ステガノグラフィー(steganography)とは、データ隠蔽技術の一つであり、データを他のデータに埋め込む技術のこと、あるいはその研究を指す。クリプトグラフィー(cryptography)がメッセージの内容を読めなくする手段を提供するのに対して、ステガノグラフィーは存在自体を隠す点が異なる。データ隠蔽技術一般を総称して情報ハイディング(技術)と呼ぶが、ステガノグラフィーは情報ハイディングの源流となった技術である。埋め込むデータは、平文または秘密文といい、埋め込む先のデータをカバーデータという。そして秘密文を埋め込んだカバーデータは、ステゴオブジェクト(stego-object)と呼ぶ。画像データや音声データのほか、テキストデータに埋め込む手法もある。ステガノグラフィーの考え方を応用して、1990年代以降、主に著作権保護を目的として、画像データ等の著作物に利用者IDや著作権者などを仕込む電子透かし(digital watermark)と呼ばれる技術が開発された。ステガノグラフィー以外の情報ハイディング技術には、デジタル指紋(digital fingerprint)、コバートチャネル(covert channel)、サブリミナルチャネル(subliminal channel)、匿名通信路(anonymous channel)などがある。起源は古く、ヘロドトスの歴史書に、木の板に書いた文をワックスで隠した例が挙げられている。また、使者の毛を剃った頭に刺青を施し、髪の毛が生えるのを待って、相手側に送った。相手側は毛を剃って、文章を読み取ったという史実もある。日本においても語句を他のより長い文章中に紛れ込ませる手法は折句として古くから用いられており、在原業平「からころもきつつなれにしつましあればはるばるきぬるたびをしぞおもふ」(古今和歌集より。各句の頭文字を順につなげると「かきつはた」の語が現れる)などがよく知られている。"詳細は折句を参照。"不可視インクによる見えない文字や、を使った方式などが考案されてきた。しかし情報化社会となった今日、実際に有効なステガノグラフィーは、いわゆる「デジタル・ステガノグラフィー」と呼ばれるコンピュータで処理されるステガノグラフィーだけである。デジタル・ステガノグラフィー(以下では単に、ステガノグラフィーと記す)が情報工学の研究対象となって来たのは比較的新しく、1990年代の初期・中期頃からであるが、日本における研究活動が盛んになったのは1990年代末期である。ステガノグラフィーでは、秘匿したい情報データも、秘匿容器媒体(隠れ蓑とする媒体)も共にコンピュータ・ファイルである。現在、様々な原理によるステガノグラフィーが提案され、一般に利用できるプログラムとして実現されている数は明確ではないが、100〜200程度であろうと言われている。これらは海外で開発されたものが殆どであり、日本国内での開発例は BPCS-Steganography だけのようである。情報ハイディングに関する研究は、大まかには電子透かしとステガノグラフィーに関するものに大別できる。しかしながら、最近までこれらの研究活動をとりまとめるグループや組織がなく、それぞれの研究者は様々な場でバラバラに研究成果を競ってきた。このような状況の中で、ようやく2006年末になり「マルチメディア情報ハイディング研究会」が発足した。さらにこの研究会は、2011年4月から マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会へと発展し、ステガノグラフィを包含する"付加価値を有するマルチメディア" 分野での国内研究活動の中心となりつつある。
出典:wikipedia
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