『夏への扉』(なつへのとびら)は、竹宮惠子による短編漫画、および、それを原作とする1981年のアニメーション映画作品。原作漫画は1975年19号・20号に白泉社の少女漫画雑誌『花とゆめ』に掲載された。翌年に花とゆめコミックスから単行本化されたが、その際には竹宮が小学館や講談社など他社の漫画雑誌で掲載した作品が収録されている。その他、小学館文庫の『姫くずし』(1982年)や、角川書店の竹宮惠子全集『ほほえむ少年』(1990年)にも収録されている。あるフランスの男子校で夏休みが始まろうとしていた。マリオン・フィエスは容姿端麗にして学業もトップという秀才ぶりから寄宿舎内でも街の少女たちからも常に注目の的であった。少年らしからぬ超然とした雰囲気を漂わせる彼は、学内で仲間のジャック・シドーやリンド・アレイン、クロードと共に「合理党」というグループを結成し、そのリーダーとして一目置かれる存在となっていたのである。とある昼下がり、カフェに立ち寄った合理党メンバーは、ギムナジウムの男子生徒誰もがマドンナと慕い憧れる市長の令嬢である美少女レダニア・フランソワを巡って、些細なことから始まった上級生アルマンとガブリエルの喧嘩に遭遇する。見かねて仲裁に入ったマリオンは、騒ぎの張本人ガブリエルと「背を向けた状態で線路に立ち猛スピードで迫る列車に果たしてどちらがどこまで耐えられるか」という度胸試しの決闘によって決着をつけることにする。衆人環視の中で決闘が始まるが、ガブリエルは機関車の轟音に耐え切れず早々と離脱してしまう。ギリギリまで平然と踏み止まり勝負に勝ったマリオンは涼しい顔でその場を立ち去ろうとするが、自分が今しがた緊急停車させた汽車から優雅に降りて来た妖艶な美女サラ・ヴィーダに呼び止められる。ポーカーフェイスで応えるマリオンの心中に生じた動揺を見抜いたサラは、突然マリオンの唇を奪い「遊びにいらして…」と誘惑の言葉を残して去って行く。いくら「合理党」のリーダー然と振る舞い気取ってはいても、やはりマリオンも思春期の少年である。人並以上に性への興味・関心はあったものの、母親の再婚による複雑な家庭環境から男女の恋愛を禍々しく不浄なものと感じる過敏な潔癖さが、それを無理矢理に抑え込んでいた。その複雑な感情はある日好意を告げる恋文を送ってきたレダニアに対しても向けられ、カフェで待つ彼女を「不潔」と罵倒したマリオンは頬を打たれてしまう。自暴自棄となったマリオンは雨の降りしきる中を走り去り、ずぶ濡れになってそのまま路上に倒れ込む。冷たい雨に打たれ凍えて肺炎になりかけていたマリオンを救ったのは、サラだった。別荘へ連れて行き服を脱がせた後、激しく燃える暖炉の前で優しくキスを教えてくる年上の美女サラの誘惑に抗えず、遂にマリオンはサラと激しい一夜を共にしてしまう。東映動画とマッドハウスにより劇場アニメ化され、1981年3月20日より各地で順次公開された。上映時間は59分。同時上映は吉田秋生原作の『悪魔と姫ぎみ』。配給はスーパーハリウッド(スーパーウッド)。竹宮原作のアニメ映画化としては前年の『地球へ…』に次ぐ。一般の劇場・映画館ではなく公共ホールやイベント会場・公民館などで上映する「オフシアター方式」で、全国200箇所で上映された。首都圏では数日にわたって上映されたが、多くの地方都市では1日限りの上映となった。ナレーションは井上真樹夫が担当している。かつて東映ビデオからVHS及びベータマックスでビデオ化・販売(更に2000年廉価版VHS販売と同時期にLD化)されていたものの既に廃盤となっており、永らく入手困難となっていたが、2007年6月21日に東映ビデオよりDVDが発売された。
出典:wikipedia
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