上野東京ライン(うえのとうきょうライン)は、東京都台東区の上野駅と同千代田区の東京駅を経由し、東北本線(宇都宮線)・高崎線・常磐線と東海道本線(東海道線)を相互直通運転する東日本旅客鉄道(JR東日本)の系統路線名である。2015年(平成27年)3月14日に開業した。東北新幹線の建設に伴い分断された上野駅 - 東京駅間の東北本線列車線を再度敷設することで、上野駅を起点とする東北本線系統の列車(宇都宮線・高崎線・常磐線、以下3線。常磐線は近距離電車〈快速電車〉も含む)を東京駅経由でさらに東海道本線(東海道線)新橋、品川方面へ直通運転させる路線である。これにより並行する山手線や京浜東北線の混雑率が大幅に緩和され、直通輸送体系の整備により都心をまたいで中距離電車を利用する際の所要時間が短縮されるなどの効果により利便性が大きく向上した。路線構造の特徴として、神田駅付近における東北新幹線の真上に建設した高架部分があり、騒音や日照不良に関する沿線周辺への配慮がなされている。この線路の建設計画は東北縦貫線計画(とうほくじゅうかんせんけいかく)と呼ばれており、2008年5月30日に着工した。2013年12月9日にJR東日本はこのルートの愛称を「上野東京ライン」と決定、さらにこの名称は鉄道路線の営業名としても使用されている。上野東京ラインは2015年3月14日に行われたダイヤ改正と同時に開業した。同日、北陸新幹線の長野駅 - 金沢駅間も開業しており、首都圏における中・長距離の運行体系に大きな変化をもたらす改正となった。日本国有鉄道(国鉄)では第二次世界大戦前から東京駅 - 上野駅間には回送列車や貨物列車を走らせるための回送線が存在し、戦後の1946年7月に連合軍専用列車「Yankee Limited」が初めて同線を直通する列車として設定され、1954年 - 1956年の山手線と京浜東北線の分離運転工事期間は上野駅折り返しだった国電常磐線が朝夕のみ有楽町駅まで、その後も東北本線・常磐線・高崎線列車が新橋駅まで朝晩の各1往復程度乗り入れていた。後年に「Yankee Limited」の後を引き継いだ急行「十和田」が東京駅へ乗り入れ、特急「ひたち」・「つばさ」・「ひばり」・「はつかり」・「やまびこ」・「とき」・「あさま」、準急「日光」・「中禅寺」といった列車に東京駅を発着する列車が設定されていた。準急「湘南日光」や通勤時間帯に設定されていた快速「わたらせ」などは東京駅を越えて東海道本線にまで乗り入れていたほか、高崎線から東海道本線富士駅までを結ぶ中距離電車も1往復運転されていた。また、お盆や年末の帰省ラッシュ時期には通常、上野駅始発である奥羽・磐越西線方面の夜行列車を品川駅始発とする措置が取られた。その際、山手貨物線経由とともに、荷物・新聞扱いの関係上、東京駅・上野駅経由の列車も運行された。さらに、帰省時期には名古屋駅発(列車により静岡駅発などもあった)青森駅行き(列車により東北本線経由と常磐線経由の双方があった)の急行「あおもり」など、東京都心を串刺しにする長距離列車も運行されていた。なお、東京駅 - 秋葉原駅付近は複線が敷かれていたものの、東側の線は東京駅の留置線・引上線として使用されており、実質、列車運行としては単線であった。東側の線は縦列に4本の列車を留置できるようになっており、境目には両渡り線がそれぞれ設置されていた。秋葉原駅付近で東側の線が車止めで途切れており、単線のみが敷設されている区間が僅かに存在した。ここまでが東京駅の構内であった。すぐ北で複線となった後に秋葉原貨物駅からの線路と合流し、秋葉原駅 - 上野駅間は本線としては複線であった(他に上野駅の引上線が1本敷かれていた)。このことから多数の列車を走行させるには適しておらず、旅客列車の乗り入れは限定的であり、部内でも「東京 - 上野回送線」と呼ばれることが多かった。