トレチノイン()は、ビタミンA誘導体の一種。レチノイン酸()のうち、二重結合がすべてトランス型をとった、オール・トランス異性体である。スイスのロシュ社が1960年代にビタミンAからスクリーニング・合成を行い、内用薬を開発している。その過程の臨床試験において、ラット実験で催奇性が確認されている。以下はトレチノインの説明ではなく、レチノイド(ビタミンAの誘導体の総称)の説明である。トレチノインは、以下の文章におけるatRA(オールトランスレチノイン酸)のことである。乾癬・角化症治療薬として「エトレチナート(商品名:チガソン)」と、かつて治療薬が不在であった急性前骨髄性白血病(APL)の第一治療薬として開発された「atRA(商品名ベサノイド("Vesanoid")」が代表例である。国内ではチガソンが1985年に、ベサノイドがオーファンドラッグ指定の上1995年に承認され、どちらも日本ロシュ(現:中外製薬)が輸入販売を行っている。第二選択薬として「タミバロテン(商品名:アムノレイク)」がオーファンドラッグ指定の上東光製薬によって開発され、2005年に日本新薬から発売されている。これらの製剤は催奇性をはじめとする警告があるため劇薬指定である。特に「チガソン」はレチノイド(ビタミンA)の脂溶性が強く、体内に長期間蓄積されることから、服用後から最低2年間は男女とも妊娠につながる性行為と、献血をしてはならない事となっている(→避妊)。処方に当たっては皮膚科医師からの説明の上、同意書を交わす。閉経前の女性に対しては、妊娠検査を行い、妊娠していないことを確認される事もある。そして薬剤師の問診・確認を済ませて初めて処方されることとなっている。
チガソンは催奇性というハイリスクな副作用から、1990年代に北米で発売が中止され、先進国では日本でしか使われていない。一方、atRAのベサノイド・アムノレイクは抗腫瘍薬としてたいへん高濃度のレチノイン酸で組成され、重篤な副作用として呼吸不全などのレチノイン酸症候群があるため、緊急時に十分処置できる医療施設及び化学療法に精通した医師の下で使用する事となっている。チガソンと比べて期間は短いものの、服用前後一定期間の妊娠・性交が禁じられている(日本における献血では現在、悪性腫瘍の既往歴がある者は出来ない事とされている)。以下はトレチノインの説明ではなく、レチノイド(ビタミンAの誘導体の総称)の説明である。日本に於いては類似化合物の「アダパレン(商品名:ディフェリン)」が2008年に承認されたのを除いて、レチノイド外用薬として厚生労働省への承認申請が行われていないため、未承認医薬品である。トレチノインはレチノールの約100倍の薬理作用を持つとされる。もともとニキビ治療薬として米国で処方されていたものであったが、強力な皮膚のターンオーバー促進作用があり、シワやシミを改善するクリームに配合されることもある。商品名はレチンA やスティーバA。軟膏・ジェル・クリームの形態で処方される。市販品の濃度は 0.01%~0.1% 程度であり、症状や体質に合わせて適切な濃度のものが処方される。濃度が高いほど、クリームが黄味がかった色になる。個人差はあるが、塗布後、数日以内に皮膚表面の角質の著しい剥離が始まる。これを繰り返すことで、皮膚が徐々に生まれ変わり、ニキビやシミ、シワが改善するとされる。但し、いきなり高濃度のものを塗布すると、体質によっては皮膚への刺激が強すぎ、かえってソバカス等のシミを増やすこともあるので注意が必要である。また、トレチノイン使用中は肌のバリア機能が低下するため、日中は高SPFのサンスクリーンの使用が必須である。東京大学医学部附属病院など、一部の大学病院や皮膚科・形成外科などで、院内調剤された軟膏の処方を受けることは可能である。比較的簡単に製剤することが可能なため、薬価自体はそれほど高くなく、タイやニュージーランド経由での個人輸入業者も多く存在する。
出典:wikipedia
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