本稿ではスコットランド・ゲール語の文法を述べる。スコットランド・ゲール語は文法的には語尾変化型言語である。名詞は主格、呼格、属格、与格（前後置格）の四つの格をとる。動詞は法（直説法・命令法・接続法）、時制（現在形、過去形、未来形、および三者の迂言形）、態（能動態、受動態）、人称・数によって形を変える。なお、英語のPleaseに相当する"Ma 's e do thoil e"(マセトホレ - 標準形)、"Ma 's e ur toil e"(マセウトレ - 丁寧形)により敬語表現をさらに強調することが出来る。現在形は"tha"と動名詞で表現される。規則動詞の過去形は語頭の子音を変音して作られる。未来形は英語のwillのような助動詞を使わず、語尾変化による未来形が使われる。また"Tha"の未来形を用いて進行形を表現する。規則動詞の過去形は単語頭部の変化による過去形が使われる。また"Tha"の過去形を用いて進行形を表現する。"tha"は"am bheil"と変化させて疑問形とする。規則動詞の過去形は語前に"An do"を置いて疑問形とする。未来の疑問形は現在形に"An"を付して表現する。ただし、動詞がb、f、m、pで始まる場合は"Am"を用いる。また"Bidh"の疑問形は"Am bi"を用いる。また"Bha"の疑問形は"An robh"である。"tha"は"Chan eil"と変化させて否定形とする。規則動詞の過去形は語前に"Cha do"を置いて否定形とする。未来の否定形は現在形に"Cha"を付して表現する。後続する動詞は頭部変音する。また"Bidh"の否定形は"Cha bhi"を用いる。また"Bha"の否定形は"Cha robh"である。なお、日本語のはい、いいえ、英語のYes、Noに相当する語はない。疑問文に対する回答は疑問文の動詞の肯定形、否定形をもって回答する。An do bhruidhinn thu? = アン・ド・ヴリューイン・ウ — あなたは話したか？Bhrudhinn. = ヴリューイン — 話した（はい）。Cha do bhrudhinn. = ハ・ド・ヴリューイン — 話さなかった（いいえ）。ゲール語では語の所有関係にあるものを示すのに所有代名詞を用いる法とaigを用いる法の2種がある。定冠詞のみがありロマンス語のような不定冠詞はない。名詞の文法性・数・格によって変化する。以下の表は大体の傾向を表す。以下は名詞の頭の子音によって冠詞がどのようになるかを種類ごとに分けた表である。

出典:wikipedia