食パン(しょくパン)とは、大きな長方形の箱型の型で焼いたパンのこと。似たようなものにがあるが、イギリスパンの焼く箱は上方が空いているのに対し、食パンは四方がふさがっている。そのため、イギリスパンは一面が丸みを帯びているのに対し、食パンは四角く凝縮されたものとなる。食パンとは、生地を発酵させ、大きな長方形の箱型の型に入れて焼いたパンのことである。薄く切ってトーストにして食べたり、サンドイッチに用いる。形により「山型食パン(ラウンドトップ)」、「角型食パン()」、「ワンローフ」などに分類される。18世紀ごろにイギリスで、カナダ産強力粉を原料として金型に入れて焼いた山型食パンの製造が開始された。「ティンブレッド(tin bread)」とも呼ばれる。イギリス系の植民地や食文化が世界に拡散するとともに、ブリキの箱(tin box)で焼くパンも全世界規模で広まった。かつて、やわらかく白いパンは豊かさの象徴だった。製パン工場で大量生産される廉価なローフブレッドによって、貧困層も従来より高品質な食事で命をつなぐことができるようになり、自家製パンの労働からも解放されたが、手間のかかる郷土料理やホームベイク文化の消失にも繋がっている。「食パン」という語は日本での造語である。「食パン」は日本における呼称で、フランス語では「pain de mie」(パン・ドゥ・ミー)と呼称されるタイプが広く嗜好され、日本でもこの名称で販売されている。英国の山形白パンやフランスのパン・ド・ミなどに起源を持つ日本の食パンであるが、日本人は日本人の食感で、材料比率・形・焼き加減などを変え、英仏の原型とはいささか異なった独特のものにして食べている。台湾では日本語教育が行われた歴史があり、日本語の影響を強く受けた台湾語では食パンとトーストを「ショッパン」(白話字:sio̍k-pháng)と呼称している。一般的には国語が使われるので吐司(Tǔ sī)と呼ばれている。焼いていないものは白吐司。原型になっている英・仏のパンと、日本流の「食パン」をひとまとめにしてしまうのは多少問題があるが、日本語の語彙体系で言えば双方が「食パン」に分類されてしまうので、あわせて説明する。日本の食パンは焼き型に蓋するため四角形だが、イギリスでは焼き型に蓋せず上部が盛り上がった山形である。近年、大都市部のパン職人はフランス、ドイツ流のサワードウ発酵パンを主流とし、伝統的なローフブレッドは田舎町のパン工房や観光地で探したほうが見つけやすい状況にある。フランスでは「pain de mie パン・ド・ミ(パン・ドゥ・ミ)」と呼ばれる。フランスはパンの種類が多様であるが、その多くが外側が濃い色にパリパリと固く焼きあげられたものである。フランス語で「mie ミー(ミ)」というのは、パンの内側の、やわらかい部分を特に指す語である。つまり「やわらかいところ(だけ)でできたパン」といった意味の表現である。フランスでは日本のものに比べてやや小振りなタイプが広く嗜好されている。とは言ってもフランスでは朝食ではクロワッサンなどが主流であるし、サンドイッチに使うパンはあくまでバゲット類が主流なので、全体の流通量に占めるパン・ド・ミの割合はかなり小さい。西洋で日本のように柔らかい食パンは焼かれないので、驚かれることが多いが、愛好する外国人もいる。明治初期に日本へイギリスの山型白パンが伝わり、主に外国人向けに製造され、神戸では米騒動を期に食パンが朝食用途に用いられた。戦後、サンドイッチを食する占領軍兵士の要望を受けて、角型食パンが8枚に切り分けて販売される。後年に食パンの食感が日本人の嗜好へ調整されるようになった。トーストでの供食に好まれる6枚、5枚、4枚など厚切りや、サンドイッチなど調理加工に好まれる10枚、12枚など薄切りが販売されるなど切り分け厚は多様である。消費は関西が特に多い。都道府県別の消費量で見ると、近畿の2府4県が上位10位内に入っており、廉価品より高級品、薄切り(6・8枚切)より厚切り(4・5枚切)の販売額が高い。「京都」と聞くと、「日本の伝統」といったイメージを思い描く日本人は多いかも知れないが、実は京都でも「朝食はパン」という人の割合は大きいのである。四辺が直線の食パンは「角型食パン」、一辺が丸く山のようになっている食パンは「山型食パン」などと呼ばれている。