その後、東北新幹線敷設工事の用地問題や東京駅在来線ホームの縮小により、1973年4月限りで定期列車の東京駅乗り入れが中止となり、帰省時の品川駅始発列車の運行は1975年年末で終了、わずかに残った郵便・荷物・回送・団体列車についても1983年1月31日限りで直通運転が廃止され、線路用地を新幹線に転用するために秋葉原駅 - 神田駅付近で線路が分断された結果、東北本線系統の列車は東京駅に乗り入れることができなくなった。残った線路は、上野駅側は御徒町駅付近から貨物駅の使命を終えた秋葉原駅の貨物ホーム付近までを留置線に転用したが、同駅周辺の再開発に伴い貨物ホームは撤去され、新たな留置線が建設された。東京側は東海道本線の列車の折り返し線に転用された。新幹線は1991年6月20日に東京駅 - 上野駅間が開業したが、旧回送線線路用地を利用した区間は橋脚をさらに上空に継ぎ足せる構造で建設された。同区間には東北・山形(1992年7月1日 - )・秋田(1997年3月22日 - )・上越・北陸(同10月1日 - )の各新幹線が東京駅に乗り入れている。新幹線開通後も山手線と京浜東北線と並行する東京駅 - 上野駅間には、中・長距離列車が運行されない期間がしばらく続いたが、これら路線を国鉄から継承して運行するJR東日本自身にとって乗り入れは悲願であった。東北縦貫線の計画自体は1970年代の東北新幹線の計画と同時にあったが、国鉄分割民営化後具体化されたのは、1993年2月にJR東日本が山手線・京浜東北線の秋葉原駅 - 上野駅間や上野駅の混雑緩和のため常磐・東北・高崎の各線の運転区間を東京駅まで延長して東海道線と相互乗り入れする検討である。この計画では、とりあえず上野駅の留置線として使われている秋葉原駅 - 上野駅間の工事を先行し、まず常磐線の電車を秋葉原駅まで延長するという計画であった。この計画の背景は常磐新線(後のつくばエクスプレス)の開業による常磐線の旅客の逸脱を防ぐためであった。さらにその後、秋葉原駅から東京駅まで東北新幹線の2階部分に複線を建設して、東北線・高崎線・常磐線のいずれかを東海道線に乗り入れるとした。これに対して、神田地区の沿線から強い反対運動がおこり、計画が一向に進まないものとなった。この時点では、1997年に着工して10年程度で完成するという見通しであった。これは朝日新聞にも取り上げられていた。その後、1999年当時の運輸省による「都市整備調査」によって、東京 - 秋葉原間が230億円、上野駅構内が70億円の合計300億円に加え、秋葉原駅構内工事費として、駅を設置する場合が120億円、駅を設置しない場合が30億円とされた。従来より、宇都宮・高崎線の中距離電車の東京駅乗り入れについて要望をしていた埼玉県もこの調査結果に注視するようになる。調査結果を踏まえ、2000年の運輸政策審議会答申第18号において「2015年までに開業することが適当である路線」に指定された。この指定を受け、JR東日本は本格的な検討を開始、2002年3月27日に2009年度末完成目標とする東京駅 - 秋葉原駅間の東北列車線建設工事計画を発表した。これは旧・東北列車線を撤去して建設した東北新幹線の高架左右に確保されている高々架橋支柱設置スペースを利用して、さらに上層部に新・東北列車線を直上高架で建設する計画であった。コスト面や旅客流動予測から、上野駅 - 東京駅間に途中駅は設置しないことも決定した。費用は調査時と同額の300億円と発表(後述の通り、後に400億円に訂正)。費用は全額JR東日本が自己資金で担うとした。反対意見者の訴訟などから本格着工が大幅に遅れ、当初計画の2004年度中に環境アセスメント終了予定が大幅に遅延し、2009年度末完成予定も延期される。アセスメントは2007年9月に「満足する」、一部に「概ね満足する」とする評価書が提出されている。2008年3月26日、JR東日本は同年5月より工事に着手し2013年度に完成を予定していることを発表し、3月31日に「グループ経営ビジョン2020 - 挑む -」と称した方針の中で計画を実行に移すことを改めて表明している。同年5月30日に起工式が執り行われた。