水陸両用モビルスーツ(すいりくりょうようモビルスーツ、 AMPHIBIOUS MOBILE SUIT)は、アニメ『機動戦士ガンダム』をはじめとする『ガンダムシリーズ』に登場する、架空の兵器の分類の一つ、モビルスーツ (MS) のうち、水中・陸上共に運用可能なものを指す。『機動戦士ガンダム』等の宇宙世紀において、ジオン公国軍は一年戦争における地球侵攻作戦の途上、広大な水域も支配する必要性を認識。主力兵器であるMSを水域に投入するためにザクIIを改良したMS-06M 水中用ザクが開発された。ある程度の成果を得たものの、期待されたほどの性能は発揮できなかったため、設計段階から水域での運用に特化したMSの開発を決定。新たに水陸両用MSという分類型式が設けられ、水中用ザクには水陸両用MSを示すMSM-01の型式番号が与えられ、以後開発された機体はこの番号に続いた。水陸両用MSの多くは、宇宙空間や陸上での利用を想定した一般的なMSとは異なった、怪物めいた外見を持つ。水圧に耐え、水中航行時の抵抗を低減するために全身が丸みを帯び、頭部と胴部が一体化した機種が多い。上腕部や大腿部はしばしば「フレキシブル・ベロウズ・リム」と呼ばれるジャバラ状の伸縮可能な構造になっている。推進抵抗の観点からビームライフルなどの武器の携行がはばかられるため、腕部や胴部に魚雷やミサイルの発射管やメガ粒子砲などを内蔵する形式をとっている。水陸両用MSは外部より取り込んだ水を冷却に利用可能であることから、より高出力のジェネレーターの搭載が可能になり、特にゴッグはこれを利用してジオン初のビーム兵器搭載MSとなっている。携行武器を使用しないことから、人間の手同様のマニピュレーターの代わりに鋭い爪を備えた機種も多い。これは主任務の船舶の破壊や格闘戦の際の打突・斬撃武器として用いられるほか、水中では姿勢制御を目的としたフィンの代わりに用いられる場合がある。動力出力の優位と、内蔵武装の多さ、耐圧強度の確保の必要から機体は大型化してハイスペックになる傾向があり、本来得手ではない陸上戦闘においても、特にパワーと装甲において一般MSに対して優勢に立つケースもまま見られた。一方、ゾックのようにMSの範疇を逸脱して機体が肥大化する弊害を招くこともあった。これらの水陸両用MSは、マッドアングラー級潜水母艦、ユーコン級潜水艦といった艦艇を母艦として運用され、各地での船舶襲撃による補給の寸断や上陸作戦において大きな戦果をあげた。また、モビルアーマー (MA) に関しても水中用の機体、グラブロが少数実戦投入されている。また、特殊な機体としてホバリングによる水上走行を行うドム・マーメイドが存在する。なお、「アッグシリーズ」とも呼ばれるアッグ、アッグガイ、ジュアッグ、ゾゴックは水陸両用MSをベースに開発されたため、水陸両用MSに分類されることが多い。しかし、ジャブロー攻略に特化して開発されたため、必ずしも水中での運用を前提としておらず、厳密にはこのカテゴリーには属さない。ジオン公国の水陸両用MSはかなりの数の機種が開発されたが、ほとんどの機体が一年戦争中に失われた模様で、後年に地球連邦軍による鹵獲機や、ジオン残党軍による運用事例はきわめて少ない。一年戦争終結後はMS自体の能力向上により汎用型MSでもある程度水中行動が可能になったほか、サブフライトシステムの普及でMSの作戦活動が空中主体になったうえ、宇宙艦艇を大気圏内の空中で運用できるようになったことで水上・水中艦艇の存在意義自体が失われ、連邦軍海軍部隊そのものが劇中にほとんど登場しなくなったこともあり、地球上で水域および沿岸域を巡る大規模軍事行動が行われる蓋然性も低下した。それゆえに水陸両用MSの存在意義も失われ、連邦軍においてジオンのように設計段階から水域用として設計された機種は、ペーパープランまで含めても確認されていない。グリプス戦役時にはエゥーゴは水陸両用の可変MSメタス・マリナーを開発したが、戦局の変化により設計段階で中止された。第一次ネオ・ジオン抗争時にネオ・ジオンがカプールを開発したものの少数の運用に留まり、地球連邦軍もネオ・ジオンも海洋作戦では一年戦争時の汎用機や陸戦機のマイナーチェンジであるアクア・ジム、ザク・マリンタイプ、ザク・マリナーを約20年間も使い続けた。ラプラス紛争時に「袖付き」が運用したゼー・ズールも、汎用MSであるギラ・ズールのバリエーションに過ぎない(ただ、同時期には破格の水陸両用MAシャンブロが実戦投入され、連邦首都ダカールに壊滅的被害を与える戦果を挙げている)。ザンスカール戦争におけるガルグイユを最後に、水陸両用MSは確認されていない。ガイアの光事件におけるグッピーは水中専用MSであり、MS最大の特色である汎用性を欠くという点ではむしろMAに近い。ガンダムファイトは基本的に陸上で行われるため、水陸両用MSの出番は少ない。ただし、自国に水場がある国の一部は有利な環境で戦うために水陸両用機を開発・使用している。地下基地が存在しないこと、物語当初から飛行MSが登場しており航空戦力が充実していること、地球上で軍同士の大規模な戦いが少ないことなどから水陸両用機の優先度は低く、開発はほとんど進まなかった。なお、OZ-08MMS キャンサーは水中専用である。旧連邦軍が開発した水陸両用MSが登場する。シーバルチャーによって、海中に沈んだ旧連邦軍・宇宙革命軍双方のMSなどの機器を回収するために用いられ、シーバルチャーの戦力でもあった。イングレッサ領にて、宇宙世紀に使われていたカプールに酷似している「カプル」が大量に発掘されている。当初は陸戦に使われていたが、後に水中戦が得意であることが発覚する。コズミック・イラ作品において、『機動戦士ガンダムSEED』では、ザフト軍はグーン、ゾノなど水中用MSを開発している。コズミック・イラにおけるビームは水中で拡散してしまう特性があり、ビーム兵器に代わり音波兵器であるフォノンメーザー砲を装備している。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』におけるC.E.73年においても水中用MSは海戦戦力として運用されており、アッシュが開発されている。『ガンダムSEED MSV』において、地球連合軍はフォビドゥンに採用されたエネルギー偏向装甲「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」を耐圧用途に転用したフォビドゥンブルーを開発し、量産化している。これらの先端技術の採用により、地球連合軍の水中用MSの潜水深度及び潜水可能時間はザフト軍の水中用MSを凌駕している。本作の水中における機動兵器は大型水中専用MAを主戦力としており、上陸作戦においてもホバークラフト装備型などの潜水能力を有さない機体で行われるため、水陸両用機の開発はほとんど行われていなかったとみられる。例外は連邦軍(アロウズ)が開発したスペルビア ジンクスであるが、将校やライセンサー専用の機体であるため、少数生産に留まっている。『機動戦士ガンダムAGE』においては、ヴェイガンが本格的な地球への侵攻を目的として、水陸両用MSのウロッゾを開発している。『ガンダム Gのレコンギスタ』では、作中の一勢力であるビーナス・グロゥブが、海洋スペースコロニー群「オーシャン・リング」での作業用MSとして水陸両用型のズゴッキーを開発している。
出典:wikipedia
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