みずほ銀行内幸町本部ビル（みずほぎんこううちさいわいちょうほんぶビル）、旧称みずほ銀行本店ビル（みずほぎんこうほんてんビル）は、東京都千代田区内幸町一丁目1番5号に所在する超高層ビル。日比谷通りと国会通りが交差する北東角に位置する。みずほフィナンシャルグループ傘下で個人・中小企業・地方公共団体向け営業を受け持つみずほ銀行東京営業部が入居する。元々は旧第一勧業銀行の本店ビルとして建てられた。地上32階、地下4階、高さ140メートルで、隣接する日比谷公園を取り囲むビル群の中では最も大きく、また日本の銀行が単独で入居するビルとしても横浜銀行本店ビルに次ぐ規模である。高さでは他の超高層ビルに見劣りするものの、延床面積は135,000平方メートルと広く、世界的な銀行の本部としてはシティグループセンター（ニューヨーク）やHSBCタワー（ロンドン）のそれを凌ぐ。北から時計回りにNTTコミュニケーションズ本社（NTT日比谷ビル）、東京電力本店、日比谷ダイビル、フコク生命ビル、日比谷公会堂が隣接している。初代の日本勧業銀行（勧銀）本店は木構造2階、瓦葺で、1899年に建設された。当時の住所表記は「東京府東京市麹町区内幸町」。日本橋の設計で知られる妻木頼黄が設計を担当し、当時東京帝国大学大学院生で後に関西建築界の父と呼ばれる武田五一が監督にあたった。施工は大倉土木（現大成建設）。日清戦争後間もなく国家意識が高揚する中で、日本古来の建築手法である金属板の平葺きを採用しており、外見には和風の建造物となった。業容の拡大に伴って1926年に立て替えを行い、旧本店は京成電気軌道（現京成電鉄）に売却され、「谷津遊園楽天府」として阪東妻三郎プロダクションが使用した。その後千葉市に移管、千葉市役所庁舎を経て、現在は千葉トヨペット本社となっている。登録有形文化財である。2代目の勧銀本店は地上5階の鉄骨鉄筋コンクリート造り、清水組（現清水建設）の施工で1929年に竣工した。設計を手がけた渡辺節は、本店以前にも高松市・福岡市・秋田市などの勧銀支店を設計している。いずれもルネサンス建築様式を基調として、装飾帯、出入口の飾りアーチなどに共通の特質をもつ。目の前にある日比谷公会堂も1929年竣工である。勧銀本店の製図主任は村野藤吾で、一方の日比谷公会堂の設計は佐藤功一だが、両者は早稲田大学時代に師弟関係にあった。ルネサンス様式の勧銀本店に対して、日比谷公会堂はゴシック建築であり、両建築物が通りを挟んで因縁めいた対比をなしていた。勧銀は1971年に第一銀行と合併し、第一勧業銀行となった。当初の本店は旧第一銀行本店（現みずほ銀行丸之内支店）に置かれ、旧勧銀本店は「内幸町営業部」となっていた。1981年、千代田区内幸町の旧勧銀本店跡に、周辺の土地を買収した上で本店ビルを新築し移転した。現在のみずほ銀行内幸町本部ビルの登場である。1981年竣工で、設計は芦原義信率いる芦原建築設計研究所が行い、清水建設を中心とする共同企業体が施工した。共同企業体の他のメンバーには鹿島、安藤建設、佐藤工業、日産建設、間組がいる。1982年の第23回BCS賞受賞作品。日比谷公園を挟んで立地するフコク生命ビルも清水建設の作品である。都市景観を重視した芦原義信らしく、設計にはその配慮が見受けられる。まず、地上140メートルの巨大構造物でありながら、威圧的な印象を与えないよう、低層部分が末広がりの安定した形状になっている。これは1階営業室（ロビー）の大屋根をなしており、アルミルーバーによって内部には柔らかな間接光が差し込む。営業室中央にはイタリア彫刻の巨匠、ジャコモ・マンズーの少女像が据えられている。南側の国会通り沿いには170メートルに及ぶツバキとマテバシイの並木道があり、壁面を滝が流れ、内部の応接室から見ると南日に映えた落ち着いた風情を漂わせている。夜には照明が点灯する。四方の隅は花崗岩で縁取られている。第一勧銀はハートをロゴマークに採用し、「ハートの銀行」をキャッチコピーとしていたが、これに合わせて営業室の天井にはハートを象った装飾が施されている。また、1階エントランス前の時計台の上部にもハートがデザインされている。第一勧銀独自の業務に宝くじの受託があり、新本店の建設に合わせて「東京宝くじドリーム館」が敷地内に設置された。1997年、第一勧銀・野村證券が関与した総会屋事件が明るみに出て、東京地検特捜部に家宅捜索されるという不祥事の舞台となった。2000年、第一勧銀は富士銀行、日本興業銀行とともにみずほフィナンシャルグループを旗揚げ。2002年には各行のリテール部門を引き継いだみずほ銀行が発足し、第一勧銀本店は「みずほ銀行本店」となった。当初、第一勧銀本店はみずほコーポレート銀行の本店として利用される予定で、暫定的に(旧)みずほ銀行本店として利用すると発表していた(旧みずほ銀行は、富士銀本店を予定していた)。第一勧銀本店が利用された背景には、富士銀本店（後のみずほ銀行大手町本部ビル）が1966年竣工と古く、また地上16階建てと第一勧銀本店の半分以下の高さであり、新銀行の大量の人員が利用するオフィスとして合理的だったから、という単純な理由がある（2008年7月以降、大手町本部ビルにある拠点は順次移転した）。また、旧興銀本店ビル(みずほコーポレート銀行ビル、後に、現みずほ銀行の本店(および、旧コーポ本店と同じビルにあった旧みずほ銀行店舗の丸の内中央支店)が大手町タワー移転されてからは、みずほ銀行前本店ビルと呼称されていた)も、1970年代前半とやはり建築時期が古く、また、立地上、幅の狭いビルであったことから、本来は本店ビルとしては使用されない予定となっていたが、当初の予定を変更してコーポ本店とされた経緯がある(大手町タワーへの本店移行後、街区内のうち、2015年に竣工されたばかりの三井住友銀行本店東館を除くビル2棟、すなわち、東銀協ビルと銀行会館と併せた3棟による再開発のため、取り壊されることになった)。前述の「ハート」の各装飾は、みずほ銀行発足後も第一勧銀の名残として残されている。2004年、経営環境の悪化のため、本店ビルを信託設定し、外部の不動産信託中間法人に1,050億円で売却した。このため所有権は移転しているものの、定期借家契約を結んでおり、引き続き全敷地・フロアをみずほ銀行が使用している。2013年7月1日、みずほコーポレート銀行がみずほ銀行を吸収合併し、行名をみずほ銀行に変更。同行の本店は千代田区丸の内に所在するみずほコーポレート銀行本店を継承した。これに先立ち、2012年10月21日付で、本店の口座店並びに窓口名称が「東京営業部」と改称され、ビルの呼称も「みずほ銀行内幸町本部ビル」に変更された。2014年5月7日、大手町タワーに新本店およびFG本社が設置されることに伴い、FGの本部機能の一部を丸の内二丁目ビル（旧:三菱重工業東京本社ビル）およびみずほコーポレート銀行ビル（旧:日本興業銀行本店ビル）から当ビル内に移設された。

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