式を取り上げた報道によれば、事業費は当初より100億円増加で400億円の見込みとされる(沿線住民に配慮し、遮音板を透明にしたり、新幹線の直上から一部山手線外回り・京浜東北線南行側にはみ出す構造にし、そのため、耐震性の問題からも軽い桁を新たに開発するなどの工夫を行ったことによるものなど)。工事に当たっては、神田 - 東京間の新幹線との重層部は架設機を新幹線の直上に設置するとともに、新幹線終電後に東京駅新幹線ホーム南側「南部ヤード部」に待機してあったクレーン車が新幹線線路を利用して工事現場に移動して始発までの時間帯に工事が行われた。この際、架線切断などの事故の際に上野折り返しでの運転を行うための要員等が準備されていた。東日本大震災の影響等により、JR東日本は2012年4月12日に、工事計画を一部変更し、2014年度開業を目指すこと、2013年12月には2015年3月に開業させることを発表。2度の延期を経て、運輸政策審議会答申第18号で提示された目標年次ギリギリの2015年3月14日に開業を果たした。運行系統としては、宇都宮線・高崎線 - 東海道線の系統と常磐線 - 品川駅の系統が設定されている。宇都宮線・高崎線は東京発(北行)や品川行き(南行)、東海道線は上野駅発着の列車も運転される。なお、上野駅発着の宇都宮線・高崎線列車は上野東京ライン運行時間帯も主に「地平ホーム」発着で設定されているが、東京駅発着の東海道線内の普通列車は早朝・深夜のみの設定である。いずれの種別も、上野駅 - 品川駅間は東京駅・新橋駅に停車する(特急を除く)。なお、湘南新宿ラインとは異なり、横須賀線への直通運転は設定されていない(臨時急行列車「ぶらり横浜・鎌倉」を除く)。直通範囲は湘南新宿ラインよりも広く、東海道線側の大半は熱海駅まで、一部は沼津駅や伊東線の伊東駅まで(湘南新宿ラインは小田原駅まで)、宇都宮線側の大半は宇都宮駅まで、一部は黒磯駅まで(湘南新宿ラインは宇都宮駅まで)、高崎線側の大半は高崎駅まで、一部は両毛線の前橋駅まで直通する。15両編成で運転される列車が大半を占めるが、一部の列車が10両編成で運転されている。15両編成での最長運転列車は、宇都宮線系統が宇都宮駅 - 熱海駅(あるいは熱海駅で増解結を行う沼津駅・伊東駅)間の列車、高崎線系統が平日夜間1本のみ存在する熱海駅発深谷駅行きである。両線は、それぞれの上りの初電(東京駅6時前後)から東京発23時ごろまでほぼ終日にわたり相互直通運転を行う。朝ラッシュ時(東京駅8時台)は、南行は宇都宮線・高崎線それぞれ5本ずつが直通する。北行は平日・土休日ともに約半数が上野行きである。日中は、宇都宮線 - 東海道線系統と高崎線 - 東海道線系統の列車がそれぞれ1時間あたり3本ずつ直通し、2つの系統を合わせて宇都宮線・高崎線大宮駅 - 東海道線小田原駅間で約10分間隔での運転を基本とする。この結果、大宮駅以南での12本中10本が上野東京ラインか湘南新宿ラインのどちらかを経由して東海道線または横須賀線に直通することとなり、この時間帯に東京駅や品川駅を始発・終着駅とする東海道線の普通・快速列車は運転されなくなった。両駅を通る日中の全列車が大宮駅以北と直通している。夕ラッシュ時以降は、宇都宮線 - 東海道線系統・高崎線 - 東海道線系統とも1時間に3 - 4本の運転であり、これらを合わせた運転間隔は5 - 12分と不定である。南行は上野発の系統が1時間に1本設定されている時間帯がある。北行・南行とも東京駅23時ごろ発の列車が直通する最終で、それ以降は湘南新宿ラインからの列車を除き従来通り宇都宮線・高崎線は上野駅発着、東海道線は東京駅・品川駅発着となる。また、宇都宮線や高崎線には、東京駅を始発駅とする列車が朝と夜の時間帯に数本(高崎線は朝のみ)あるが、東京駅が終点となる列車は存在しない(朝の時間帯に品川駅を終着とする列車が数本ある)。東海道線は、朝ラッシュ時に宇都宮・高崎線に直通しないすべての上り列車は上野駅行きとなっており、従来の東京駅止まりは設定ゼロとなっている。