北海道では、四辺が直線の食パンを、「角型食パン」を略すかたちで「角食」(かくしょく)と呼び、一辺が丸い食パンを「山食(やましょく)」(「山型食パン」の略)と呼ぶ人も多い。欧州各国では水と塩だけで練られることが多いのに対して、日本の食パンは牛乳や脱脂粉乳、バター、マーガリン、ショートニングなど油脂類の添加されているものも多い。こうした日本の製品は菓子パンに分類される場合がある。どうして日本人は型に入れて焼いたやわらかいパンのことを「食パン」と呼ぶようになったのか? ということについては諸説ある。ひとつの説は、美術のデッサンの時に描いた線を消すのに用いるパンを「消しパン」と呼称し、それに対して食用のパンを「食パン」と呼称し始めたと、とするもので、また別の説では、明治初期に外国人が主食として用いていること(「主食用パン」であること)を示す言葉として使われるようになった、とするものなど、いくつもの説がある。日本の食パン基本配合の一例は次のとおり工程はおおまかに言うと、ミキシング(材料を混ぜること)→ 発酵 → 切り分け・丸め → ベンチタイム → 成形・型詰め → 焼成 → 型からの取り出し、といった順になる。製粉小麦粉類を焼成すると重量は約1.5倍に増加する。長い箱型の型を用いるが、その型は日本では「食パン型」と呼ばれている。日本の家庭で食パンを作ろうとしても、以前はなかなか困難であった。生地をコネたり発酵させるなどの工程の管理も大変であったが、長い金属型を入れて焼くことができるような大型のオーブンなども家庭では用意することが困難だった。だが近年、日本の家庭では家庭用パン焼き機(ホームベーカリー)も普及するようになってきており、そのほとんどが工程のコースを選べるようになっており、おおむね基本コースとして「食パン」コースを用意している。家庭用パン焼き機の内部には、テフロン加工などのこびりつかない金属型とヒーターがあり、生地をコネることや発酵も含めて工程のほとんどが自動的に行われるようになっている。食パンの重量は「1斤(きん)」「2斤」……と数える。尺貫法の斤から派生した「英斤」(120匁=450グラム)に由来し、製品重量の偏差を考慮して1斤当たりの重量は350 - 400グラムであるのが一般的で、製パン業界の公正競争規約では340g以上と定めている。切り分け前の棒状食パンは1本、2本と数え、切り分け後は1枚、2枚、または1切れ、2切れと数える。焼けた食パンの表面はきつね色や薄茶色であるが、サンドイッチなどに使う時は白い部分だけを用い茶色の部分あたりは切り落とすことがある(ことが多い)。切り落とした部分は「パンの耳」などと呼ばれている。英語では、硬い外皮を意味する「crust」と呼ばれるが、踵を意味する「heel」と呼ばれることもある。「パンの耳」は食感としては生でそのまま食べるのには向いていない。以前は捨てられることが多かったが、有効活用される努力も行われている。古くからある有効活用法は、動物園や農家などの動物・家畜の餌として提供する、という方法であった。パンをまとめて焼き、サンドイッチに加工したりする街のベーカリーにとっては「パンの耳」は一種の中途半端な余剰物にあたる。ただし栄養価としては普通のパンであり、大手の製パン工場では、街のベーカリーなどと比較しても比べものにならないほど大量の「パンの耳」が生まれるので、それをどう活用するのかは課題であった。努力・研究の結果、近年では別の商品に活用したり、発想の転換で新商品を生みだすのに成功する会社も増えた。家庭などではオーブンなどで軽く焼くとカリカリとした食感になりラスクとして(あるいはビスコッティの代用品として)コーヒーなどを飲みながら食べることができる。また、パンの耳を揚げて砂糖や蜂蜜で味つけをし、かりんとうに似た食感の菓子として供することもある。木炭およびそれに適した用紙を用いるデッサンの場合、描いた線を修正する時に消しゴムを使うと硬くて用紙を傷めるため、柔らかく油分の少ない食パンが広く用いられている。練り消しゴムが安価に広く流通している現在でも、木炭デッサンでは最適の道具として食パンが用いられることが多いのである。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。