ポリネシア諸語(ポリネシアしょご)はポリネシアで話されている、互いによく類似した一群の言語。アウストロネシア語族のマレー・ポリネシア語派大洋州諸語に属する。サモア語、ツバル語、タヒチ語、ハワイ語、マオリ語、トンガ語など、太平洋中部から東部にかけての主要な言語の大半を含む。マレー・ポリネシア語派はポリネシアを含む太平洋諸島、東南アジア島嶼部からマダガスカルに至る様々な言語(インドネシア語やタガログ語なども含む)からなり、ポリネシア諸語はそのうちのごく一部にすぎない。後述のポリネシア諸語の特徴も、多くのマレー・ポリネシア諸語と異なる点がある。分類系統は必ずしも定説化されているわけではない。やや便宜的な側面もあるが、以下のように大きく3つに分けて扱うのは伝統的な方法のひとつである。近年の語彙統計学的な研究によれば、トンガ語はニウエ語とさほど近くはなく、却ってサモア語とごく近いとされ(「トンガ・サモア語群」などとも呼ぶ)、また、ツバル語、トケラウ語、ラパヌイ語、マルキーズ語、ツアモツ語、ラロトンガ語、タヒチ語、マオリ語、ハワイ語など「東ポリネシア諸語」と呼ばれる一団も、比較的たがいに近い一系統であるとの結果が出ている。ポリネシア諸語はまたメラネシアの東フィジー語群(フィジー語を含む)および西フィジー・ロトゥマ語群も近い関係にあり、これらをまとめて中央太平洋諸語(フィジー・ポリネシア諸語)と呼ぶ。歴史的には、メラネシア方面からポリネシアと接する地域(フィジーなど)を通して伝えられたラピタ文化が、トンガ・サモア方面でポリネシア文化に発展し、さらにこの人々が東部の島々に移住したと考えられており、上記のような言語の系統もその証左となっている。参考に、中央太平洋諸語の系統図を記す。以下、いくつかの言語について語彙の対照を例示する。なお、〔 〕 内は単語の意味、マルキーズ語は左に南部・右に北部方言としている。ポリネシア諸語は音韻構造も互いによく似ており、おおむね以下のような特徴をもつ。前掲の語彙対照表のように言語間を比較すると、母音の変化は比較的少なく、よく保たれているのに対して、子音については一定の変異が見られる。とはいえその場合でも、たとえばレンネル語では祖語の l が g になり、ラロトンガ語では h が ʔ に、ハワイ語では t, k がそれぞれ k, ʔ になる、というように、音韻対応関係はかなり鮮明である。語順はVSO型が多いが言語によって異なり、かなり自由なものもある。また一部に能格言語がある。形容詞・修飾語は一般に名詞の後につけるが、冠詞(単数定冠詞 te など)は名詞の前につける。文法関係は語順や前置詞などで示す。また特異な共通点として、所有表現に「a-クラス」と「o-クラス」の区別がある。前者はある人・物によって作られた・所有されているなど(譲渡可能)を表現し、後者はそうでないもの(切り離せない何らかの関係)を表現する。例えばマオリ語では聖書のエレミヤ書(エレミヤが書いたとされる本)を 、ヨシュア記(ヨシュアのことを書いた本)を という(この場合の a と o は前置詞的に用いるが、所有形容詞にも区別がある)。マレー・ポリネシア祖語にあったと考えられる接辞による語形成は消失しているが、畳語が多い点は受け継がれている。人称代名詞の一人称双数・複数「われわれ」には、他の多くの言語と同様に包括形・除外形(話し相手を入れるか入れないか)の区別がある(サモア語には一人称単数の包括形というのがあって、相手に甘える言い回しに用いる)。
出典:wikipedia
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