『あゝ野麦峠』(ああのむぎとうげ)とは、山本茂実が1968年に発表したノンフィクション文学。副題は「ある製糸工女哀史」。初版は朝日新聞社刊。1972年に新版が刊行されている。戦前に岐阜県飛騨地方の農家の娘(多くは10代)たちが、野麦峠を越えて長野県の諏訪、岡谷の製糸工場へ働きに出た。吹雪の中を危険な峠雪道を越え、また劣悪な環境の元で命を削りながら、当時の富国強兵の国策において有力な貿易品であった生糸の生産を支えた女性工員たちの姿を伝えた。山本は10数年におよび飛騨・信州一円を取材し数百人の女工、工場関係者からの聞き取りを行ったという。映画では、飛騨からの出稼ぎ女工の悲惨な面を強調して描かれているが、原作では、工女の賃金にばらつきがあったことや、「我が家は貧乏だったので工女に行けなかった」、「実家の農家で働いていた方がきつかった」といった複雑な背景も描かれている。糸値に翻弄される製糸家の厳しい実情などにも言及し、詳細な聞き取り調査のもと、日本の貧しく苦しい時代を懸命に生き抜いた人々を、その時代背景と共に浮き彫りにするように描かれている点が、多くの読者に評価されている。片倉財閥などの製糸企業の朝鮮半島進出もあり、『長野県統計白書』では1919年に朝鮮人の女工32名が記録されている。
出典:wikipedia
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