大麻精神病(cannabis psychosis、たいませいしんびょう)とは、他の問題と明確に鑑別されない臨床観察から言われている仮説の障害で、明確に定義されておらず、大麻の使用を中止すると数日以内に治る状態である。診断基準では、世界保健機関の疾病分類 "ICD-10" では精神病の用語は用いられず、向精神薬誘発性の大麻による精神病性障害の診断が用意されており、短期的なものとされる。アメリカ精神医学会の "DSM-IV" の大麻誘発性精神病性障害は、明らかにまれに大量の大麻の使用後に通常は被害妄想が生じ、多くは1日以内におさまるとされる。様々に報告されているが、2012年のイギリス薬物政策委員会(UKDPC)の科学的な調査報告は、大麻使用により一時的な精神病症状を呈すことについては強い証拠があるが、大麻の使用が精神病のリスクを増加させているかについては議論があるとしている。アメリカ精神医学会は、「現在の証拠は、もっとも低く見積もっても、精神障害の発症と大麻利用の強い関係を支える。若者は特に、その神経学的発展に関して、大麻の作用が与える危害に弱い」と述べている。 経過も多様であり、大麻との因果関係を確定することは困難で、診断基準や分類も一定せず、大麻精神病という疾患単位 (clinical entity) は確立していない。背景として精神病という伝統的な分類は、不正確な診断をもたらしたため、"ICD-10" や "DSM-IV" のような診断基準によって厳密な区別がなされてきた。1997年の世界保健機関 (WHO) の報告書は、大麻精神病 (cannabis psychoses) の存在は、臨床観察から言われている仮説の障害であり、大麻の使用を中止すると数日以内に治るもので、明確に定義されておらず、大麻使用者に発生した他の精神病性の問題と統合失調症とが明確に鑑別されていないとしている。"ICD-10"(『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版)では、「神経症と精神病」の項にて、精神病 (psychosis) の用語が用いられず、妄想や幻覚のような症状を示す精神病性 (Psychotic) の用語で言及されていることに触れている。向精神薬誘発性精神病の項にて、そのような精神病状態は短期的なものであり、誤ってより深刻な統合失調症のような状態が診断されれば、悲惨な影響を与えると注意している。また、高用量の大麻を摂取するなどの知覚の歪みや幻覚の体験は、急性中毒の診断を考慮せよとしている。"ICD-10"には、精神障害の定義があるため、症状が機能不全を起こしていないものは精神障害ではない。WHOの依頼により2015年に作成された大麻に関する報告書は、大麻の使用によって一過性の統合失調症のような症状を呈することがあり、1903年にワーノックがこのような誘導を発見したと記している。『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版("DSM-IV")では、物質誘発性精神病性障害の項に由来となった物質名に続いて記す記載手順が示される。大量の大麻の使用後に通常は被害妄想が起きることがあるが、これは明らかにまれであり1日以内に寛解し、2-3日のこともあるとされ、大麻には離脱の診断名が設けられておらず、理由は高用量の使用で生じると言われてはいるが臨床的に著名ではないことである。精神病性症状が4週以上も続く場合には他の理由を考慮せよとしている。大麻の中毒による、現実検討が損なわれていない、光、音、幻視は中毒であり、精神病性障害ではない。"DSM-IV"には、重症度の診断基準があるため、著しい苦痛や機能の障害を起こしていない場合は除外される。DSM第3版-Rでは、大麻依存と乱用が治療を求めるのはまれだとしている。大麻には、成分としてテトラヒドロカンナビノール (THC) と (CBD)が含まれる。THCが多い大麻は特に危険であるとの知見が示されているため、CBDがTHC誘発性精神病を阻害するのではとの仮説を検証するために、健康な被験者でCBDか偽薬かを与えた後にTHCを投与した試験では、CBDが投与された場合に精神病症状が少なかった。団体による報告の形ではなく、個別の研究を取り扱う。2004年の文献のレビューでは、精神病症状に対する自己治療の仮説が唱えられてきたが、いくつかの前向き研究ではまた(他の薬物や既存の精神病の兆候などの)交絡因子に関係なく、大麻摂取量と精神病発症リスクは正の相関があったが、特異的ではなかった(特徴的ではない)ことが報告されている。1999年に全米疫学学会誌に掲載された1,300人を対象とした研究で「15年以上にわたって大麻のヘビーユーザーとライトユーザー、全く使わなかった人の間で有意な認知機能の低下はなかった」との報告。 スウェーデンでは徴兵検査を受けた18歳から20歳の青年を45,570人を15年間に渡って追跡調査を行った結果、大麻を1回以上使用したことのある者の統合失調症の相対的発症リスクは使用しなかった者と比較して2.4倍、50回使用した場合は6倍に上るとした。イギリスでの大麻精神病による入院は、大麻の法的規制がクラスCに格下げされた2004年から2009年の間には、その前後と比較して減少していたため、薬物の使用以外の要因が関与していたとの仮説を説明した高用量の大麻を長期にわたって手に入れやすい国では、顕著な精神病症状を示す患者が見られると述べる精神科医がいる。
出典:wikipedia
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