ホンダ・ジャイロ (GYRO) は、本田技研工業が製造販売している3輪(前輪1輪、後輪1軸2輪)スクーターのシリーズ名。排気量は49ccで日本では原動機付自転車に該当する。車名はGreat, Yours, Recreational, Originalの頭文字を取ったもので、「多目的に使える独特の乗り物」という意味合いが含まれ、また羅針盤のジャイロにもかけている。共通した特徴として車体中央付近に回転軸を持ち、前輪や運転席を含む車体のほとんどを左右にスイングすることができる。この機構によって、オートバイで行なうバンクと同様に旋回の際に内側へ重心を移動することができる点が、オート三輪と異なる。スイング機構や車輪を固定し、スタンド代わりとするパーキングロックを採用。傾斜地においても車体の水平を保ったまま駐車することが可能である。スイング状態からの復元力が一般的なオートバイのバンクとは若干異なり、独特な乗り味がある。エンジンなどの重量物を含む後輪側が重心移動に関与しないため、オートバイに比して旋回時に大きく傾けているのは必然性があっての事である。車体重量、積載重量と排気量(馬力)の比率から他のスクーターに比べ動力系の負担が大きい。また、エンジンが後輪軸付近に配置され路面の影響を受けやすく、低い位置で濡れやすいこともあり、構造的に故障が発生しやすい。積載力、利便性から主に業務用で使用されるが、多少の雪道でも走行可能であるので降雪地帯での需要は高い。特に新聞、牛乳・乳酸飲料などの配達業務では、積載時の安定性と降雪積雪時の安全性から、強い人気がある。ジャイロXの初期型の後輪軸は、LSD(ノンスリップと呼称)を備えていたが、その機構は、片輪をクラッチにより常に半接続にしておくという簡易的なものだった。ジャイロUP・ジャイロキャノピーでは後輪軸にデファレンシャルギアを搭載し、旋回性を向上させている。排ガス規制の強化に伴い、ホンダのオートバイは競技用を除く国内一般販売車種の全てが4ストロークエンジンに移行していき、ジャイロシリーズは唯一の例外として2ストロークエンジンを搭載していた。将来的に環境規制により2ストロークエンジンの使用が困難になることから、ホンダがジャイロでの使用に耐えうる4ストロークエンジンを開発できるか注目されていたが、2008年3月のモデルチェンジで水冷4ストローク4バルブエンジンが搭載された。環境負荷の軽減と共に燃費も向上している。また、ジャイロXは、同社のスーパーカブには及ばないものの、1982年の発売以来30年以上にわたってフルモデルチェンジされておらず、エンジンを除き、外観や基本構造に大きな変化がない製品のひとつである。いずれも本田技研工業による発表・発売。参考のため、同社の3輪スクーターについても併記。参考のため、同社の3輪スクーターについても併記。現在のジャイロシリーズの原型となる3輪スクーター。前後輪の接続にナイトハルト機構を採用。3輪ながらオートバイ・スクーターの操縦性を兼ね備えた「スリーター」と呼ばれるジャンルを開拓した。見た目は(当時としては)都会的で斬新なデザイン。車名の由来は「新しい乗りものの流れ、方向性をつくり出すもの」。生産終了。現行の標準型。ストリームに比べ、不整地や積雪路での踏破性を重視、車体前後に広いデッキを採用し、積載量についてもより実用的な仕様となった。発売当時はオフロードでの走行に特化して開発され、レジャーバイクのカテゴリーに分類された車種であったが、後に積載量の多さと頑丈さからビジネス向けの需要が高まったため販売方針が転換され、後発のジャイロUPを含めて酒屋や米屋などの配達用途を中心に用いられることになった。1982年10月の発売以来、1983年10月、1989年12月、2008年3月のモデルチェンジを経ての現行機種。2008年3月のモデルチェンジでは、後述のジャイロキャノピーと同じく、エンジンが水冷4ストローク単気筒・4バルブSOHCエンジンに変更、リアタイヤが6インチから8インチへ大型化、アルミホイール、チューブレスタイヤの採用などの変更が施された。タイプカラーはシャスタホワイト、ファイティングレッドの2色。「スタンダード」「ベーシック」の2グレードが存在する。価格の高い「スタンダード」には前面シールド(風防)、リアキャリアが装備される点が主な違いである。積載量は、フロントキャリアに5kg、リアキャリア(装備車のみ)に10kg、インナーボックス(オプション)に1.5kgまで、また総合計で16.5kgまでとされている。強制空冷2サイクル単気筒排気量49ccのスリーター。「取りまわしやパーキングが楽な軽量・コンパクト」をコンセプトに女性向けとして開発された。片輪駆動の採用や、キックモーターを廃してセルスターターのみとするなど、機能を簡略化して軽量化をすすめた。その結果、乾燥重量はわずか46kgである。一方、フロントバスケットやリア・キャリアなど生活面での使いやすい機能を標準装備として、利用層の拡大を図った。その後生産終了。ストリーム以来、スリーターの乗り味を支持する個人ユーザー向けに、スリーターの市場拡大を図るために「JOY」とともに開発された。基本的なシステムは「JOY」からの流用だが、2速オートマチックやボトムリンク式フロントサスなど「JOY」よりも上位の装備を採用し、主に男性ユーザーを対象に発売。重量は「JOY」と多くのコンポーネンツを共用していたため、同様に軽量であり、57kgであった。