『破れ奉行』(やぶれぶぎょう)は、1977年4月5日から12月27日まで、毎週火曜午後9時からテレビ朝日系列で放送された全39話のテレビ時代劇。舞台は江戸時代、正徳期。老中・稲葉越中守(藤井貢)の要請で深川奉行に就任した速水右近(萬屋錦之介)の活躍を描く、いわゆる勧善懲悪もの。第1話や最終盤など主要なエピソードを含む全39話中11話の脚本を池田一朗が執筆しており、企画自体に池田がどこまで関わったかは定かではないが、作品全般の設定や筋立ては、後に小説家・隆慶一郎として一大センセーションを巻き起こした池田の作風が強くうかがわれるものとなっている。また、奉行の立場にある人物が自身で悪党をいわば暗殺して一網打尽にするという要素や、萬屋錦之介主演、池田一朗の脚本執筆など、日本テレビ系列で1975年に放映された『長崎犯科帳』とは少なからぬ共通項がある。老中稲葉越中守によって江戸に呼び戻された速水右近は、その稲葉を通じて“将軍”から葵の御紋付きの将軍家拝領の刀を下賜されることを条件に、深川奉行に就任する。この拝領刀は「江戸の掃き溜め」と右近が形容する程の暗黒街と化した深川で、法の網を潜り抜ける猛悪を「拝領刀を汚す者」、すなわち将軍家の権威を汚す者として許さず斬り捨てて断罪する強力な権限とその使命が将軍から直々に与えられたことを暗示している。毎回冒頭、深川で抜け荷、殺人、謀略などの事件が起き、深川奉行速水右近の指揮の元で捜査が始まるが、程なく諸悪の根源が幕府要職者であったり将軍家と親密な関係を持っていたりと、深川奉行の権限では手出しができない立場の人物であることが判明する。さらには幕府筋からの政治的圧力も加えられ、血気にはやる奉行所の面々を抑えながら密かに捜査を進めてゆくが、時に悪事がさらに進められて新たな犠牲者が発生してしまうこともある。犯罪の確証が固まると右近は老中稲葉の元に相談に出向く。しかし、老中たる稲葉の立場としても表立って処罰を加えることはできない立場の人物が相手であることから、右近に表立って断罪を指示することもできない。そのため老中稲葉と右近は互いに肚の内を隠して悪態をつきつつ、やがて稲葉が「わしは知らん」「この件は忘れろ」など断罪を許可する間接的な示唆を与えるまでの掛け合いの場面が1つの見所となっている。また、この場面で右近の側が「近頃○○様は心臓の発作がひどく、いつ頓死するか分からぬ状態とか」などと悪人が近々“急死”することを示唆する発言をする場合がある。いずれにせよ、このやり取りが済んだ後、右近は頭巾と下がパンタロンっぽい袴、長上着、拝領刀を身に着け銛を片手に鯨船に乗りこみ、単身で諸悪の根源である人物の屋敷に夜襲を仕掛け(第10話、第23話では鯨舟で屋敷に突っ込んでいった)、その一味を一網打尽に成敗する。悪人一味の前で頭巾の口元の部分をとって右近の正体を明かし、拝領刀の葵の御紋を「頭が高い!」と悪人にかざしてから「天に代わって破れ奉行、てめえらぁ斬る!」と叫び(最初の一太刀をまず襲ってきた悪人の部下に浴びせてからが多い、また、第1話は決め台詞の最初だけ「上様に代わって破れ奉行・速水右近」と言っていた。)、そこから大立ち回りが繰り広げて悪党を一網打尽に斬って捨て、全ての悪を切り捨てると懐から和紙を取り出し、拝領刀に付いた血を拭いてから巻き散らすように捨てつつ刀をしまうが定型である。上述のように右近が諸悪の根源である人物の急死を事前に老中稲葉に示唆していた場合、チャンバラシーンの後に「○○は心臓発作による頓死と発表された」など、表向きには別の形でその死が処理された旨を示すナレーションが入ることもある。シリーズ終盤になると右近自身や深川奉行所、時に老中稲葉も悪人からの標的にされるなど、戦いは苛烈さを増してゆく。また、最終話近くでは、深川界隈で幕府重職やその家来がわずか1年の間に100人以上も謎の不審死を遂げているという事態を知った堅物の新任目付がやって来て、深川奉行の右近を職務怠慢で解任しようとしたり、「鯨船に乗ってやってくる正体不明の大量殺人鬼(つまり破れ奉行=速水右近)」を追って一波乱起こすという、勧善懲悪のチャンバラ時代劇シリーズのお約束が往々に抱える矛盾点を衝いたストーリーも作られている。最終回(第39話)の最後には、老中の稲葉越中守より速水右近へ、深川奉行所は江戸町奉行所の管轄となり廃止となる事が伝えられ、御上により速水右近は、上方の堺奉行所への異動が命ぜられた(左遷ではなく出世)。上方の堺へは、おとよは同行し、おきたも遅れて堺へ行くこととなる。また、皆川久蔵、多門伝九郎は奉行所を、兵六、権助は岡引を辞め、速水右近と共に上方へ同行するが、堺の奉行所での「空き」が3人分あることを確認してからの行動であり、速水右近はそれまでは全く知らなかった。基本的に史実との関連性は希薄であるが、実際の歴史に着想を得たと思われる事項が登場している。
出典:wikipedia
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