動画共有サービス(どうがきょうゆうサービス、英語:video hosting service)は、インターネット上のサーバに不特定多数の利用者が投稿した動画を、不特定多数の利用者で共有し、視聴出来るサービスである。動画投稿サイト(どうがとうこうサイト)とも言う。事業者が番組として配信するものはビデオ・オン・デマンドと呼ばれる。2005年頃に登場しWeb 2.0の波に乗って急速に発展した。日本で数千万人、世界では数億人の利用者が居る。多数のサービスがあるが、特にYouTubeの隆盛は目覚しい。ビデオ・オン・デマンド、タイムシフト視聴、プレイスシフト視聴、多チャンネル化、IP放送が身近になった。User Created Contentから違法コンテンツまで様々なコンテンツが入り乱れ、新しい映像コンテンツの創造・融合の実験場となっている。著作権などの既存の法律や、テレビ局などの既存のビジネスモデル・既得権益が変革を迫られることからアニメのDVDの売上からアメリカの大統領選挙まで政治・経済・社会に大きな影響を与えている。初期における動画共有はサーバーに直接動画をアップするFTP(File Transfer Protocol)のアプリケーションにより行われていた。日本の動画共有サイトは少なくとも1999年から存在したが、サーバーのハードの容量や回線の細さから流行しなかった上にそのひとつはモザイク無しの猥褻映像の連続投稿ために閉鎖に追いやられた。2000年代前半、ファイル共有ソフトが流行した。Napster(1999年)やWinny(2002年)などである。しかし利用者のパソコンにファイル共有ソフトの用意が必要で、著作権法違反による逮捕やウイルス感染の心配があった。動画配信サービスが乏しかった2000年代前半頃は、WMP(Windows Media Player)による配信が主流だった。これはWMP形式の動画をURLで開き、Windows Media Playerで再生する技術である。しかしこの技術は別途専用ソフトが必要であり、再生可能な環境も限られる。ブラウザ上で直接視聴もできない面倒な規格だったため、YouTubeなどの動画配信サービスが開始してから次第に使われなくなった。2005年、動画共有サイトが次々と登場した。google video(1月)やDailymotion(2月)、YouTube(12月)などである。ブラウザ以外に特別なソフトウェアが不要で、ブログやSNSとの連携も容易だった。2006年、ブームが始まった。日本でも利用者は1年間で16倍に増え、1100万人を超えた。この頃、Veoh(3月)やStage6(8月)、ニコニコ動画(12月)が登場した。googleがYouTubeを買収したのも、この年である(10月)。日本人利用者がYouTubeやStage6に押し寄せた。海外から流入したトラフィック量(年2回測定)は2006年5月以降の1年間で1.7倍に急増した、特に2006年11月以降の伸びが激しかった。一方、韓国では有名歌手のダンスの物真似などUser Created Contentがブームになった。2007年、動画共有サイトの利用が拡大した。日本の利用者は1年で倍増し、約2400万人に達した。政治経済など一般社会を巻き込んで様々な試みが行われるようになった。2008年アメリカ合衆国大統領選挙の選挙活動に初期から使われた。UCCとしてオバマ・ガールの動画投稿があった。日本でもYouTubeのサービスが正式に始まった(6月)。外山恒一の政見放送が非公式に投稿された。初音ミクが登場し権利を獲得していった(詳細は初音ミク#初音ミクを巡る騒動を参照)。2008年、動画共有サイトは世界的に普及した。優酷網の急速な成長が日本でも話題になった。日本の利用者は約3200万人に達した。高速な光回線が主流となった(6月)。涼宮ハルヒの憂鬱や時をかける少女の口コミなど成功事例が出てきた為、Consumer Generated Mediaに対する著作権者の眼も和らいだ。角川やJASRACなどが前向きな対応をするようになった。この年、YouTubeの視聴機能を持つ、iPhone 3Gが発売(6月)された。パソコンだけでなく、携帯電話やゲーム機などでもモバイル動画が可能になっていった。またこのような機器や通信回線など視聴環境が世界中に普及していった。2009年、YouTubeの動画視聴回数は10億回/日を超え圧倒的な存在である。世界の動画共有のインフラとなっている。このインフラを使って、スーザン・ボイルのように世界中の注目を集める事も出来るようになった。スーザン・ボイルの動画は1億回視聴されたと言われている。動画共有サイトに先駆けて国内では複数の動画配信のサービスが開始されていた。2002年に楽天ショウタイムやNTTコミュニケーションズとの協力によりビーマップが映像配信の事業展開を開始した。動画共有サイトの活況を受けて、動画配信サイトや動画共有サイトを使った動画配信の動きも活発化した。2005年、GyaO!