『どですかでん』は、1970年(昭和45年)10月31日公開の日本映画である。四騎の会・東宝製作、東宝配給。監督は黒澤明。カラー、スタンダード、126分。山本周五郎の小説『季節のない街』を原作とし、貧しくも精一杯生きる小市民の日常を明るいタッチで描いている。黒澤映画初のカラー作品で、黒澤が木下惠介・市川崑・小林正樹と結成した四騎の会の第1作である。第44回キネマ旬報ベスト・テン第3位。昭和45年度芸術祭優秀賞。とある郊外の街の貧しい地域。六ちゃんと呼ばれる少年は、学校にも行かず毎日近所の空き地に出かけては、他人には見えない電車を運転し、その電車の音を「どてすかでん」という擬音で表現している。当人は自分が運転手だと本気で信じ込んでいるようで、それを母親は、息子が精神に異常をきたしたと思い嘆くが、六ちゃんは母親の頭のほうがおかしいと考えている。内職職人の良太郎は、妻が浮気性なため子供をたくさん背負っているが、自分をほんとうの父ちゃんだと子供たちが思えばそれでよいと考えている。日雇い労働者の河口と増田は夫婦交換をして、翌日には何食わぬ顔をして元の家に戻っている。陰気な平さんの所にはある女が訪ねて来るが、この女と平さんとは過去に何かがあった様子。女は平さんの家事手伝いをするが、彼は終始無視していた。廃車に住む乞食の親子は邸宅を建てる夢想話をしているが、子供はしめ鯖にあたって急死する。穏やかな性格で顔面神経症の島さんには無愛想な妻がいるが、妻を愛しており、同僚に妻の文句を言われると激怒する。彫金師のたんばさんは人生の達人といえる人物で、日本刀を振り回す男を鎮めたり、家に押し入った泥棒に金を恵んだりする。アル中の京太は家事手伝いの姪を犯して妊娠させ、姪はショックで恋人の酒屋の店員を刺してしまう。ここに暮らす人たちは、変わった人ばかりである。六ちゃんはその中で電車を走らせ、日は暮れてゆく。『赤ひげ』以来、5年ぶりの黒澤明監督作品である。前作までの三船敏郎を主演とした重厚な作品と比べるとやや落ち着いた作品となっている。企画・製作した四騎の会は、1969年(昭和45年)に黒澤、木下惠介、市川崑、小林正樹の4人の監督による芸術家集団で、邦画低迷の時代に4人の力を合わせてこれを打開しようとの意図で結成された。しかし、本作の興行成績は明らかな失敗で、黒澤は以後『デルス・ウザーラ』を挟んで10年間にわたって、日本映画界の中心から遠ざかることになる。また、四騎の会もうまく機能せず、本作と小林の『化石』の2本を製作して自然消滅した。撮影は東京都江戸川区堀江町にある約1万坪のゴミ捨て場にオープンセットを組み、28日間という早さで撮影された。当時のシナリオには、黒澤自身の手による、画家のマルク・シャガール風の、死んだ乞食の子供が天に昇っていく絵コンテが描かれている。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。