『ゴジラvsデストロイア』(ゴジラたいデストロイア、または、ゴジラ ブイエス デストロイア)は1995年12月9日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第22作である。観客動員数は400万人。配給収入は20億円。キャッチコピーは「ゴジラ死す」。ゴジラの死を描いた作品として公開された、平成vsシリーズの完結編。1954年公開のシリーズ第1作『ゴジラ』へのオマージュ色が濃く、タイトルクレジットが現れる画面では初代ゴジラの鳴き声とともに第1作のタイトルクレジットとして使用された「ゴジラ」の三文字が現れて爆発。オキシジェン・デストロイヤーに飲み込まれて海に沈み、その上から新たに本作のタイトルが現れるという演出が入る他、第1作に登場した山根恵美子が同一の役者で登場する。回想シーンでも第1作の映像が使用されている。この作品は1954年のシリーズ第1作から製作に携わっていた田中友幸の名前がクレジットされる最後のゴジラ映画となっており、また、音楽担当の伊福部昭や特技監督の川北紘一もゴジラシリーズ最後の参加となった。登場する怪獣は、ゴジラ、ゴジラジュニア、デストロイア。本作のゴジラの鳴き声は前作までと違い、甲高い鳴き声の中にうめき声のようなものが強調されている。主要襲撃地点は、香港、東京(羽田空港、有明)。また、ゴジラは愛媛県の伊方発電所に接近したが寸前で阻止され、四国(伊方町)上陸は果たされなかった。観客動員数は400万人、配給収入は20億円で1996年の邦画配給収入第1位を記録している。また、前売り券がゴジラシリーズとしては初めて10万枚以上を売り上げた。エンディングのスタッフロールの背景は第1作、及びそれまでに作られた平成vsシリーズ作品の映像が使われているほか、音楽は有名なゴジラのメインテーマを筆頭に据えた伊福部昭による『SF交響ファンタジー』をアレンジしたものになっており、その曲中にはシリーズ最高の動員を記録した『キングコング対ゴジラ』の音楽も含まれる。ゴジラとMOGERAが共闘したスペースゴジラとの戦いから1年後、バース島が消滅し、ゴジラとリトルゴジラが姿を消した。その1ヶ月後、香港にゴジラが出現。全身を燃えるように発光させ、赤い熱線を吐きながら香港の町を蹂躙していった。バース島消滅は、その地下の高純度の天然ウランが熱水に反応した結果の爆発であり、その影響を受け体内炉心の核エネルギーが不安定になったゴジラは、いつ核爆発を起こしてもおかしくない状態であった。同じ頃、青海トンネルの工事現場で工事用パイプが溶解するトラブルが相次いで発生。しながわ水族館では魚が突然水に食われるかのように白骨化する怪事件が起きる。その原因は、かつてオキシジェン・デストロイヤーを使用してゴジラを抹殺した際、海底に眠っていた古生代の微小生命体が無酸素環境下で復活し、異常進化を遂げた恐るべき生物・デストロイアであった。デストロイアは急速に巨大化し、人間大の大きさとなって警視庁の特殊部隊SUMPを襲い、さらには自衛隊の攻撃に対して集合・合体し、40メートルの成長体と化して破壊の限りを尽くす。そんな折、御前崎沖にゴジラと酷似した怪獣が出現した。それは行方不明となっていたリトルゴジラが、天然ウランの影響を受け成長した姿であった。バース島を失ったゴジラジュニアは、自らの故郷であるアドノア島へ帰ろうとしていたのだった。ゴジラは、四国電力・伊方発電所を襲撃しようとした際にスーパーXIIIの放ったカドミウム弾を受け、体内の核分裂が制御され始めたため、核爆発の危機を免れる。しかし、今度は体内炉心の温度が1200度に達した時にメルトダウンが発生することが判明。地球が灼熱の星と化してしまう危機が訪れる。もはやゴジラを倒せるのは、オキシジェン・デストロイヤー=デストロイアしかいない。ゴジラとデストロイアを戦わせるため、ゴジラジュニアを囮としてデストロイアに向かわせる作戦が提案される。臨海副都心、羽田空港を舞台に、ゴジラの最終決戦が始まろうとしていた。以前より製作が発表されながらも延期となっていたハリウッド版『GODZILLA』が1997年に公開される見通しが立ったことから、平成ゴジラシリーズ最終作として製作された。当初の仮タイトルは『ゴジラ死す』で、特技監督の川北紘一はそれまでの『ゴジラVS○○』という命名法から脱却し、この作品をシリーズ最終作とする意気込みを体現するつもりであった。その後、特報では『ゴジラ7』の仮タイトルで発表され、最終的に現在の題名となる。本作の初期案は、初代ゴジラの生体エネルギーが幽霊のような「ゴーストゴジラ」として出現。ゴジラと戦い、ゴジラは倒されるが、ゴーストゴジラはジュニアによって倒される、というものだった。実体のない怪獣という、見せ方としては面白い見せ方も考えられた。元々ゴジラのバリエーションが割と成功していたために企画されたが、やはり3作もゴジラとゴジラのバリエーション怪獣が戦う作品が連続するのはよろしくないうえ、実体のないものに感情移入はしにくいのではないかということで不採用となっている。この脚本を持ってきたのは、川北曰くプロデューサーの富山省吾だったらしい。ゴジラのメルトダウンと、デストロイアに相当する新怪獣「バルバロイ」が登場する企画は、川北組のとある人物が考えたとされる。