スリーターとしては低価格であったが、外装などをその当時の同社の主力車種である「タクトフルマーク」から露骨に流用したため、違いを見いだせずに販売面では苦戦した。その後生産終了。日本国外では「GYRO S」の名称で販売されていた。ジャイロXが配達用途に需要が高まったことをうけ、荷台を大型化しジャイロXよりパワーアップしたエンジンを搭載して、配達業務用に設計された機種。なお、この機種も「タクトフルマーク」の意匠の名残が見られる。荷台は45cm×57cmと非常に大きく、積荷を傷つけないようゴムマットが標準装備されている。荷台部分はスイングする前部から分離しており、重量物を積載した際、停車時に左右のバランスを保つ必要がないこと、旋回時も水平を保つため荷崩れしにくいことから、酒屋の定番となっている。ただ、荷台部分が後輪側に固定されているため、路面の起伏で車体が振動した場合に積み荷が影響を受けやすいなど一長一短ある。1991年6月、1993年5月のモデルチェンジを経たが、他のジャイロシリーズが2008年3月のモデルチェンジで4ストロークエンジンに改められたのに対し、ジャイロUPは4ストローク化の対象から外され生産終了。積載量は、後部の荷台に30kg、フロントバスケット(オプション)に3kg、インナーラック(オプション)に1.5kgがそれぞれの最大で、総合計で30キログラムまでの積載が可能となっている。1993年4月、2008年3月のモデルチェンジを経ての現行機種。前期型と呼ばれる1993年のモデルチェンジ以前の機種は内装が水色、それ以後の環境対応された後期型と呼ばれる機種は黒となっている。2008年3月のモデルチェンジではエンジンが水冷4ストローク単気筒・4バルブSOHCエンジンに変更されたほか、リアタイヤが6インチから8インチへ大型化、またアルミホイール、チューブレスタイヤが採用されるなどの改良が施されている。国内で生産・販売されているオートバイでは唯一、屋根を標準装備している(過去には同社の屋根付き2輪車としてキャビーナがあったが2000年に生産終了した)。屋根だけでなく、フロントスクリーンにはワイパーおよびウインドーウォッシャーを標準装備するなど、天候を選べない配達業務向けに開発された。ジャイロX・ジャイロUPにも社外品で屋根を取り付けることができるが、オリジナルでは前照灯が1灯に対し、ジャイロキャノピーは2灯になっている。2008年3月のモデルチェンジまでは後部積載装置の形状としてデッキタイプ(平台)とワゴンタイプ(箱型の荷室)の2車種が発売されていたが、デッキタイプに用途に合わせた社外品のボックス等を後付けされることが多かったため、現在はデッキタイプのみとなった。これらのボックスについては、ジャパンモーターサービス、ティーズ、松田技術研究所、マジカルレーシングなどが製造している。ワゴンタイプ標準のものよりおおむね大型で機能的であり、中には保冷機能が付いているものも存在する。また、そのような専用品でなくとも、ホームセンターなどで市販されているような収納ボックスを取り付ける人も多い(ボックスとデッキに穴を開け、ネジ止めして取り付ける)。3輪車で屋根付きの概念はCKデザインによるもので、1980年代初頭にはストリームでテスト試作車を製作し性能確認を済ませている。1980年代後半にはジャイロXをベースにしたピザ宅配用モデルへと成長する。2輪車のキャビーナはその数年後に出現した。飲食店の出前をはじめ、軽自動車よりも小回りが効き、出先での駐車にも便利なため、警備会社や機器保守会社等の巡回車両として新たな需要を開拓、郵便局やヤマト運輸の配達用として、また、交番に配備され警邏用に使われる例もある。近年の生産台数が公表されていないため参考値になるが、ジャイロキャノピーは2015年3月の時点で24万台以上生産されている。積載量は、リアデッキ(デッキタイプの場合)、もしくはリアトランク(ワゴンタイプの場合)に30kg、インナーバスケット(オプション)に1.5kgがそれぞれの最大で、総合計で30kgまでの積載が可能となっている。オートバイらしからぬ独特の風体と、車体の一部を小改造することにより、ミニカーとして登録することも可能となっているため、外観的なカスタムを楽しむなど、一部愛好家の間に根強い人気がある。ミニカーとして登録した車両を走行させる場合は普通自動車を運転できる免許、すなわち、普通・中型・大型のいずれかの免許が必要で、原付・二輪・大型特殊の各免許では運転できない。また、個人の趣味範囲に留まらず近年は業務用途においても、合法的に30km/h超で走れ、二段階右折の必要もないように、ミニカー登録を行うケースも見られるようになってきた。アフラックのCMで登場したジャイロキャノピーはミニカー登録されているため、搭乗するアフラック社員の筒井信博はヘルメットを着用していない。一般視聴者に誤解を受けることのないよう、このことは同社ウェブサイトにても説明されている。長時間走行時の快適性(エンジンの振動がシートにダイレクトに響かない、シートがゆったりして寄りかかった姿勢で運転可能、雨風を防げるなど)、燃費の良さ (四輪車に比しての)、経済性(駐車料金が掛からない)、卓越した積載性(テントを含むキャンピング用品一式を運べる)からゆったりした旅を楽しみたいリタイア世代の長距離ツーリング用としての需要もある。
出典:wikipedia
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