脚本のみの参加という要請を受けていたが、その脚本も1本(第7話)書いた時点で自らの宗教的な理由により降板した。「オチャカ校長にお釈迦様の霊が乗り移った」という設定に小山が「不謹慎だ」と反発したもので、これまでのようにシリーズ構成の役職のままだったら降板できなかっただろうと、結果的にシリーズ構成を外されたことをよしとしている。一方、後に削除した小山の公式サイトの本作に関する文章では、マンネリではなく山本と小山が岡と軋轢を起こしてシリーズ構成を外されたこと、山本と小山が本作の打ち切りに対して喝采をあげたことが記されていた。タツノコプロは本作の打ち切り後も2年間フジテレビでのアニメを数本制作したが、ほぼすべてが視聴率低迷のため打ち切られており、1985年の『炎のアルペンローゼ』から2011年放送の『C』までの約25年半もの間、フジテレビではタツノコプロのアニメが一切放送されないという時期が続いた。さらに、シリーズのメインスポンサーだったタカトクトイスも、本作が不振で打ち切られたところにやはり同時期にスポンサーだった『超時空世紀オーガス』や『銀河疾風サスライガー』の不振が追い討ちをかけ、本作打ち切りから8か月後の1984年5月に倒産することとなった。
出典:wikipedia
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