平日の夕方以降に数本、土休日の9・18・23時台にそれぞれ1本(計3本)上野駅を始発とする東海道線直通列車も設定されている。朝の北行に限り、東海道線内を普通として運行し、東京駅にて宇都宮線快速「ラビット」または高崎線快速「アーバン」に種別変更する直通列車が設定されている。また、日中時間帯の両方向のほか朝の南行や夕方・夜間の北行に、東海道線内快速「アクティー」・宇都宮線内普通として種別変更する直通列車が設定されている。なお、湘南新宿ライン特別快速(東海道・高崎線内快速運転)のような両線区にまたがって快速運転する列車は運行されていない。また、平日夜間の通勤快速は上野東京ラインとしては設定されておらず、従来通りそれぞれ東京駅・上野駅を発着駅としている(土・休日夜間の「アクティー」、「ラビット」、「アーバン」も同様)。宇都宮線および高崎線系統の列車番号は以下のように付与されている。なお、東海道線横浜方面からの上野止まりの列車はこのあとの回送先で宇都宮線系統か高崎線系統かが決まる。(例:平日1540E(平塚始発上野行き、小金井に回送)、平日1836E(小田原始発上野行き、籠原に回送))下2桁は、南行が21からの奇数、北行が20からの偶数が付与される。末尾のアルファベットは「E」。ただし、東海道線・宇都宮線・高崎線内完結列車(上野東京ラインとして運行しない列車)と上野東京ライン直通列車熱海駅 - 沼津駅間の末尾は通常通り「M」である。東海道線内完結列車および上野東京ラインとして運行する列車と、宇都宮線・高崎線内完結列車(上野東京ラインとして運行しない列車)との間で、列車番号の奇数・偶数が逆転している。これは前者が東海道線の上下方向に、後者が上野駅起点を基準とした宇都宮線・高崎線の上下方向に列車番号を合わせているためである。本項では、常磐線内での方向に合わせ、品川行きを「上り」、品川発を「下り」と記述する。快速電車・中距離列車・特急列車の一部が、片乗り入れにより品川駅発着に延長されている。東海道線・宇都宮線・高崎線に比べると、上野駅発着も多く残っている。常磐線では東京駅を始発・終着とする列車は特急も含めて存在しない。なお、特急列車は新橋駅には停車しない。6時台に特急「ひたち1号」が品川駅を発車するが、それ以外は8時台まで品川駅発着は設定されていない。朝ラッシュ時(東京駅8時台)には、上りの快速電車5本(取手発3本、成田発2本)が品川行きとして運転される。折り返しの品川発電車は運転しない。9時台からは上り特急「ひたち」と中距離列車の品川駅発着列車の運行が始まり、上野駅10時台から16時台に発着する特急「ひたち」・「ときわ」は全列車が品川駅発着である(土休日運転の「ときわ68号」を除く)。日中は普通列車(品川駅 - 取手駅間は快速運転)と特別快速も1本ずつ品川駅発着で運転される。15・16時台からは快速電車が品川駅発着で運転されるようになる。これと前後して、中距離列車は全列車が上野駅発着となる。特急列車は「ひたち」は夕方以降も品川駅発着だが、「ときわ」は21・22時台の下り2本を除き上野駅発着となる。快速電車は、1時間あたり3 - 4本が品川駅発着で運転する。一部の下り列車は成田行き、それ以外はすべて取手駅発着である。品川駅発着の最終電車は、宇都宮線・高崎線 - 東海道線と同じく北行が東京駅23時ごろであるが、その折り返しとなる南行はそれより早く終了する。このほかにも臨時列車や団体列車が設定されている。※快速における駅コンコースおよびホームにおける案内表示に関しては、品川行きは2015年3月14日の開業当初は上野駅・東京駅・新橋駅とも「各駅停車」と表示されていたが、2015年6月より上野駅では「普通」、東京駅および新橋駅では「快速」と案内が変更されている。※列車番号の末尾は、特急列車と普通列車が「M:偶数は上野・品川行き、奇数は土浦・水戸・勝田方面」。快速は、末尾が「H:偶数が上野・品川行き、奇数が松戸・取手・成田方面(成田線内では末尾Mになる)」である。