ブッフバルト・ハートウィッグ反応(ブッフバルト・ハートウィッグはんのう、)は芳香族ハロゲン化物とアミンをパラジウム触媒と塩基存在下で結合させる化学反応、およびそれから派生した化学反応である。芳香族ハロゲン化物(Ar-X)の脱離基Xは、ハロゲンでなくトリフラートであっても反応は進行する。パラジウムなどの金属Mとトリフェニルホスフィンなどの配位子Lを触媒として、1級アミンもしくは2級アミンが芳香環に付加する。他にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などが触媒として用いられる。塩基にはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドや"tert"-ブトキシドなどが用いられる。反応の概念は右田・小杉・スティルカップリングやヘック反応に似ている。同様の反応を銅で触媒するものとして、ゴルトベルク反応が存在する。この反応は右田・小杉らによりその原型が発見された。その後ブッフバルト (S. Buchwald) とハートウィッグ (J. Hartwig) により研究が進められ、スズ試薬が不要の反応条件が発見された。1983年に右田らはブロモベンゼン誘導体とトリブチルスズアミンとの反応を発見した。その後1994年にハートウィッグがブロモベンゼンとトリブチルスズアミンとの反応について、反応中間体のX線結晶構造解析を行った。同年、ブッフバルトが非常に似た反応を報告した 。1995年には改良版として、スズ-アミン化合物の代わりにアミンとリチウム(ビストリメチルシリル)アミドなどの強塩基を用いた反応が報告された。本反応の反応機構を下に示す。まず2価のパラジウム1が還元され、ホスフィンなどの配位子で安定化された活性な0価パラジウム2になる。2の配位子が脱離した3から触媒サイクルが開始される。3に芳香族ハロゲン化物である4が酸化的付加し、中間体である5及びその平衡生成物である二量体5bが生成する。次にアミン6の窒素原子が5に攻撃し、中間体7を生成する。次いで強塩基8がアミンのプロトンを引き抜き、9が生成する。最後に9からの還元的脱離により芳香族アミン10が、もしくはβ水素脱離によりアレン化合物11、イミン12が生成する。どの化合物が生成しても3 (Pd-L) が再生し、次の触媒サイクルに入る。この反応にNMPやDMACのような非プロトン性極性溶媒を用いるとβ脱離が促進されてしまうが、"m"-キシレンのような非極性溶媒を用いると"tert"-ブトキシドを溶解しないにもかかわらず、目的の反応が良好に進行するという報告がある。
出典:wikipedia
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