『ムーンライトシンドローム』は、1997年にヒューマンから発売されたプレイステーション用ゲームソフト。ノベライズ版は扶桑社より刊行。著者は東野司。同社から発売された『トワイライトシンドローム』(1996年)の探索編/究明編の続編的作品であり、登場人物など一部設定は引き継がれているものの、『トワイライトシンドローム』が怪談系ホラーなのに対し、今作は本格的サイコホラーとなっている。偏執的な登場人物、繰り広げられる難解な内容の会話、加えて、ストーリーの核心部分の描写が意図的に避けられている節もあり、それらの要素がストーリーの解釈を困難なものにしている。所々に選択肢は存在するが、それによってストーリーが分岐する事はなく、あくまで一つのストーリーラインに沿って物語は展開する。また、『トワイライトシンドローム』での主人公は、高校生・長谷川ユカリであったが、今作では、彼女の後輩である岸井ミカが主人公となっている。裏設定として、ゾロアスター教の神話が下地として使われている。設定資料によれば、白髪の少年は契約の神ミトラである。余談であるが、エピソード「浮誘 FUYOU」の最後に子供達がプレイしているゲームは同社のクロックタワー2である。他にも「開扉 KAIBYO」でミカとアリサが乗った霜北行きの電車内に広告が貼ってあるのが窺える。都市開発の波に押され、近代化を進めていく一方で、昔ながらの姿を失っていく雛代町。岸井ミカが通う雛代高校もまた、新たに就任した校長の手腕によって進学校と化し、老朽化の進んだ木造の旧校舎に代わって近代的な校舎が増築され、何もかもが変貌を遂げていた。ミカは、急激な変化と呼応するかのように、町に不穏な気配が漂い始めたのを感じていた。身近な例が、ここ最近、彼女の周囲に付きまとうようになったストーカーの存在である。それまでに起きたような心霊現象とは異なる、町に住む人間そのものを蝕もうとする狂気の気配が、ミカに忍び寄りつつあった。本作は前作に当たる『トワイライトシンドローム』にてディレクターを担当した須田剛一が企画した作品であり、須田の制作スタンスとして「初期衝動があり、それに対する反動というのが、僕にとってのゲームを作る上での意味づけなんですよ。『スーパーファイヤープロレスリング3』(1993年)があったからこそ『スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL』(1994年)があって、『スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL』の流れが『トワイライトシンドローム』という形になって、『トワイライトシンドローム』があったから『ムーンライトシンドローム』になった」と語っている。 本作の登場人物に関して須田は「弱者という存在がいない、全員自立した人間関係を織りなしていく中で、各々が持つイデオロギーをぶつけ合ったときに、どういうストーリーができて、どういう感情の迸りがあるのかを見たかったというか、作りたかったんですね。『トワイライト』のキャラクターに『ムーンライト』オリジナルのキャラクターをぶつけたときに、どんな化学反応が起こるのかなと。自分でも楽しみながら書いていって、結果、ああなっちゃった」と語っている。また、本作で声優を起用した事に関して、「テキストを読ませるやり方も、違うようにしたくて。役者の方々がもともと持っている個性に、キャラクターを乗せたらどうなるのかなという。(中略)現場自体はしんどかったですね。ほとんどの声優さんに『さっぱり分からない』と言われて」と語っている。前作がオカルトホラーであった事に対し、本作がサイコホラーへと変化した事に関しては「やっぱり、人間の方が怖いですもん。(中略)壊れていく様と、意識が研ぎ澄まされていく様の怖さというのがあって。壊れていくことの怖さというのは、標的が無作為になっていって、敵意が明確じゃなくなるんですよね。対象はどれでもいいという、無秩序の怖さ。意識が研ぎ澄まされて、悟っていく過程の怖さは、揺るぎのなさの怖さっていうんですかね。太刀打ちできないという、そういうものです」と語っている。 本作から「スミオ」という名前のキャラクターが登場し、以後須田が手掛けたゲームで同名のキャラクターが登場する事に関しては、「(ザ・スミスから名付けたのかとの問いに対して)そうですね。(中略)自分の気持ちを一番込められる、また、そういうことを自分自身に宣言するキャラクターですよね。(初めから連続で使用する意図があったのかという問いに対して)考えてなかったですね。書いていく中で、勝手に指が動いていたというか」と語っている。
出典:wikipedia
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