(4月)、第2日本テレビ(10月)、政府インターネットテレビ(12月)などの動画配信サイトが始まった。音楽配信のiTunes Store 日本版も始まった(8月)。基本的には有料指向だった。この年、通信と放送の融合を訴えて、ライブドア(2月)や楽天(10月)がラジオ・テレビ局の買収・提携を模索したが、上手くいかなかった。2006年、アメリカ最大のテレビ局CBSがYouTubeで無料動画配信を始めた。テレビ番組の視聴率が向上した。日本のテレビ局は既存のビジネスモデルを犯す物として、テレビ番組の無料動画配信には消極的だった。一方、多チャンネル化が進んでいるアメリカのテレビ局は新たな配信先の確保を目指して、様々な試行錯誤を繰り返した。2007年、日本でYouTubeのサービスが正式に始まった。企業や政党のチャンネルが作られ始めた。イギリスでは、BBCの無料動画配信サイト・見逃し視聴サービスであるiPlayer(12月)が始まり、大成功を収めた。日本ではテレビ局の電波利権を守るため遅々として進まないIP放送が、ヨーロッパで普及し始めた。2008年、企業や政党、官公庁の利用が拡大した。アメリカでは、テレビ局や映画会社の無料動画配信サイトであるHulu(3月)が始まり、大成功を収めた。一方、有料のNHKオンデマンド(12月)は不発だった。2009年、日本のテレビ広告費は番組広告、スポット広告ともに落ち込んだ。2年連続の下落であり、2007年から約15%の落ち込みである。既存のビジネスモデルが疑問視されるようになった。インターネット広告費は新聞広告費を越え、テレビ局の有料動画配信サイトの利用も多少は伸びているが、インターネットへの進出に対しては、なかなか踏ん切りがつかないのが実情である。2010年、民放テレビ・キー局はGyaO!へ出資した。動画共有サイトの活況は、インターネットを使った生中継の可能性も喚起した。2007年、Ustream(3月)やJustin.tv(3月)、ニコニコ生放送(12月)が始まった。2008年、韓国の米国産牛肉輸入反対デモは、ユーザーの生中継動画が動画共有された。2009年、アメリカのオバマ大統領就任式の動画配信は、全世界で約2130万件を記録した。日本でも事業仕分けや記者会見オープン化によって動画配信が注目され始めた。主な動画共有サービスと動画配信サービスの利用状況は以下の通り。日本では動画共有サービスが強く、動画配信サービスで上位に入るのはGyaO!のみである。娯楽系サイトのランキングでも、動画共有サイトの人気は高い。テレビ局は、フジテレビを除いて11位から20位であり、上位には入らない。テレビ局の有料動画配信サイトは更にその下である。アメリカではYouTubeが圧倒的に強い。しかしテレビ局や映画会社などのメディア・コングロマリットも積極的にインターネットに進出している。イギリスやフランスでもYouTubeが強い。しかしBBCやTF1などのテレビ局も頑張っている。世界で最もインターネット利用者が多いのは中国である。2008年末で、2億人弱〜3億人の利用者が居ると言われている。中国の動画共有サイトは、土豆や我楽、優酷網などがリードしてきた。YouTubeは進出していない。2010年、中国政府は通信と放送の融合(三網合一)を2015年までに行うとの発表した。中国中央電視台などのネットテレビ局が開設され始めた。また検索大手の百度は外資とジョイントベンチャーで、無料動画配信サイトの奇芸(Qiyi)を始める。各種調査によると、日本では動画共有サービスは若者・中年(20代〜40代)が音楽やUCCを見るために利用している。アニメも人気がある。一方、動画配信サービスは老人(50代〜60代)が映画やテレビ番組を見るために利用している。アメリカでは中年以上の世代にニュース動画も人気である。動画共有サービス利用者の6割以上は週1回以上利用している。毎日利用するヘビーユーザーは1割程度で、半数は1回の利用時間が30分以下である。しかし10代は4人に1人がヘビーユーザーである。著作権者の承諾を得ずに、市場で流通している音楽や動画のコンテンツをアップロードする行為が常態化している。そもそも初期のYouTubeの人気はサタデー・ナイト・ライブの無許諾投稿によって火が付いたと言われている。ただし、著作権者によると思しき投稿も少数であるが見受けられる(これはコンテンツ宣伝目的に利用していると目される)。多くの動画共有サイトは、アップロードの違法性の判断は、コンテンツの著作権者に限って委任する態度を取っている。すなわち、著作権者からの違法アップロードのクレームが提出されない限りは、コンテンツの違法性について判断しないと言う事である。著作権者以外の第三者からの違法アップロードのクレームは受け付けないとするサイトが多い。(第三者が動画共有サイトに対して、アップロードされたコンテンツの違法性について通報ないし問い合わせする事自体を、「違法」と主張している場合が多い。)このような状況から、動画共有サイトは著作権侵害という意見がある。