『妖星ゴラス』(ようせいゴラス)は、1962年3月21日に公開された日本の特撮映画。製作、配給は東宝。カラー、東宝スコープ、多元磁気立体音響。同時上映は『紅の空』。謎の燃える怪星ゴラスと地球との衝突を回避するため、地球の公転軌道を変えようと奮闘する人々を描く。円谷英二による東宝特撮映画50本目の集大成を目指して、構想3年、製作費3億8000万円、製作延日数300日、特撮パートが全体の3分の1を占める超大作として製作された。監督の本多猪四郎は撮影に入る前に、助監督の梶田興治とともに1か月近く東京大学理学部天文学科へ通い、畑中武夫率いる畑中教室の堀源一郎に、「地球移動」という荒唐無稽な設定の科学的考証(後年における「SF考証」か「SF設定」)を依頼した。大きいとはいえ有限の質量を持つ物体であることに変わりはなく、非常に大きな力が必要ではあるが、それが必要に見合った十分な力であればニュートンの運動方程式に従って軌道は変わるため、地球の質量の概算値を元に、必要な力・運動量・エネルギーは算出できる。堀は完全に実行可能と仮定してそれらを算出したが、劇中の「月がゴラスに吸い込まれる」という描写について「月が吸い込まれた時点で地球も吸い込まれているはず」として、映画的なフィクションであることを理解したうえで「興行でこの話題が出る際には必ずこの部分は“嘘”である、との注釈を入れて欲しい」と条件を付けた。劇中で黒板に示される、地球移動にかかるエネルギーなどの計算式は、上記の依頼にもとづいた検証の際に堀が自ら書いたものである。1979年9月29日午後8時、土星探査の任務を負った日本の宇宙船 JX-1 隼号が、富士山麓宇宙港から打ち上げられた。しばらくして、パロマー天文台が質量が地球の6,000倍あるという黒色矮星「ゴラス」を発見したと発表する。隼号の園田艇長はゴラスの探査に急行するが、質量こそ膨大だが大きさは地球の4分の3というゴラスの引力圏内に捉えられ、観測データの送信後にゴラスへ飲み込まれる。そのデータから導き出された結論は、「ゴラスが今の進路を保つと地球に衝突する」という恐るべきものだった。日本宇宙物理学会の田沢博士と河野博士は事態を危惧するが、政府も対策に本腰を入れようとせず、またこれを自分の問題として捉える人々も少なかった。ゴラスの再観測も思うに任せぬ中、田沢と河野は園田博士の孫・速男の「ゴラスを爆破するか地球が逃げるか、その2つしかない」という言葉に活路を見出す。田沢と河野は国連科学会議で、「南極に建設した巨大ロケット推進装置によって、100日間で地球を40万キロメートル移動させ、その軌道を変える」という「地球移動計画」を提案する。当初はその実現性を疑問視されるが、アメリカやソ連も似たような研究を行っていたことから計画は一気に進み、各国一丸となって建設に取り掛かることが決定する。かくして世界中の技術が南極に結集し、巨大ジェットパイプが次々と建造されていく。しかし、工事現場で落盤が発生するなどの事故で、タイムロスも生じ始める。その頃、国連の要請を受けて日本が打ち上げた JX-2 鳳号がゴラスに接近する。カプセル1号でゴラスに肉薄した金井の観測の結果、ゴラスの質量は地球の6,200倍へ増加しており、もはや爆破は不可能という結論が出される。地球を救う術は「南極計画」のみとなる一方、金井は接近時のショックで記憶喪失となってしまう。完成したジェットパイプ基地のジェット噴射は、地球を計算通りの速度で動かし始める。世界が歓喜する中、田沢は「ゴラスの質量増加が続けば現在の施設だけでは追いつかなくなる」との不安を抱え、国連への追加投資を巡って河野と対立する。その間も、ゴラスは彗星や土星の輪を飲み込みながら地球に接近していく。さらに、南極に眠っていた巨大生物・マグマが突如目覚め、施設の一部に損傷を与える。田沢らによってマグマは葬り去られるが、復旧作業も含めて72時間というタイムロスが生じる。そしてゴラスと地球が最接近する1982年2月を迎え、人々の尽力によってタイムロスは減るが、それでも36時間分の移動距離が足りない。地球上ではゴラスの引力により、各地で天変地異が発生し、富士山麓宇宙港の宇宙船も次々と地中に飲み込まれていく。ジェットパイプも水没する中、運命の時が刻々と迫る。ミニチュアはアクリル製で、電飾によって発光が可能だが、彗星や土星の輪、月を吸収するシーンは全て光学合成で描かれている。ミニチュアは1990年代まで特殊美術倉庫に保管されていた。後に『超星神グランセイザー』(2003年)に流用されている。外見はセイウチに似ているが爬虫類という設定。脚本では鱗に覆われた「恐龍」と表記されている。南極の地底に眠っていたが、妖星ゴラス回避のため建設された原子力ジェットパイプの熱で目覚め、基地の装置の一部を破壊。その後調査に来た国連のVTOL機のレーザー攻撃によって倒される。頭部造形は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄による。スーツアクターは手塚勝巳、中島春雄。体色は褐色系、目は電飾で青色に発光する。ジェットパイプの炎が燃え移るのを防ぐため防火剤が塗られている。2尺サイズのギニョールモデルも用意され、細かい動きはこちらでこなしている。ギニョール操作者は造形スタッフの開米栄三。特殊美術スタッフだった村瀬継蔵は、このマグマの牙の素材に、本邦で初めて「ポリ樹脂」を使用し、それまで表現できなかった鋭さを実現している。特技監督の円谷は「どこでそんな象牙見つけてきたんだ?」と驚き、新素材によるものであることを説明され、大喜びしたそうである。「マグマ」の名称は一般公募による。この怪獣の唐突な登場は、クランク・アップ前になって東宝上層部から出された「せっかくの円谷特撮だから怪獣を出してほしい」との要求によるもの。監督の本多は抵抗したが、登場が決定となった後は、デザインなど怪獣のコンセプトについて積極的に関わっている。このマグマの登場シーンは当時の映画評などでも蛇足として不評であり、海外での公開ではカットされている。本作から特撮現場に参加した川北紘一によると、マグマと志村喬らが絡む一連のシーンは、本編監督の本多ではなく、円谷が演出を行ったそうである。準備稿では単に「恐龍」と記されており、爬虫類という設定はその名残と言われている。着ぐるみは後に『ウルトラQ』のトドラへ改造されているほか、鳴き声はウルトラシリーズの怪獣の鳴き声にたびたび流用されている。1966年7月19日に放送された『11PM』の大阪、よみうりスタジオで収録された「怪獣供養」ではマグマの遺影が飾られている。※映画クレジット順※映画クレジット順※以下クレジット表記無し
出典:wikipedia
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