サーマルリサイクル(Thermal Recycle、熱回収)とは、廃棄物を単に焼却処理せず、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用することである。容器包装リサイクル法で認められた油化・ガス化の他、焼却熱利用、廃棄物発電、セメントキルン原燃料化、廃棄物固形燃料などがある。一般に、リユース、マテリアル・ケミカルリサイクルが困難(技術的に困難、あるいは投入資源・コストに対し割に合わない)となった廃棄物に対して行われる。日本において、循環型社会形成推進基本法では、廃棄物・リサイクル対策の優先順位を、とし、経済財政諮問会議の「循環型経済社会に関する専門調査会」および産業構造審議会企画グループでは「サーマルリサイクルも有効なエネルギー回収手段としてマテリアルリサイクルと並んで位置づける」と提言している。廃棄物を再資源化して製品とするには、必ず分別が必要である。これは、単一な原材料に分けなければ、品質が劣化して再製品化できないためである。特に一般家庭から排出される一般廃棄物には、異物が混入することが多い。プラスチックというものは単一な原材料ではなく、PE・PS・PP・PVCといった原料単位で分別する必要があるため、プラスチックで分別したところでマテリアルリサイクルないしケミカルリサイクルすることはできない。また、商品化されたプラスチック製品自体に2種以上のプラスチックが混ざっていたり、一見同じにしか見えないプラスチックを消費者が原材料単位で分別することは困難である。そのため、原則として、廃プラスチックはリサイクルされることなく埋め立てられるか、サーマルリサイクルをするかの選択肢に限られる。過去、プラスチック類の1つであるPVCが猛毒のダイオキシンを発生させる原因とされ、埋め立てられることが主流であったが、ダイオキシンの毒性に対して疑問が呈されると共に、PVCの分別法、ダイオキシンを発生させない燃焼法の確立によりサーマルリサイクルへの移行が進んでいる。なお、ペットボトルや、ペットボトルのキャップなどを、分別回収すると、ケミカルリサイクルが可能である。ただし、運搬のために多大な石油を消費するため、リサイクルで生じる石油よりも、リサイクルのために消費される石油の方が、上回ってしまう。プラスチックは埋め立てられてきた経緯から不燃物と考えられがちだが、純石油製品であり、石油や石炭と同等の発熱量を有している。そのため、プラスチックをサーマルリサイクルすることで大量の熱エネルギーを回収できる。これにより、間接的に火力発電所で燃焼される原油の削減となる。地球温暖化の観点から二酸化炭素を排出するサーマルリサイクルより、埋め立てる方が環境に優しいという考えも存在するが、サーマルリサイクルにより削減した原油の二酸化炭素量とである程度は相殺できる。日本においては、さらなる熱効率の向上により、完全に相殺できるように求められている。また、プラスチックは地中で分解されないため、埋立地が際限なく必要となり循環型社会を形成できない問題がある。サーマルリサイクルはリサイクルの最終手段ではあるが、マテリアル・ケミカルリサイクルとの選択を考えるのに、ライフサイクルアセスメント (LCA)がある。忘れてはならないのが、リサイクルをするためには輸送・再資源化の工程でエネルギー投入が必要であり、二酸化炭素などの廃棄物も出ると言うことである。もしも、このような状況が発生するのであれば、サーマルリサイクルの方が適していると言える。例えば、新たに石油から1本のペットボトルを作るのに必要な資源を1とした場合にということである。サーマルリサイクルというのは和製英語であり、欧米ではサーマルリカバリー ("Thermal Recovery") と呼ぶ。このことから、サーマルリサイクルはリサイクルではなく、環境に悪いものとする考えも根強いが、全てのリサイクルが環境に優しいとは限らず、日本におけるリサイクル神話の現れである。リサイクルと称さない欧米の方が、サーマルリサイクルを早くから推進しており、広く行われている。また、そもそも捨てるものを燃料として再使用していることからリサイクルではないとは言い切れず、加えて先述のLCAの問題ある。よって、サーマルリサイクルが善か、もしくは悪かというのは・・・など様々な条件によって変わってくるため一概には言えない。例えば先のペットボトルの例で言うのであれば、ペットボトルをマテリアルリサイクルしようとすれば「砕いて、洗って、溶かして・・・」と言った工程がある。その際、このハイブリッドカー用バッテリーリサイクル工程(工程が西日本を縦断している。)のように適切な処理施設が遠ければ金と時間と資源の無駄遣いにもなりかねないのである。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。