設定されている定期列車の運行本数(2015年3月14日現在)は以下の通りである。事故・各種トラブルなどで一方の路線が運転を見合わせしている場合やダイヤが大幅に乱れている場合は、直通運転を中止し、従来通り、東京駅・上野駅でそれぞれ折り返しとなる。このため、東京駅 - 上野駅間を中距離電車が走行しなくなることから、山手線・京浜東北線などの利用が必要となる。直通運転中止決定直後の場合は、宇都宮・高崎線からの南行が東京駅まで進行して打ち切られる場合もある。なお、運転整理が適正に行われていれば、例えば宇都宮線内(大宮駅以北)でのトラブルにより、宇都宮線系統の列車のみ東京駅・上野駅での折り返し運転をしつつ、遅延の影響がない高崎線系統と常磐線系統の列車は通常通り東海道線との直通運転を実施継続といった運用が実施される(ダイヤに余裕のない朝ラッシュ時間帯を除くが、前日までに直通運転不能と判断された場合は予め想定した運用整理によってラッシュ時間帯でも関係のない路線での直通運転が実施される)。また、東海道線内の品川駅 - 横浜駅間または宇都宮・高崎線内の赤羽駅(正確には平行する京浜東北線川口駅以北) - 大宮駅間で上野東京ラインの列車が不通になった場合、後続列車をそれぞれ横須賀線(品川 - 鶴見間品鶴線。武蔵小杉駅のみ停車。横浜方は大船駅 - 戸塚駅間の湘南新宿ライン東海道線 - 高崎線ルート〈場合によっては鶴見駅構内の渡り線〉、品川方は同駅構内の渡り線を使用)・湘南新宿ライン(東北貨物線。浦和駅のみ停車、ホームの無いさいたま新都心駅通過。大宮方は同駅構内の湘南新宿ラインルート、赤羽方は普段使用していない川口駅付近での渡り線を使用)へ迂回することで、極力直通運転を継続するといった対策を実施することが、2015年後半頃から増えている。迂回対応を開始してからは、朝ラッシュ時は迂回せず、上野東京ライン経由のまま途中駅で運転見合わせとなり、その影響で直通しない列車もまとめて運転見合わせとなる場合がある(京浜東北線大森駅付近での人身事故で東海道線・上野東京ラインのみならず、宇都宮・高崎線の上野駅止まりも運転見合わせとなるなど)。駅や列車内に掲示されている首都圏路線図では「上野東京ライン」のラインカラーは紫色となっている。範囲は、当線区を経由する列車の発着区間すべてで、東海道線が沼津駅(同路線図では熱海駅を過ぎたところまで)および伊東駅(伊東線経由)まで、宇都宮線が黒磯駅まで、高崎線が前橋駅(上越線・両毛線経由)まで、常磐線が高萩駅(特急列車はいわき駅)および成田駅(我孫子駅・成田線経由)までとなっている。これら4線すべてが紫色で示されているため、路線図だけでは宇都宮線・高崎線 - 東海道線の系統と常磐線 - 品川駅の系統を区別できない。そのため、「日暮里駅に宇都宮線・高崎線の列車が停車する」や「常磐線も品川駅以南に直通する」と誤認されるおそれがあるため、その対策として路線図に前者は「上野東京ライン(宇都宮線・高崎線)は、日暮里駅には停車いたしません。」、後者は「上野東京ライン(常磐線)は、品川駅発着となります。」とただし書きを添えて注意を促している。一方、スマートフォンアプリ「JR東日本アプリ」や、同社の公式サイトの路線図でも上野東京ラインの扱いは同様となっているが、常磐線は高萩駅 - いわき駅間は特急停車駅(磯原駅・勿来駅・泉駅・湯本駅)のみが停車駅となっている。また、常磐線と常磐線快速・成田線は品川駅まで、宇都宮線・高崎線は東京駅までの扱いとなっている。JR東日本公式サイトの駅の検索ページでは、東北本線(宇都宮線)の区間が東京駅 - 盛岡駅間、高崎線の区間が東京駅 - 高崎駅間となっている一方、品川駅 - 東京駅間に片乗り入れする常磐線の区間は品川駅 - 仙台駅間となっており、運行障害時も「高崎線(東京〜高崎間)運転見合わせ」、「常磐線快速電車(上野〜品川間)運転見合わせ」のように案内されるなど、案内に若干の差異が見られる。片乗り入れ先の東海旅客鉄道(JR東海)は「上野東京ライン」は車内の自動放送を除いて原則として使用せず、「東京経由(終着駅)行き」と呼称している。