しかしYouTubeは初期から、個別の削除要請(Notice&Take down)に応じ、ライセンス料を支払うと共に、責任は投稿者にある、動画投稿サイトはオンラインサービスプロバイダであり、デジタルミレニアム著作権法のセーフハーバー条項で免責されると主張していた。また権利擁護団体からは全ての投稿が違法ということはなく、フェアユースで認められる投稿もあるという意見もあった。これに対して、著作権者はVeoh(2006年)やYouTube(2007年)などに対して著作権侵害訴訟を起こした。結果はVeohやYouTube自身の著作権侵害を認めない(VeohやYouTubeの勝訴)ものだった。一方、ユーザーも著作権者に対して訴訟を起こした。これは、フェアユースに該当する動画を、著作権者が動画共有サイトに対して削除依頼をした件に対して取消請求をするものであり。ユーザーが勝訴する事例も出た。日本では、著作権者が2006年から対策を求めるようになった。2008年、YouTubeはJASRACに対して、著作権料を支払うことにした。しかし日本の著作権法にはフェアユースやNotice&Take downの規定がない。Notice&Take down規定があれば、著作権者の申し出を受けて動画共有サイトが削除した後に、著作権者と投稿したユーザーが権利侵害について事後的に話しあうことが出来る。しかしプロバイダ責任制限法では、事前に権利侵害の判断がなければ削除できない。またユーザーは権利侵害と判断されれば、いきなり処罰されてしまう。この他にもIP放送を放送ではなく自動公衆送信(通信)と扱う事で、地上波番組の放映や著作権処理を難しくしているという意見もある。2008年にはインターネット時代に対応した「ネット法」を制定すべしとの議論が提起された。しかし2010年施行の改正著作権法ではダウンロードは違法化され、日本版フェアユースも先送りされた。ストリーミング配信の閲覧に影響はないが、投稿者からは逮捕者が出た。6月、Youtubeへの動画(週刊少年ジャンプの漫画を撮影した動画)の投稿をした中学生が、著作権法違反容疑により逮捕されたのである。動画共有サイトをどのようにビジネスに利用するかは定まっていない。しかし多数の利用者が居り、ビジネスチャンスがある。企業はYouTubeに公式チャンネルを作るなどして、試行錯誤を繰り返している。動画共有サイトはバイラルマーケティングに利用できる事が分かっている。「メントス&コーラ」は1000万ドルの広告効果があったと言われている。これはメントスの製造会社の年間宣伝広告費の半分に相当する。角川グループは 動画利用の公認バッジ制度を設立して、動画再生閲覧やエキジビジョン数を増大させた。広告収入も伸びた。音楽業界にとっては、動画共有サイトはCDを購入しない原因の3割を占める商売敵である。しかし、音楽はパソコンを使ってYouTubeで聞く人が最も多い。製品の認知・購入のきっかけでもトップ10に入っており、FMラジオやテレビCM・ドラマとのタイアップと効果は変わらない。CD購入が最も多い男子学生には、特に効果がある。一方、動画共有・動画配信サイトの運営にはコストがかかる。事業仕分けの中継は予算の制約で、300人分の回線しか用意できなかった。神保哲生によれば、会員数1万人の有料動画配信サイトで同時アクセスのピークに対応するには50万円/月のサーバー代がかかる。YouTubeのように数億人単位のユーザーを持つ動画サイトは通信料やコンテンツのライセンス料などで大赤字という説がある。しかし自社回線で通信料はほぼゼロという説もある。動画配信のコストはまだ高い水準だが、Amazon CloudFrontのようなクラウドを使うことで、下がっていく可能性がある。基本的にはストリーミング型を採用している。JoostのようにP2Pを採用した物や、VeohのようにP2Pを併用した物もある。しかしあまり人気がない。YouTubeやニコニコ動画はファイルフォーマットとして、Flash Videoを使用している。GyaO!はMicrosoft Silverlightを使用している。YouTubeなど一部の動画共有サービスではHTML5 OpenVideoへの対応も始まっている。動画はテキストと比べて、回線やサーバーの負荷が大きい。コンテンツデリバリネットワークの利用など対策を行っている。また通信業者からはインフラただ乗りの批判がある。しかし、GoogleはYouTubeで増大した日米間の通信に対応するために、海底ケーブルを敷設している。著作権者の要請により、著作権侵害検出技術が使われている。動画の特徴を事前に登録し、照合する電子指紋方式(フィンガープリント方式)。撮影機器や編集の様子などからプロが作成した動画かどうか判定するプロアマ判別方式(KDDI研究所)などがある。電子指紋方式はYouTubeやニコニコ動画、My Spaceなどで使われている。
出典:wikipedia
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