『T・Pぼん』(タイムパトロールぼん)は、藤子・F・不二雄による日本のSF漫画作品、及びそれを原作としたテレビアニメ作品。1978年 - 1979年に第1部が『月刊少年ワールド』(潮出版社)にて、1980年 - 1983年の第2部と1984年 - 1986年の第3部が少年ワールドから誌名を変更した『月刊コミックトム』にて掲載された。第3部は連載ではなく不定期掲載となったが明確な完結や終了告知のないまま中断され、再開されることなく作者永眠のため未完となっている(担当編集者であった潮出版社の浮田信行によると、作者の病により連載を中断していたが、作者本人はいずれ連載を再開させる意思を持っていたほか、未収録作のみで間に合わせの単行本発売を打診した際も『最後の一話』執筆を理由に拒んでいた)。そのため『コミックトム』には掲載されたものの、単行本に一度も収録されたことのない2話分の作品が長らく存在したが(後述)、2012年3月23日に発売された「藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん第3巻」にて最後の2話も収録され、未収録作品はなくなった。1989年10月14日には日本テレビで90分のテレビスペシャルとしてアニメ化された。そのアニメ版のビデオ、フィルムコミックも発売されている。タイムボートを用いて太古から遙か未来まで、さまざまな時代を飛び回り、歴史の谷間で不幸に命を落とした人々を救助するタイムパトロール隊(T・P)の並平凡(なみひら ぼん)とリーム・ストリーム(第1部)、安川ユミ子(第2・3部)らの活躍を描いたSF作品である。歴史上の出来事に入り込むぼんたちの冒険にヒューマニズムあり、風刺あり、ギャグあり、お色気ありのバラエティに富んだ作品となっているが、これまでの小学館の学年別学習雑誌連載作品よりも読者の年齢層をやや高めに設定した作風となっている。処刑や事故など人の死を描いたシーンが多い。そのため藤子・F・不二雄作品としては異例ながら血しぶきが登場することも多いが、最終的にはハッピーエンドを迎えることが多く、全体的な作品のトーンは明るい。主人公たちの所属するタイムパトロールには過去の時代の人間に未来の技術が目撃されてはならないという厳格なルールがあり、救助行動はその時代の誰にも気取られないような秘密行動でなくてはならない。便利な未来道具もおおっぴらには使えないため、その使い方に様々なアイデアや工夫をこらす過程が毎話のストーリーラインの中心となる。万が一タイムトラベルの秘密が過去の人間に知られてしまった場合、さらに過去に行ってその人物の出生の契機を妨害し、存在そのものをなかったことにしてしまう措置をとる。ただし、その人間をタイムパトロールの隊員に招き入れることもある(ぼんやユミ子がそれにあたる)。助ける人間によっては未来の歴史に重大な変化が及ぼされることもあるため、歴史に影響しないと本部が判断したわずかな人物(もしくは動物)以外は、不幸な目に遭っていても救ってはならないと定めている。隊のこの非情な規律は、隊員であるぼんたちを葛藤させる要素として作中でもしばしば顔を出すことになる。「紙に消しゴムを何度もかけると破れる」という例えが用いられて説明されるように、時空間はデリケートで同じ時間区をタイムマシンで何度も行き来することは時空を破壊することにつながるという設定があり、タイムパトロール隊は同じ時代の同じ場所に何度も介入してはならないとされている。タイムトラベルものにありがちな「任務に失敗してももう一回やり直せばよい」という安心感は本作から排除されており、スリリングなストーリー展開を実現している。ある日、平凡な中学生・並平ぼん(なみひら ぼん)は、偶然からT・P(タイムパトロール)隊員の少女、リーム・ストリームと、彼女が連れた謎の生物・ブヨヨンと出会った。T・Pはぼんの生きる時代よりも未来に本部を置き、過去の歴史で不幸な死を遂げた者で生存させても歴史の流れに影響しない者の救助活動を行う組織である。T・Pの存在を明らかにすることは禁じられており、通常は隊の任務行動を目撃されても記憶消去装置・フォゲッターを使用することで被救助者を含む周囲の人々の記憶からT・Pに関する記憶のみを消去していた。万が一記憶を消せなかった場合には過去に遡って出生を妨害し、その人間の存在を根本から消し去ってしまうという冷酷な処置をしなければならない。リームのうっかりミスから記憶が消去されなかったぼんは、そのためT・Pに消されそうになってしまう。ところが彼は非常に間接的ながらも第三次世界大戦勃発の阻止に関係する存在であることが判明し、やむなくT・Pは秘密保持のためにぼんを隊員として入隊させることとなる。