仮釈放(かりしゃくほう)とは、収容期間満了前において仮に釈放されること。刑法28条に「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。」と定められている。ここにいう行政官庁とは、法務省所管の地方更生保護委員会であり、本人の資質、生活歴、矯正施設内における生活状況、将来の生活計画、帰住後の環境等を総合的に考慮するとともに、悔悟の情、再犯のおそれ、更生の意欲、社会の感情の4つの事由を総合的に判断し、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに(「仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則」の31条、32条を参照)、仮釈放を決定する権限が与えられている。実際に仮釈放が許される時期については、有期刑は最近ではほとんどの場合、執行刑期の3分の2以上、無期刑は2003年以降、すべての許可例において刑確定後20年以上が経過してからである。仮釈放の手続きの流れは、以下のようなものである。仮釈放はあくまで「仮」であり、刑法29条1項の各号に該当する場合には、仮釈放は取り消される。犯罪を犯して罰金刑以上の刑罰が課せられた場合や、保護観察中に遵守すべき遵守事項に違反した場合には、地方更生保護委員会の仮釈放取消決定により、仮釈放が許された全ての期間を、刑事施設で過ごさなくてはならない。また、刑の執行が停止されたわけではなく、社会の中で保護観察を受けて遵守事項を守りながら生活することを条件に、残りの刑期を過ごすことが許されたという状態であるため、例えば無期刑に処せられた者が仮釈放を許された場合には、死亡するか、あるいは恩赦(保護観察所長が上申権者となる「刑の執行の免除」)がなければ、一生保護観察下に置かれ、住居、旅行等、日常生活にも制限を受けることになる。ただし、少年のとき無期刑の判決を受けた者については、残刑期間主義ではなく考試期間主義が採られているため、仮釈放が取り消されることなく10年が経過すれば、刑は終了したものとされる(少年法59条)。仮釈放は、受刑者のうち、一定の要件を満たした者について、早期に社会生活の機会を与え、更生や社会復帰を円滑に進めさせるための制度である。仮釈放期間中の保護観察も、そのために行われる。一方で、刑事施設における過剰収容の緩和という機能があることも否めない。刑事施設における過剰収容は、刑務官の定員や、刑事施設の物理的な収容定員には限界があることから、刑事施設内での処遇の質の低下や、受刑者による暴動を招来しかねない。また、犯罪者処遇を刑事施設内で行う場合と比べると、保護観察という社会内処遇は圧倒的に安価であるということも、仮釈放制度のメリットといえる。ただ、仮釈放中の保護観察は、刑事施設内の処遇と比較すると、物理的・人的に再犯を防止する機能に乏しい、というデメリットがある。仮釈放中の保護観察を忌避し、所在をくらませて再犯に至る者がいることも事実である。2005年、愛知県安城市のショッピングセンターにおいて、仮釈放中に所在をくらませた者が幼児殺人事件を起こしたことが契機となり、対策が講じられた。仮釈放中に所在をくらまし、保護観察を受けていない者については、2005年12月以降、保護観察所自身が、裁判所から令状の発付を受け、警察と連携して所在調査を実施することとなった。
出典:wikipedia
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