ここでは湘南新宿ラインとの対比のため、事実上の上野東京ライン専用線となっている大宮 - 大船間を通して記述する。すべて電車が使用される。普通・快速列車は品川寄りの10両基本編成(4号車と5号車はグリーン車)と上野寄りの5両付属編成を連結した15両編成で運転される(基本編成・付属編成ともトイレ付き。ただし常磐線用のE231系松戸車はグリーン車・トイレなし)。東北新幹線建設時に撤去された秋葉原駅 - 神田駅南側に新規の高架橋(新幹線上の重複部およびアプローチ部:合計約1.3km)を新設し、その両側の工事開始前に使用されていた留置線およびそこへの接続線東京駅 - 神田駅間(約0.9km)および秋葉原駅 - 上野駅間(約1.6km)の既存の高架橋上の線路を改良で行われた合計3.8kmの高架構造である。まず、上野駅止まりだった宇都宮線・高崎線・常磐線の一部の列車による東京駅までの乗り入れが想定されていた。また、今後の利用状況を勘案し品川駅折り返しや、品川駅以遠の東海道線との相互直通運転が想定されている。また2013年12月9日付の毎日新聞では、「朝の通勤時間帯の運転本数は当初は1時間当たり15本、翌年からは最大20本にする方針」と運転本数に関しての情報の記載もされている。さらに2014年2月26日付の朝日新聞では「それぞれ何本乗り入れさせるか、JR東日本は『検討中で、まだ何も言えない』とする。ただ、同社の幹部は「乗客の利便性向上が最優先なので、3線の利用実績に基づいて割り振ることが基本的な考え方だ。利用実績は調査中」と話す。また、乗り入れた列車の多くは、乗降客が多く、折り返し設備が整った品川で折り返し運転をする見込みだという」と報じている。また、南側からは神奈川東部方面線を経由して相模鉄道の列車を乗り入れさせる計画もある。が、その後2016年9月には横浜市長の林文子らが神奈川東部方面線・相模鉄道から直通する列車に対しての同線への乗り入れの具体的な検討を相鉄とJR東日本に対して要請する考えを示した。ただしこの場合、現状の配線では鶴見駅北方または品川駅南方で平面交差となるため、頻繁に運転する場合は鶴見駅あるいは品川駅構内および両駅の構内付近に東海道本線と品鶴線との立体交差での連絡線が必要となる。また鶴見駅での転線の場合、上野東京ライン方面に直通する列車は川崎駅経由での運転となる。2014年8月1日、JR東日本社長・冨田哲郎がBS11のインタビュー番組に出演し、「上野東京ラインで常磐線での上野での乗り換えが不要になる。東京駅、品川駅まで直通で入れる。乗り換えがないという心理的バリアがなくなることは、人の移動に大きな影響があるだろう。新しいルートをきっかけに新しい流動ができる。人の動きを活性化することが地域の経済を元気にする。東京メトロの副都心線が東急東横線、東武鉄道、西武鉄道と結びついて直通で運転されるようになった。すると埼玉県と神奈川県との間で新しい流動が生まれた。これが鉄道の新しい魅力だろう」と上野東京ラインについて説明を行った。2014年10月30日に直通運転の概要が発表され、宇都宮・高崎線が東海道線と相互直通運転、常磐線が品川駅まで(当初計画では東京駅までであったものを計画を変更して延長。後節を参照)の直通運転であると発表された。平日朝ラッシュピーク時(東京駅基準 8:00 - 9:00)の南行本数は、3路線それぞれ5本ずつ、計15本になるとされた。またその際に発表された概要は平日ベースのみであったが、「土休日については平日に準じた輸送体系となる予定」としていた。本路線完成後、山手線と京浜東北線の混雑率は、「最大時で約230%から180%以下に緩和される」と予測されていたが、開業後2015年3月では170%となった。宇都宮線および高崎線との直通後、本路線経由の普通列車の停車駅は、大宮駅 - さいたま新都心駅 - 浦和駅 - 赤羽駅 - 尾久駅 - 上野駅 - 東京駅 - 新橋駅 - 品川駅 - 川崎駅 - 横浜駅 - 戸塚駅 - 大船駅となり、当該区間で長区間利用の場合や、東京駅以南と上野駅以北を跨って利用する乗客の乗り換えが不要になる。