川北側ではゴーストゴジラ案が没案となったことを受け、それなら「ゴジラを死なせる」ことを考え、唯一ゴジラを葬り去った兵器「オキシジェン・デストロイヤー」でも死ななかった最強の生物・デストロイアと戦わせるというプロットが生まれたという。プロデューサーの田中友幸はゴジラを死なせることに反対したそうだが、また復活することを前提に「ゴジラ死す」という企画が認められたとのこと。このため、公開当時のパンフレット冒頭にある田中の挨拶文には「またゴジラは必ずスクリーンに帰ってきます」との言葉が記されている。このインタビュー記事で川北は、『ゴジラvsスペースゴジラ』でゴジラを死なせた方がいいと考えていたことも明かしている。ゴーストゴジラ案だった頃には、ゲスト怪獣としてアンギラスの登場が検討されており、デザイン画も描かれていた。また、デストロイアがバルバロイと呼ばれていた頃には、その一形態としてアンギラス型の怪獣の登場も検討されていた。『ゴジラvsビオランテ』から『ゴジラvsモスラ』まで監督や脚本に参加していたがそれ以降はシリーズに関わらなかった大森一樹は、ゴジラで描けることがある限りは参加すると表明しており、今回は川北と監督の大河原孝夫に口説かれ、ゴジラの死を描くことに賛同して再参加を決めた。プロットのやり取りは、大森が海外に滞在中でもFAXによって続けられた。大森は阪神・淡路大震災に被災した経験から、火災鎮火のために冷凍レーザーを考案したそうである。シリーズ第1作『ゴジラ』へのオマージュとして、山根恭平博士の娘・山根恵美子(演じるのは第1作と同じく河内桃子)やオキシジェン・デストロイヤーの再登場以外にも、オープニングが海上を走るカット、臨海副都心にデストロイアが出現した際に伊集院が警察官から「生命の保証はできませんので、お通しすることはできません!」と言われるシーンや、それぞれ怪獣への対応を注意する点が共通している。山根博士の書斎は第1作に登場したものを再現したセットであるが、当時の図面などは残っていなかったため、映像から間取りを想定して製作した。第1作で山根博士の書斎にも飾られていたステゴサウルスの骨格模型も、新規に製作されたものである。予告編では、第1作の映像をデジタル処理でカラー化したものが使われている部分がある。デストロイアの幼体群と人間の戦闘シーンは、本作までのシリーズには見られなかったホラー映画のような恐怖映像に演出されており、特に戦闘シーンには『エイリアン2』や『ジュラシック・パーク』などの影響が散見される。VSシリーズでは初の海外ロケとなる香港でのロケが行われたが、ゴジラの登場シーンや人物は合成によるものである。プロデューサーの富山はゴジラの海外上陸展開に慎重な意見であったが、未制作企画『ミクロスーパーバトル ゴジラvsギガモス』(1991年)の頃から海外上陸案を検討していた特技監督の川北はこれを押し切る形で実現させた。初代の映画で時計塔を破壊されて関係が悪化した東宝と和光が和解したため、41年ぶりにゴジラ映画に登場する。本作のゴジラは、核エネルギーの暴走により身体の所々が赤く光り輝き、蒸気を噴き出すという設定である。それを再現するに当たり、光学合成で光らせる、蛍光塗料で塗装してブラックライトで光らせるなど、さまざまなアイデアが出された。しかし結局は、実際に光らせるのが一番リアルであるとの判断がされた。そこで発光部分の胸、腿、肩などのパーツはFRPとクリアレジンで型抜きされ、電飾には860個もの電球、体内からの蒸気には水蒸気がそれぞれ使用された結果、スーツの重量は100キログラムを越えた。スーツに埋め込まれた装置を作動させるための電源ケーブルを引きずっており、ただでさえ重いスーツの動きがさらに緩慢となったため、普通は撮影した内容に重量感を出すべくスローで再生するところを、本作では早送り再生する場合もあったという。蒸気には炭酸ガスが使用されたが、撮影テスト中にはゴジラを演じた薩摩剣八郎がスーツ内に充満したガスで倒れて不整脈を起こすという事故もあり、それ以降は常に酸素ボンベを着用しての演技となった。ゴジラの死亡が明確に描写された作品は本作と1954年公開のシリーズ第1作『ゴジラ』の2つのみであるが、ゴジラの肉体能力(原子炉)が暴走して自爆とも取れる映像が描かれているのは、本作のみである。体内で核エネルギーが暴走しているゴジラには通常兵器による攻撃は核爆発を誘発する危険性が高いため、前2作のGフォースに代わり、冷凍系の兵器で武装した自衛隊が活躍した。なお、本作でデストロイアにとどめを刺したのはゴジラではなく、スーパーXIII率いる自衛隊の冷凍兵器部隊である。スーパーXシリーズの兵器が、『ゴジラvsビオランテ』以来6年ぶりに復活した作品でもある。初期段階では、スーパーXIIIとして『海底軍艦』の轟天号が登場する案も存在した。VSシリーズではミニチュアセットを50分の1サイズで製作することが普通だったが、本作でゴジラジュニアとデストロイア集合体が戦う天王洲アイルのセットは、怪獣の身長に合わせて25分の1サイズで製作された。※ここでは『東宝SF特撮映画シリーズVOL.10 ゴジラVSデストロイア』で「主な登場人物」として掲載されている人物のみを挙げる。
出典:wikipedia
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