こうして見習い隊員となったぼんは、リームを指導隊員としてT・P隊員として任務をこなしてゆくことになる。様々な冒険を経た後、ぼんは正隊員に昇格することになり、リームとのコンビは解消となる。正隊員に昇格したぼんは、初仕事として通り魔事件で殺されることになる女子中学生・安川ユミ子を救う任務を与えられるが、フォゲッターの使用を忘れてユミ子にT・Pの存在を知られてしまう。このままではT・Pの鉄則によりユミ子を消さなくてはならないため、困り果てたぼんは本部にユミ子を助手としてT・Pに採用するよう頼むことになる。ぼんと見習い隊員となったユミ子(後に正隊員に昇格)は人々を救うべく活躍する。1989年10月14日に、日本テレビ系にて2時間の特別番組「藤子・F・不二雄アニメスペシャル SFアドベンチャー T・Pぼん」として放送された(放送時間は19:00 - 20:54)。原作の「消されてたまるか」「バカンスは恐竜に乗って」「ピラミッドの秘密」「通り魔殺人事件」「T・P隊員の犯罪」の各エピソードを元に構成されている。タイムボートの形状やユニフォームが最初から後期のデザインになっている。アニメではいくつかの設定が変更された。安川ユミ子はぼんのクラスメートということになっており、白木陽子は登場しない。「T・P隊員の犯罪」に登場する19世紀の隊員ジョン・デフォーは、リームの兄という設定になっているほか、結末が原作とは正反対に改変されている。また、ぼんの通う学校の男子制服も学ランからブレザーに変更されている。※1988年、アメリカの物理学者キップ・ソーンがタイムマシンの研究をしているというニュースがあり、オープニングでその新聞の記事のシーンがあった。概要の節ですでに語られたとおり、本作品は掲載誌の変遷や連載形式の変更などから全3部に大別される。このうち「第3部」に分類される11話は、単行本のシリーズごとに収録数が大きく異なり、雑誌掲載から25年以上一度も単行本に収録されていない「幻の話」も存在していた。連載当時から刊行されていた、潮出版社の「希望コミックス(1979年 - 1985年)」には、上記No.1-5、7の6話が収録された。連載自体は第5巻の発売以後も不定期に続いていたが、以降の単行本が発売されることはなく、結果的に希望コミックス版は5巻で完結、未収録のNo.6、8-11は「幻の話」と化した。中央公論社から発売された「愛蔵版(1991年)」、「中公文庫版(1995年)」、および「藤子不二雄ランド(1988年 - 1991年)」には、第3部の話がいっさい収録されていない。このため、希望コミックス版が発売された1985年から、後述するアイランド・コミックス版が発売される2002年までの約17年間、No.1-5、7を含めた版が発売されることはなく、これらの6話も「幻」となっていた。2002年になって、嶋中書店からコンビニエンスストア向けのペーパーバックで、「復活・幻の6話収録シリーズ」をうたった「アイランド・コミックスPrimo T・Pぼん」が発売された。ここで言う「幻の6話」とは、希望コミックスに収録されていたNo.1-5、7を指す。そのうちNo.2「浦島太郎即日帰郷」のみは第3巻に収録され、残りの5話が第5巻に収録された。それゆえ第5巻にのみ「幻の5話収録」の宣伝文が付いている(ここで言う「幻の5話」が、当時一度も単行本に収録されていなかったNo.6、8-11を指していないことに注意)。2008年、潮出版社から「希望コミックス T・Pぼんスペシャル版」と題した愛蔵版が全3巻で発売された。このスペシャル版3巻には、No.1-5、7の6話および今まで一度も単行本収録されていなかったNo.6、8、9の3話、すなわち上表のうちNo.10、11を除く9作品が収録されている(No.10、11が収録されなかった理由は不明)。なお、新規収録作のうちNo.9「ローマの軍道」は、雑誌掲載時の構成に比べてコマの追加や描き換えが行われ、4ページ相当の加筆となっている。このように、No.10、11の2話が一度も単行本に収録されていない「幻の話」と化していた。だが、2012年3月23日発売の藤子・F・不二雄大全集(第3期)『T・Pぼん』第3巻にNo.10、11が収録され、これで全話が単行本化されることになった。ただ、「王妃ネフェルティティ」のみ、現存する原稿が修正途中の状態で単行本収録が困難なため、掲載誌からの収録となっている。
出典:wikipedia
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