これにより、並行する山手線や京浜東北線に対する速達列車の役割が期待され、相互区間利用時の所要時間短縮も見込まれている。なお、京浜東北線は上野東京ライン開業後は快速を神田駅・御徒町駅に停車させ(御徒町駅は土・日・祝日のみ停車)、上野 - 東京間についてはこの路線が快速の役割を果たすことになる。常磐線方面からの直通運転は、2002年のプレスリリースで「朝通勤時間帯については直通列車の混雑等を勘案し、宇都宮・高崎線からの乗り入れを基本」とされており、それ以外の時間帯については言及されていなかった。2007年8月24日付けの読売新聞千葉版で、常磐線の本路線への乗り入れは「特急の一部のみ」の方針と記されるが、2008年のプレスリリースは「具体的な輸送計画については今後検討を進めてまいります」としていた。2012年の経営構想に関するプレスリリースにおいては「常磐線をはじめ、宇都宮線や高崎線の東京駅及び東海道線方面への乗入れ」と微妙な記述の変化があった。2014年5月18日付けの茨城新聞では、「上野東京ラインに3線全ての列車が乗り入れることは物理的に困難で、今後の振り分け本数も注目される。また茨城新聞の取材に対し、国土交通省幹部は『利用実績で割り振るのが基本だが、北関東から南関東へ抜ける湘南新宿ラインのような路線がないこともあり、常磐線はかなりの本数が入るだろう』と見通しを明かす」と報じた。しかし、上野東京ライン下り線と常磐線下り線との間では上野東京ライン上り線(東京方面)を横切る平面交差が生じ、運行上のボトルネックとなる可能性があるほか、車両の特殊性(中距離列車が交直流電車であることと、快速電車にグリーン車がないこと)などから、運用が限定される可能性も指摘されていた。これらのネックは、開業時の概要や改正ダイヤの発表において言及されていた。その後、品川駅の2面ある臨時ホームのうち、1面を上野東京ラインの折り返し用に転用する計画に変更し、これによる同駅の配線変更工事を2014年までに完了した。これにより折り返し線に余裕が生じる見込みとなったことから、常磐線列車は当初予定していた東京駅折り返しから品川駅折り返しに、また昼間時の特急列車と中距離電車のみが上野東京ラインに乗り入れる予定だったのを終日の乗り入れにそれぞれ変更となり、さらに当初の運行計画には盛り込まれていなかった快速電車(取手駅以南および成田線我孫子支線経由で成田駅折り返し)の乗り入れを運行計画に追加した。前述の通り、2014年10月30日に直通運転の概要が12月19日には開業時の運転形態が発表された。常磐線は朝通勤ラッシュピーク時間帯(東京駅基準8時台)以降の一部列車が品川駅までの直通運転を行う。朝ラッシュ時間帯(東京駅8時 - 9時)は快速電車のみ5本が品川行きとなる(これは同時間帯に5本ずつ東海道線に直通する宇都宮線・高崎線と同数)。品川発の折り返し電車は運転しない。それ以降は、日中は特急列車の全列車、特別快速の全列車と普通列車の一部列車、夕・夜間は特急列車は「ひたち」と一部の下り「ときわ」、快速電車の一部がぞれぞれ品川駅まで直通となり、全時間帯・全列車品川駅以南には直通しない。宇都宮・高崎線の多くの列車が湘南新宿ライン、上野東京ラインの2ルートで横浜・湘南方面へ直通するのに対し常磐線からの直通が少なく、しかも品川止まりのため、沿線住民や自治体から横浜・湘南方面への直通列車設定の要望が大きい(これを実現させるため茨城県などが「常磐線東京駅・横浜駅乗り入れ推進協議会」を結成し協議が行われている)。直通運転開始と同時に常磐線特急を「ひたち」(速達タイプ・全席指定)と「ときわ」(停車駅多数タイプ・全席指定)の2種類に再編し、新しい着席サービスを導入することも合わせて発表された。このうち「ときわ」は1985年まで常磐線の急行列車の列車愛称に使われていたものである。