『機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル』(きどうせんしゼータガンダム・ホットスクランブル)は、1986年にバンダイから発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト。後に携帯電話用ゲームとして移植された。また、ゲーム『機動戦士ガンダム 戦士達の軌跡』のキャンペーンで、ファミコンミニ版として復刻され、抽選でプレゼントされた。本作はテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』を題材にしたアクションシューティングゲーム。ファミリーコンピュータ初の「ガンダムシリーズ」を題材としたゲームでもある。プレイヤーは主役機であるΖガンダムを操作して、ティターンズおよびアクシズの部隊と戦闘する。ゲームは大きく2つのシーンに構成されており、それぞれを繰り返す。一つは画面内を移動する敵モビルスーツに照準を合わせビームライフルで狙撃するコックピット視点のシューティングゲーム(現在でいうFPSに近い)で、もう一つは要塞面といわれる横スクロールのアクションシューティングで、迷路構造の通路内を移動して要塞コアの破壊を目指す内容となっている。メインのゲームデザインはゲームスタジオの遠藤雅伸。テレビCMでは本人が出演し、「ゲームデザイナーの第一人者」が制作者であることを売りとしており、制作者名を全面的に出した宣伝は当時としては珍しかった。サウンドプログラマーは大野木宣幸で、原作アニメの主題歌である「Ζ・刻を越えて」「水の星へ愛をこめて」「星空のBelieve」の3曲のアレンジを手掛けた。ゲームはまず、地上を舞台にしたシューティング面から始まり、サブフライトシステムに搭乗した量産型モビルスーツやアッシマー、サイコガンダムを始めとする地上用試作モビルスーツと交戦する。地上面である程度時間が経過するか、特定の試作モビルスーツの出現または撃破を行うと、Ζガンダムは単独で大気圏を離脱し、宇宙を舞台にしたシューティング面へ移行する。試作モビルスーツ出現の場合、必ずしも撃破しなくてもある程度逃げ続けているだけでも次の面へ進める。宇宙面のモビルスーツはティターンズやアクシズの量産型モビルスーツが主体であるが、ステージによりジ・Oやガブスレイといった、原作にも登場する様々な試作モビルスーツが出現する。これらの試作モビルスーツを出現または撃破することで、スペースコロニーやゼダンの門などの宇宙要塞、ドゴス・ギアなどの宇宙戦艦が出現(主に偶数ステージ)。要塞の場合はそのまま、戦艦の場合には交戦して複数回打撃を与え攻撃を沈黙させると、内部に突入して要塞面に移行する。要塞面は『テグザー』に類似したゲーム性を有する物で、このステージでのみ、プレイヤーにはっきり視認できる形でΖガンダムの全身像が登場する。プレイヤーはモビルスーツ形態またはウェイブライダー形態を使い分けつつ、戦艦や要塞の所属陣営ごとに異なる守備隊のモビルスーツを撃破しながら中枢部のコアを目指し、これを破壊することでステージクリアとなる。守備隊はジムIIやバーザムなどで、アクシズ陣営の要塞面ではキュベレイが大量に登場する。要塞面のキュベレイはファンネルのみ破壊でき、本体の撃破は不可能である。内部コアは、中心の赤い部分に攻撃を加えると、その破片が飛び散り、当たると大ダメージを負う。内部コアを破壊すればそのステージはクリアとなる。典型的なステージクリア型のゲーム構成である。エンディングは存在せず、Ζガンダムが撃破されてゲームオーバーとなった際、特定の面数をクリアしていると、スタッフロールが流れてゲームが終了する仕様である。本作は、Ζガンダムの単独での大気圏離脱やコアの破壊が最終目的などゲーム独自の概念、サイコガンダムやジ・Oなどの物語上極めて重要な敵機が雑魚キャラクターとして大量に出現、原作のキャラクターはファ・ユイリィとハロのみ、原作のストーリーラインの通りではないステージ進行など、原作アニメの内容から離れた描写が多々見られた。ゲームバランスも単調かつ大味なため、良くも悪くもテレビゲーム黎明期のキャラクターゲームの典型例であるとされ、コアなゲーマーや原作ファンからはクソゲーとして認知される場合が多かった。また、発売当時に遠藤雅伸を前面に押し出した宣伝を行ったために、『ゼビウス』や『ドルアーガの塔』を知る遠藤のファン層からは「遠藤作品らしからぬゲーム性の低さ」と否定的な評価をされる場合もあった。その一方で、遠藤を起用した積極的なCM展開や、当時の一般的なファミコンROMカセットの外箱よりも大きな外箱を採用して、小売店舗でも消費者の目に留まりやすい工夫を行うなどの販売サイドの努力、大味ながらも比較的低めに抑えられた難易度や、初心者でも取っつきやすいゲームデザインや面構成などが功を奏し、販売本数は40万本と1986年当時としてはまずまずの売り上げ本数を記録した。本作の製品版の市販に合わせて、「ファイナルバージョン」と呼ばれる特別バージョンのROMカセットが1000名限定でプレゼント配布されるキャンペーンも行われた。このバージョンは遠藤が最初にバンダイにゲーム化を立案した際に独力で作り上げ、ロケテストに臨んだ際のものであり、製品版とは下記のような違いが見られる。バンダイが用意したロケテストチームの構成員は多くが小学生であり、遠藤が用意したファイナルバージョン構成は難易度が高すぎて不評だったという。また、Ζガンダムそのものの露出を増やしたいバンダイサイドの意向などもあり、製品版はファイナルバージョンを大幅に簡素化した上で、遠藤自身が関わらない形で要塞面が追加される事となった。要塞面は先行して発売された8ビットパソコン(PC-8800シリーズ)用『Ζガンダム』と類似している。2016年4月のゲーム雑誌での報告では、スーパーポテト秋葉原店で128,000円で取り扱われているという。遠藤雅伸はインターネットサイト「2ちゃんねる」のキャップを有しており、 レトロゲーム板の住人としての活動を行う中で、製品版については『ゼビウス』や『ドルアーガの塔』に関連したスレッドで不甲斐ない出来だったことを詫びる主旨の発言を度々行っていた。製品版に対するファイナルバージョンの存在は古くから収集家の間では知られていたが、その詳細は2001年にレトロゲーム板に立てられた本作に関連するスレッド の中で初めて本人の口から語られることとなった。それによると、製品版を商品Ζ、ファイナルバージョンを作品Zと呼び表しており、本来自分が作り上げたかったガンダムゲームは飽くまでもファイナルバージョンであると述べている。ただし、遠藤が本来指向したゲームデザインが「プレゼントキャンペーン」という体裁ながらも、ほぼそのままの形で日の目を見る機会が与えられたことは極めて異例の措置であり、遠藤本人は製品版のある程度以上の成功と同時に、自身の本来のゲームデザインを世に出す機会をも与えてくれたバンダイには本当に感謝していると述べている。遠藤雅伸本人へのインタビュー
出典:wikipedia
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