ビデオ判定(ビデオはんてい、)とは、スポーツ競技において審判員の肉眼での判定が難しいときや、審判員の判定に異議があるときに、撮影・録画されたビデオ映像(動画)を活用して判定を行う方式である。NFLでは、インスタント・リプレイというビデオ判定制度が導入されている。1986年から1991年まで一度導入されたが乱発による試合遅延をまねき一旦廃止され、システムを練り直して1999年に再導入された。チームのヘッドコーチが判定に対して異議がある場合、1試合に最大3度までタイムアウトの権利を賭けて審判にビデオ映像による判定の再確認を要求する「チャレンジ」を行うことができる。チャレンジで異議が認められた場合には、問題の判定を覆した状態で試合が再開され、認められなかった場合にはタイムアウトを1つ消費した事になる。これには判定の透明性確保と共にショー的要素も含んでおり、観客が見守るなか、主審によってチャレンジによるインスタントリプレイの結果が発表される瞬間はNFLの試合において特に盛り上がる場面の1つである。また、試合のシチュエーションによっては、主審によるインスタント・リプレイでの判定の確認、「オフィシャル・レビュー」が行われる。大相撲では、1969年五月場所より導入されている。前場所の大鵬 - 戸田戦が誤審として物議をかもしたのを受けてのもの。この一番は、大鵬の46連勝がかかった重要な一番であり、しかも行司は大鵬に軍配を上げながら、物言いにより行司差し違えになっての結果であった。さらに、物言いが長時間に及んだ時点で、NHKからの「ビデオで再生するか」との申し出があったにもかかわらず相撲協会が拒否しての結果であっただけに、非常に反響が大きく、ビデオ導入への道を開く結果となった。審判長の場内説明も同時に始まった。テニスでは、イギリスのホーク・アイ・イノベーションズが開発を手がけた「ホークアイ」(鷹の目)と呼ばれるシステムが導入されている。このシステムはミサイル誘導技術を応用したもので、コート周囲に10台のカメラを設置し、ボールがどのような軌跡を描いたか瞬時に映像解析を行う。国際テニス連盟は、ライン付近の微妙な判定に同システムを導入することを2005年10月に承認。2006年3月22日からのナスダック100オープンで、テニス史上初のビデオ判定が行われた(Jamea Jacksonが初の権利行使者となった)。2006年8月28日 - 9月10日の全米オープンで、4大大会では初めてビデオ判定が導入された。設置されたのはセンターコートなど2会場。2007年以降は全豪オープン、ウィンブルドン選手権でも導入、日本では2008年の東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントにおいて初使用されるなど、広がりをみせている。ただし、クレーコート(赤土のコート)で開催される大会は打った球は痕が残るため、選手の異議があればアンパイアがコートまで確認に走り判定をしに行く。(全仏オープンやマスターズ1000のような規模の大きい大会でも同様)選手はライン際のイン、アウトの微妙な判定に対し、1セットにつき3回失敗するまでビデオ判定を要求(チャレンジ)する権利を持つ(逆に言えばチャレンジを成功させ続ける限り何度でも要求可能)。ビデオ判定の際には、CG加工された映像が場内の大型スクリーンに映され、観客やテレビ視聴者にもシステムが行った判定の結果が分かるようになっており、ショー的要素も含んでいる。同システムの導入は、プロテニス界にとって1971年のタイブレーク導入以来のルール上の革命とも言われ、単に判定の正確性という観点のみならず、チャレンジ要求のタイミング・巧拙が試合の流れを大きく左右することも少なくない。ルール改正をめぐっては、トップ選手であるロジャー・フェデラーやレイトン・ヒューイットが反対の意向を示すなどして話題となった。ラグビーでは、2008年度シーズンのジャパンラグビートップリーグのプレーオフ、マイクロソフトカップで導入。また海外では、ラグビーワールドカップやスーパーラグビーなどの公式大会においてテレビマッチオフィシャル(TMO)というシステムが導入されているが、映像を確認するのは主審ではなく特設室の別人であり、最終的な判断は主審が行うなど、アメリカンフットボールのアシスタント・リビューに近いシステムとなっている。ボクシングでは、WBCが2008年より世界戦で導入したが、その前年の2007年12月15日にメキシコ・カンクンで行われた世界フェザー級タイトルマッチで試験導入された。試合後でも誤審や違反行為等が発覚した、あるいはその可能性がある場合は、検証としてビデオ判定に持ち込まれることもある。判定の結果、試合終了時に下した判定が不適当であったと判定されれば、無効試合が適用されるが、試合終了時に下した判定とは逆の判定に覆ることもある。