田中 卓(たなか たかし、1923年(大正12年)12月12日 - )は、日本の歴史学者。皇學館大学名誉教授。皇學館大学学事顧問。皇學館大学元学長。有限会社青々企画代表。専門は日本古代史。文学博士(旧制・國學院大學)。大阪府出身。 東京帝国大学に入学して間もない1942年(昭和17年)、当時文学部国史学科の主任教授であった平泉澄が主宰する青々塾に入塾。また平泉が指導する学生団体、東大朱光会に入会し、1943年(昭和18年)、同会の幹事となった。1944年(昭和19年)9月に、学徒出陣し、海軍予備学生として、土浦海軍航空隊に入隊した。翌1945年(昭和20年)2月に、兵庫県神戸市垂水の海軍経理学校に配属され、日本史等を講義した。6月、海軍少尉(正八位)に任ぜられ、8月、終戦を迎えた。9月、東京帝国大学文学部国史学科を卒業した。戦後、平泉が構築した「平泉史学」の正統の継承者として、日本古代史(古代・上古史)を中心に研究。その著述は多数に亙る。ただ、1949年(昭和24年)8月に発表された処女論文「新撰姓氏録撰述の次第」は、歴史論文でありながら京都大学発行の『国語国文』という国文学系の雑誌に掲載された。これは、国文学の大家である京都大学教授澤瀉久孝が、田中の学問を評価したためである。また、唯物史観全盛期であったため、論文を発表する専門誌が得られず、新しい学術雑誌の創刊に関与したり、神社関係の叢書等で論文を発表した。それ故、優れた論考が多数あるにもかかわらず、そのほとんどが歴史学界において無名の雑誌に掲載されていたがため、それを入手・閲覧するには困難な状況であった。それに応えるべく、田中の還暦を期として彼の著作集が刊行された。なお、田中は、大阪社会事業短期大学在職中の1954年(昭和29年)1月に、井上薫・岸俊男・直木孝次郎と共に続日本紀研究会を結成したが、直木とは意見に食い違いが生じることが多く、論争の末に同会を脱会したと言われているが、それは全く誤解であり、現在も同会の会員である。田中は、専門の古代史研究のほかに、政治問題や教育問題等を扱った啓蒙的な著述も数多くある。一水会の顧問である鈴木邦男は、学生時代に右派学生運動をする際、理論武装のために田中の著作を読んだと自らの著作に記している(鈴木邦男『愛国者は信用できるか』講談社現代新書、2006)。また、『右翼事典』(堀幸雄編 三嶺書店、1991)によると、戦後の体制をヤルタ会談・ポツダム宣言に基づく占領支配体制と位置づけ、「YP体制」と名付けたのは田中であるとしている。戦前の「紀元節」であった2月11日を「建国記念日」とすることに賛成の立場から、田中は、1958年(昭和33年)4月に、住吉大社宮司高松忠清の協力を得て、平泉澄ら25名の執筆による『神武天皇紀元論』を刊行。当時、「2月11日」について反対の意を表明していた三笠宮崇仁親王に進呈した。当時、「2月11日」については賛否両論に分かれ、東京大学の歴史学関係者が「建国記念日二月十一日反対の要望書」を建国記念日審議会に提出するほどであった。1966年11月には、建国記念日審議会の場で、竹内理三と、東京大学史学会総会で史学会理事の井上光貞と、「2月11日」についての議論をおこなった。教育問題では、日本教師会を結成し自ら会長となり、日本教職員組合中心の教育界に一石を投じた。また、1967年(昭和42年)11月、『最新日本史』出版をしているが、これは、昭和41年度高等学校日本史教科書検定において不合格となった教科書である。なお、教科書の検定問題について、前年の1966年4月、当時教科書検定訴訟を起こしていた東京教育大学教授家永三郎と、日本テレビの番組「未来への行進」にて討論をした。「家永のように、教科書検定の合否を裁判所に持ち込み、裁判官の判決によって学問の可否が決するのは学問の冒涜であり、学者として失格である」と批判している。また、高等学校教科書検定について、著者の学問的良心に基づく歴史観と、教科書は採用する側である教師と、読者たる高校生による真摯な検討の自由こそ尊重すべきで、特定の政策目標のための枠を当てはめてはならないとして、反対の立場をとっている。2004年(平成16年)から2006年(平成18年)にかけて、オピニオン雑誌「諸君!」誌上で「祖国再建-正統史学を貫く一学徒六十年の闘い」と題して、自らの研究を一般の読者向けに回顧・解説する連載をした。また、皇室典範改正問題では、女性天皇・女系天皇容認の立場を取り、自論を『諸君!』等で展開した。この連載は、田中の83歳の誕生日である2006年12月12日に、彼の評論集の3巻・4巻として出版された。 また、田中の女系天皇容認論に対して新田均(皇學館大学教授)が『諸君!』誌上にて反対論文を掲載し、これに対して田中が更に反論を加える事態に発展している。皇學館大学内でさえ女系天皇問題で意見対立が存在することを示した。2012年には、女性宮家創設について、小林よしのりが編集する『わしズム』にその正当性を主張する論文を発表した。
出典:wikipedia
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