JR東日本のプレスリリースで「車両留置箇所の見直しによる車両基地用地の有効活用」との記載および別紙としてとの資料を添付している。この中で品川車両留置基地の現状における車両留置面積及び「一部用地の生み出し」の記述がされており、田町車両センター(現:東京総合車両センター田町センター)など品川駅北側の車両基地の再編を想定していることがわかる。また、一部報道でも再編後に過半数におよぶ十数ヘクタールの敷地が開発可能と報じている。前記開発に伴い、"山手線・京浜東北線の線路を整地したエリアの東側に移設した上で、移設区間の泉岳寺駅近辺に新駅(名称未定)を設ける計画"と2012年1月4日あるいは5日に報道された。これによれば15ヘクタールある同用地は2011年12月に国から国際戦略総合特区に指定され、新駅は東京都・港区・JR東日本などで組織する検討委員会において話し合いが進行中で、上野東京ライン開業後(2014年度)の着工見通しで、開業時期は早くて2020年頃とも報じられている。2014年6月3日に新駅開設が正式に発表され、田町駅から約1.3km、品川駅から約0.9km付近に設置、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにあわせて暫定開業を予定している。JR東日本社長・冨田哲郎は、2014年1月の産経新聞の取材に対し、JR東日本が検討を進めている東京都心部から東京国際空港(羽田空港)へのアクセス路線が実現した場合、東北縦貫線(上野東京ライン)と接続して直接乗り入れ可能にする方針であると明らかにした。これによれば、一部休止中の東海道貨物線(大汐線)を活用し、田町駅から東京湾岸の区間を旅客化した上で新線を建設して羽田空港に乗り入れる形となり、宇都宮線・高崎線・常磐線から上野東京ライン・東海道線を経由して直接羽田空港に行くことができ、北関東からの空港連絡鉄道として活用可能になるとしている。羽田空港アクセスにおいては、JR東日本グループでも浜松町駅からの東京モノレール羽田空港線があるが、浜松町駅には上野東京ライン・東海道線は停車しないため、上野東京ラインの開業は、品川駅に直結することで競合路線である京浜急行電鉄(本線 - 空港線)への乗り換え利便性の向上に利することとなる。京急でも、これを見込んで「京急乗って即、羽田!」のキャッチコピーを掲げて、埼玉県や千葉県の上野東京ライン直通各線の沿線や私鉄線を中心に広告を出している。埼玉県は、県内から宇都宮線や高崎線で上野駅へ出て山手線や京浜東北線、地下鉄銀座線、日比谷線に乗り換え東京方面へ通勤・通学する者が多く、県はこの計画を評価しており計画が遅れていることから、2006年11月に早期開業を求める要望書を提出している。常磐線は、沿線の千葉県や茨城県などの自治体(常磐線輸送力整備・新線建設促進期成同盟を参照)がそれぞれ期成同盟会を結成し、常磐線の東京駅乗り入れを推進している。計画発表当初より、一部住民などから建設反対意見が挙がっている。JR東日本との対話も行われたが、納得できなかった住民が、2007年(平成19年)8月1日に、建設差し止めを求めて東京地方裁判所に提訴。裁判は5年以上に渡って続けられたが、2012年(平成24年)9月24日に判決が言い渡され、ほぼ全面的にJR東日本の主張を認める形で、原告の請求は棄却され、住民側は控訴する方針であるとされたものの、その後の動向は伝えられることの無いまま、開業を迎えた。同住民らは、縦貫線を二層高架ではなく地下化する希望的提案をしていた(なお、これに関してJR東日本は、そもそも提訴されるより前、住民説明会で質問された際に新線を通す地下のスペースの取得、高架より割高になる費用の確保、地下を通すと横須賀線直通となるために同線及び相互直通運転を行っている総武快速線の現在の運行本数維持の3点が困難であることを理由に拒否していた)。
出典:wikipedia
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