ビデオ判定を本格的に採用した2008年8月11日に行われたWBCF世界アトム級タイトルマッチウィンユー・パラドーンジムvs小関桃において、小関の2RKO勝利が宣告されたが、ウィンユーのダウンがバッティングによるのではないかとウィンユーサイドからの抗議があり、初めてビデオ判定に持ち込まれた。しかし、あまりにも判断が難しいため暫定的に小関の勝利としてWBC本部へビデオを送付した上で最終的な判断の結果、バッティングが認められるもののヒッティングもしており、バッティング(のみ)によるダウンであるという確証が得られないため、小関の勝利を正式決定した。柔道では、シドニーオリンピック男子100kg超級決勝での篠原信一とダビド・ドゥイエ戦での「誤審」騒ぎを契機にビデオ判定の導入が検討されることになり、2006年の世界ジュニアで試験導入されたのを受けて、2007年より本格的な運用が始まった。審判委員会による監督の下、CARE(Computer Aided Replay)システムと呼ばれる3台のビデオカメラで3方向から撮影する方式で、主に投げ技の評価が微妙な場合の確認などでビデオ判定の検証が行われる。日本国内の試合においてはジュリーが審判員の下した技の評価の高低(例えば、技ありを一本とするなど)を訂正することはない。しかし、IJF主催の大会では、明文化された条項がないにもかかわらず、ジュリーが状況に応じて訂正を行っていた。2014年からの新ルールでは、「ジュリーが審判員の判定に介入して判断を変更させるのは例外的な事情の時だけ」と記されたものの、例外的な事情がいかなる事情であるのか、具体的な説明はなされていない。その後に公表されたより詳細なルール規定によれば、審判委員が実際の動きとその後のCAREシステムでの確認によって疑いなく判定の訂正が妥当だと判断して副審もそれに同意した場合、もしくは返し技においてどちら側に技の効果が認められるか微妙な場合に限って審判員に通知するとしている。ショートトラックスピードスケートでは、オリンピックの場合、2002年のソルトレイクシティオリンピック男子1500m決勝で、韓国の金東聖が失格し、アメリカのアポロ・アントン・オーノが繰り上げ金メダルになった出来事や、寺尾悟が男子1000mで失格になった出来事がきっかけで、トリノオリンピック以降は同様の出来事が起こった場合に取り入れられるようになった。レスリングにおいては、2009年から「チャレンジ」と呼ばれるルールが導入された。セコンドがスポンジをマットに投げて要求し、マットチェアマンに認められたら会場の大型映像装置に映し出すというもの。なお、判定が覆らなかった場合は「チャレンジ失敗」と呼ばれ1ポイントを失い、チャレンジ失敗は1試合に付き2回まで。2012年のロンドン五輪後に試験導入が決定。FIVBの国際大会では、男子の2013年バレーボール・ワールドリーグ、女子の2013年バレーボール・ワールドグランプリにおける一部の試合にて、「チャレンジシステム」という名称で「試験導入」された。三大大会では2014年の世界バレーより「正式導入」された。当初は、それぞれの監督から、両手の指で画面の4角を表す横長の長方形を作る等のジェスチャーによって、チャレンジ要求する形式だった。ビデオ映像を副審が確認し、その場で再ジャッジするというもの(場内の大型ビジョンに映し出される)。ボールのイン・アウトに関しては、実際の映像ではなく、CGで表現される。各チーム1セットあたり、2回失敗するまでチャレンジが可能。それとは別に、判定に迷った際に主審自身がビデオ判定を要求する『レフェリーチャレンジ』を実施することもある。2016年から一部変更(ビーチバレーも)。5月のリオ五輪世界最終予選では判定対象シーンの5秒以内に要求となったため、インプレー中の要求も必要・可能となった(ただしこの場合はチャレンジ失敗だと1点を失う)。なお、日本での大会では本格的には初めて、各チームベンチ前の据え置き型タブレット端末で要求する仕組み(選手交代とタイムアウトも同様)となった。タッチパネル上で計7つの請求項目が選べるという端末の利点も指摘されたが、操作の不便さの訴えも発生した。なお、主審と副審の手元にも同様のタブレットが設置され連動した。リオ五輪本番でも導入された。日本バレーボールリーグ機構主催の大会でも、2016年のV・サマーリーグでの試験導入後に、V・プレミアリーグの男女全試合とV・チャレンジマッチの一部試合での正式導入を予定している(「ボールのイン・アウト」と「ブロッカーのボールコンタクト」のみが対象で、要求は各チーム1試合に2回失敗するまで可能)。
出典:wikipedia
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